不気味の谷と視線について

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Takayuki Todo @toodooda

ロボット工学には詳しくないが、「不気味の谷」問題にいっちょ噛みするためにヒト型ロボット作品作ってます。

2019-09-18 13:03:36
hanna saito @0oHANNAo0

@toodooda そういえば最近フロイトを読んでいて発見?したのですが、不気味な谷の話はフロイトの「不気味なもの」の話に非常に近いです。英語のwikiには言及がありました。 en.wikipedia.org/wiki/Uncanny_v… pic.twitter.com/zxUTxsKuAJ

2019-09-18 23:31:54
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Takayuki Todo @toodooda

@0oHANNAo0 フロイトのいう不気味さはまた違う概念だと思うけどなあ…。ドイツ語の「不気味」"unheimlich" は heim(英語のhome)+ich(形容詞語尾) に否定接頭辞unをつけたものなのだけど、本来馴染みがある(=heimlich)はずのもの(例えば幼少期に抱いていた人形など)の中に不意に現れる異質さに起因すると論じてて、

2019-09-19 00:36:56
Takayuki Todo @toodooda

@0oHANNAo0 懐かしい愛らしいはずのものが大人になってから見ると気味悪く見えるとかそういう話で、「不気味の谷」でいう、「似せていく過程で似てない部分が際立つ不自然さ」に対する印象とはまたちょっと違うんですよね。

2019-09-19 00:42:01
hanna saito @0oHANNAo0

@toodooda 私が似ていると思ったのはフロイトというより、この英語wikiにもあるようにフロイトの引用元のjentschの方だったかもしれないです。フロイトはたしかにもっと複雑なことを言っていますね。 pic.twitter.com/yjxCY3ElvQ

2019-09-19 02:43:21
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Takayuki Todo @toodooda

@0oHANNAo0 フロイトの論考は古いし決して精緻なものとは言い難いんですが(うんざりするほど下ネタばっかりだし)、それでも『文化への不満』でタナトスや超自我の概念に至ってからの話はなかなか面白いんですよね。ただ知識としては押さえておきたいけど、それを根拠に思考を組立てるのはあまり得策には思えない。

2019-09-19 03:09:34
Takayuki Todo @toodooda

@0oHANNAo0 一方で、「不気味の谷」はあくまでも工学的な概念に過ぎず、それも実際に悪印象を生み出す現象をどう解決すべきか・何が原因なのかという考察をすっとばした、ずいぶんと楽観的な展望なんですね。そこに「不気味さの本質」の話がとってつけたように出てきて、色々こじつけて離散的な議論をしてしまう。

2019-09-19 03:17:50
Takayuki Todo @toodooda

僕の「不気味の谷」仮説はの違和感は、大学1年の時に、友人を交通事故で失った体験によるところが大きい。

2019-09-19 04:23:06
Takayuki Todo @toodooda

彼は自転車で芸大前の国道9号を斜め横断した際にタクシーにはねられた。頭部を強打し脳を損傷したため、体はほとんど無傷であったにも関わらず、そのまま脳死判定を受けた。人工呼吸器と心拍機を接続され、植物状態としてその後もしばらく「生きていた」。我々友人一同は、彼を見舞いに病院を訪れた。

2019-09-19 04:23:07
Takayuki Todo @toodooda

彼の家族は、僕達を迎えるため、ベッドに横たわる彼の上体をに向けて起こしてくれていた。額から上は包帯に覆われて見えなかった。機械の拍動が彼の胸を上下させていた。手を握ると血が通っていて温いのである。だが半開きの彼の目は宙を見たまま乾いていて、瞬きもしなければ我々に反応もしなかった。

2019-09-19 04:23:07
Takayuki Todo @toodooda

彼は僕から見ると年下だが学年は1つ先輩であった。洛南高校の出身で頭はいいが理屈っぽく、男子校から急に女子8割の美大に来たためにはしゃいでしまった典型的な空回り型の童貞であったが、そのキャラクターが僕と似ていて仲良くなったのだった。一方で、彼のひょうきんさは周りに愛されていた。

2019-09-19 04:59:52
Takayuki Todo @toodooda

そして彼は日本画の学生だった。普段はヘラヘラしているくせに、池や鶏舎の前で座り込んで動物の輪郭線をスケッチブックに写し取るときには、とても鋭い真剣な眼差しを見せていた。なんかちょっとハンサムに見えて、僕はよく話しかけて邪魔をし、すぐヘラヘラと顔が綻ぶのを見て安心したものだった。

2019-09-19 04:59:52
Takayuki Todo @toodooda

ベッドに横たえられた植物状態の彼の目を見て、僕はすぐに「彼はもういないのだ」と感じた。強烈に気味が悪かった。血の通った生身の人体に、それもよく知った友人の身体に、生命が、人格が宿っていない姿である。それを見て「まだ生きてる」と言って涙する他の友人達も含めて、超現実的な光景だった。

2019-09-19 04:59:52
Takayuki Todo @toodooda

あの目の印象は忘れない。 目蓋は開いているのに、外界と、周囲の人々と、何の関係も持たない目。 石黒浩のアンドロイドを初めて見たとき、真っ先にその印象を思い出した。 不気味の「谷」? 写実性を追求の先に答えなどあるものか。僕は、生身の人体が「生きていない」状態を見て知っているのだ。

2019-09-19 05:11:13
ごんごん @gongonKS

そう、目なんですよ。目が外界とインタラクションしているはずの目が、インタラクションを失っている。私の経験からいえば、親父の脳機能がおちて、とんちんかんなことばかり言っていても、目の奥には、というか私が大事な事をいったりしたときには、いつもの親父の目の動きがあった。

2019-09-19 05:33:56
ごんごん @gongonKS

親父の目は、生きている証拠だったし、目が動かなくなれば、そこには生命を感じなくなる。ヒトを含む動物は、そこをチャネルとして、他者を感じているのだと思います。そして、思うだけではだめだからこそ、視線のインタラクション研究をしているのです。

2019-09-19 05:33:56
ごんごん @gongonKS

視線だけでなく、social touch などの体性感覚情報も重要な社会的シグナルになる。他者がそこにいて、交流可能だと知るシグナルとして機能する。もちろん、見た目の情報も重要だろうけれど、それはこういったシグナルをやりとりできる相手であることを事前に知らせる情報といえる。それは事前分布で、

2019-09-19 05:33:57
ごんごん @gongonKS

こちらから送ったシグナルに相手が即座に反応するというエビデンスで事後分布を更新する。その時に大きなベイズ更新があれば「違和感」として検出する。他者性の予測誤差が「不気味の谷」なんだとおもっている。そう考えればtodoさんの違和感も説明できるのかもしれない。なんて早起きで考えて眠い。

2019-09-19 05:33:57
ごんごん @gongonKS

この仮説に従えば、見た目がヒトとそっくりでなくとも、重要な社会的シグナルの短時間での予測と制御の一致を繰り返せば、事後分布が更新され、他者性を感じるようなる。高度な「心の理論」の存在やゲーム理論での合理的他者の意思決定を予測する「他者モデル」だけが、社会性の要素ではない。

2019-09-19 05:49:48
ごんごん @gongonKS

例えそれが無くとも「他者性」を感じ、外界に自分以外の生命が存在し、同じように生きているのだと感じる。このことが、新学術の研究を通じてわかってきたことなのだと思っている。視覚を通じて、外界の世界を知ることと同じように、生きている他者がそこに存在することを知る機構があるんだという仮説

2019-09-19 05:49:50
🔍 @hobbitbit

藤堂さんと石黒さんの間にある対立や溝のようなものは興味深いなと思ってる

2019-09-19 05:36:56
🔍 @hobbitbit

現時点で(僕にとって)より心を動かされるの石黒さんのアンドロイドではなくSEERなわけだけど、石黒さんの写実性の追求の到達度が閾値を超えた時にその印象が大きく変わるのか否か

2019-09-19 05:38:56
🔍 @hobbitbit

スーパーリアリズムが、二次元の絵画における対象の"モノ"としての観察とそれを描き起こす技術においての到達点なのだろうけど、多くの場合感心こそすれどそれ以上のインパクトを受けないことが多い

2019-09-19 05:42:18
🔍 @hobbitbit

が、人型のロボットだとどうなるのだろう

2019-09-19 05:42:59