クリリンによる緊急停止コントローラー破壊は愚行だったのか

ドラゴンボールについての考察を備忘録ついでにまとめておきます。
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緊急停止コントローラーを破壊して事態を悪化させたクリリン

ΝΑΠΠΑ @nappasan

ネット上で人造人間篇について語られる際、緊急停止コントローラーを破壊したクリリンの行動を、愚行として批難する声が上がるところをよく目にします。感情に流されて判断を誤り状況が悪化したことに対して、ベジータを責める発言を後にしたこともそういった意見を余計に助長しているのだと思います。 pic.twitter.com/wkMEtcryJS

2019-03-29 10:57:44
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実際にクリリンの行動を批判する声

黒埼ユウキ🫧 @YuuKi_1924

クリリンって最大の戦犯だよね

2010-10-24 09:27:16
佐藤和彦 / えあ草紙工房 @satokazzz

クリリンがベジータのプライドの高さを批判できるんかいw 地球よりも女の子を選んだくせにー

2010-11-14 13:15:12

惚れた女を守りたいエゴ?

ΝΑΠΠΑ @nappasan

読者として冷静に読むと「お前はどうなんだ」とツッコみたくなる気持ちは確かに解らないでもないです。しかしコントローラーを破壊したクリリンの行動は、果たして「愚行」なんでしょうか?私はそういった意見には賛同しかねます。

2019-03-29 11:00:30
ΝΑΠΠΑ @nappasan

クリリンが18号を異性として意識する描写は前もって都度描かれていましたし、コントローラーを破壊する下りでもそれを強調しています。破壊した理由を問われても口ごもって明確に答えていませんし、これだけを見ると「惚れた女を守りたいがために世界を危険に晒した」と解釈する人も多いでしょう。 pic.twitter.com/V7n30a2moS

2019-03-29 11:14:54
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敵を人間として意識すること

ΝΑΠΠΑ @nappasan

しかしクリリンは果たしてそんな「単なる色ボケ」なのでしょうか?18号を異性として意識したことが判断を大きく左右していることは確かですが、それが全てではないと思います。異性として意識したことはつまり「人間」として意識したということでもあり、それがクリリンと他の一行を分けている点です。

2019-03-29 11:24:08
ΝΑΠΠΑ @nappasan

人造人間たちを「破壊」すべき「敵」、そして「ロボット」としか認識していなかった他の味方勢に対し、クリリンは彼らもまた意思を持った人間であるということに気づきます。その切っ掛けになったのが18号を異性として意識し始めたことであり、「悪意のない接触」が全ての起点になったと言えます。 pic.twitter.com/UsunQI7R6N

2019-03-29 11:43:14
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人を殺さないという選択

ΝΑΠΠΑ @nappasan

「世界を救うためとはいえ、罪のない人間の自由を奪って『破壊』することが正しいのか」という葛藤がここにはあるわけです。最適ではないけれど、最善の道を採ろうとした。コントローラーを破壊したクリリンの判断には、そういう人間としての覚悟と決断が背後にあるのだと思います。

2019-03-29 11:50:21
ΝΑΠΠΑ @nappasan

人造人間たちを対等な人間として意識することによる葛藤は、アニメ版のほうでより突っ込んで描かれています。 pic.twitter.com/pedFxEbRhC

2019-03-29 12:03:26

クリリンに課された役割

ΝΑΠΠΑ @nappasan

そもそも18号にキスをされる前に、クリリンは人造人間たちに行動の理由を問い質したうえで説得を試みています。この時点で、ただ闘うしか選択肢の無かった他の味方たちとは異なった役割が彼に課されていることがよく判ります。 pic.twitter.com/KxWyhpZJY5

2019-03-29 12:25:21
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ΝΑΠΠΑ @nappasan

そんなクリリンが情けをかけて助命した16号が、最終的に悟飯の背中をそっと押したわけです。(ここでは憎しみに支配されてしまったトランクスの悲哀も浮き彫りになっています。) pic.twitter.com/XBwNnuIAmb

2019-03-29 12:38:01
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役割はサタンへ引き継がれる

ΝΑΠΠΑ @nappasan

なおクリリンのこうした役割はのちにブウ篇でミスターサタンに引き継がれ、人との関わりや「大人の論理」によって作品に決着をつける、壮大なフィナーレへと昇華されていきます。 pic.twitter.com/QZUms9AZUN

2019-03-29 12:56:59
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参考リンク:ドラゴンボールにおける「子供」と「大人」

リンク 銀河孤児亭 「ドラゴンボールはフリーザ編で終わってたら名作だった」とかのたまう輩に鉄槌を下しブウ編がいかに最終章として素晴らしいかを力説するための覚え書き - 銀河孤児亭 (コメ欄等の指摘で「アダルトチルドレン」という単語について完全な勘違いの元に盛大に誤用していたことを教えて頂いたので訂正しました)どうも。ブログでは久方ぶりのあでのいです。ドラゴンボールで何編が一番好きか聞かれたらノータイムでブウ編と即答するあでのいです。そうブウ編なんですよ。最終章ですよ。ブウ編も好き、ではありません。ブウ編「が」一番好きです。 「○○編で終わってれば名作だった」と言われがちなジャンプ長期連載漫画で最終章を一番好きになってしまうとなかなか肩身が狭い思いをするものですが、ドラゴンボールなん 1304 users 7
ΝΑΠΠΑ @nappasan

これより以前にも敵に情けをかけたり人間の感情に左右される場面は多々ありましたが、ここでのクリリンの葛藤は倫理的なジレンマという大人の理屈が作品に持ち込まれた瞬間と言えるかもしれません。そういう意味でクリリンの行動は浮いていますし、愚行に映る人が多いのも仕方ないのでしょう。

2019-03-29 13:22:13