空と踊る男の #呟怖 〈竹田と俺〉シリーズ

ハッシュタグ #呟怖 で地味に書き継いでいる創作〈竹田と俺〉シリーズをまとめました。 基本的に男子高校生二人が会話しているだけの内容ですが、自分では気に入っているので今後も書き続ける予定です。 なお、一部〈竹田と俺〉が登場しない作品も含まれておりますが、理由は全部読んで頂ければお判りになるかと。 ひとまず完結とさせていただきます。
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空と踊る男 @dancewithsky

「竹田君」 八堂先生のお墓の前で手を合わせていると、背後から声がした。 小夜だ。赤いマスクをしている。 八堂先生の首吊り死体が旧校舎の一室で発見されたのは文化祭当日の朝だった。文化祭は中止になった。 そして年が明けた途端、未曾有の疫病が世界中に広まりだし、今年も開催は未定だ。 #呟怖

2021-06-29 19:35:32
空と踊る男 @dancewithsky

僕と小夜は先生の死の直後に付き合い始めた。 「あの日以来、世界の全てが変わってしまったみたい」 小夜が神妙に呟く。 あの夜、確かに奇怪な体験をした。だがなぜか未だに記憶が朧気だ。 己の半身をなくしたような不可解な喪失感だけが心の奥で燻っている。 「でも」 僕の手を小夜が握った。 #呟怖

2021-06-29 21:43:38
空と踊る男 @dancewithsky

「変わらないものもある」 小夜がマスクを外した。 「君の罪」 「え」 「二人も殺しておいて、世界の〈外〉へ逃げられるとでも思った?」 赤い目が、口が、身体が、裂けてゆく。 ぞぶのわああ びじねわああ (動物の死を悼んだから通路が開くよ) 白い 手が 僕を 底へ そして森に冬が来た。 #呟怖

2021-06-29 22:29:46
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