緊急停止コントローラーを破壊して事態を悪化させたクリリン
ネット上で人造人間篇について語られる際、緊急停止コントローラーを破壊したクリリンの行動を、愚行として批難する声が上がるところをよく目にします。感情に流されて判断を誤り状況が悪化したことに対して、ベジータを責める発言を後にしたこともそういった意見を余計に助長しているのだと思います。 pic.twitter.com/wkMEtcryJS
2019-03-29 10:57:44実際にクリリンの行動を批判する声
惚れた女を守りたいエゴ?
読者として冷静に読むと「お前はどうなんだ」とツッコみたくなる気持ちは確かに解らないでもないです。しかしコントローラーを破壊したクリリンの行動は、果たして「愚行」なんでしょうか?私はそういった意見には賛同しかねます。
2019-03-29 11:00:30クリリンが18号を異性として意識する描写は前もって都度描かれていましたし、コントローラーを破壊する下りでもそれを強調しています。破壊した理由を問われても口ごもって明確に答えていませんし、これだけを見ると「惚れた女を守りたいがために世界を危険に晒した」と解釈する人も多いでしょう。 pic.twitter.com/V7n30a2moS
2019-03-29 11:14:54敵を人間として意識すること
しかしクリリンは果たしてそんな「単なる色ボケ」なのでしょうか?18号を異性として意識したことが判断を大きく左右していることは確かですが、それが全てではないと思います。異性として意識したことはつまり「人間」として意識したということでもあり、それがクリリンと他の一行を分けている点です。
2019-03-29 11:24:08人造人間たちを「破壊」すべき「敵」、そして「ロボット」としか認識していなかった他の味方勢に対し、クリリンは彼らもまた意思を持った人間であるということに気づきます。その切っ掛けになったのが18号を異性として意識し始めたことであり、「悪意のない接触」が全ての起点になったと言えます。 pic.twitter.com/UsunQI7R6N
2019-03-29 11:43:14人を殺さないという選択
「世界を救うためとはいえ、罪のない人間の自由を奪って『破壊』することが正しいのか」という葛藤がここにはあるわけです。最適ではないけれど、最善の道を採ろうとした。コントローラーを破壊したクリリンの判断には、そういう人間としての覚悟と決断が背後にあるのだと思います。
2019-03-29 11:50:21人造人間たちを対等な人間として意識することによる葛藤は、アニメ版のほうでより突っ込んで描かれています。 pic.twitter.com/pedFxEbRhC
2019-03-29 12:03:26クリリンに課された役割
そもそも18号にキスをされる前に、クリリンは人造人間たちに行動の理由を問い質したうえで説得を試みています。この時点で、ただ闘うしか選択肢の無かった他の味方たちとは異なった役割が彼に課されていることがよく判ります。 pic.twitter.com/KxWyhpZJY5
2019-03-29 12:25:21そんなクリリンが情けをかけて助命した16号が、最終的に悟飯の背中をそっと押したわけです。(ここでは憎しみに支配されてしまったトランクスの悲哀も浮き彫りになっています。) pic.twitter.com/XBwNnuIAmb
2019-03-29 12:38:01役割はサタンへ引き継がれる
なおクリリンのこうした役割はのちにブウ篇でミスターサタンに引き継がれ、人との関わりや「大人の論理」によって作品に決着をつける、壮大なフィナーレへと昇華されていきます。 pic.twitter.com/QZUms9AZUN
2019-03-29 12:56:59参考リンク:ドラゴンボールにおける「子供」と「大人」
これより以前にも敵に情けをかけたり人間の感情に左右される場面は多々ありましたが、ここでのクリリンの葛藤は倫理的なジレンマという大人の理屈が作品に持ち込まれた瞬間と言えるかもしれません。そういう意味でクリリンの行動は浮いていますし、愚行に映る人が多いのも仕方ないのでしょう。
2019-03-29 13:22:13