【マブラヴオルタネイティヴ/暁遙かなり】20191022プレイレポ #age20th

落陽の瞬間を迎えようとしていた2000年の日本帝国。だがそれでもなお、その先に夜明けの暁天があることを信じ、前線に身を投じる者達がいた。
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河畑濤士 @KWHTTS

要撃級も格闘戦に持ち込まれなければ、まず危険な相手ではない。 超硬度を誇る前腕を除けば防御力はさしたることなく、戦術機の突撃砲に採用されている36mm機関砲弾で抜ける。正面戦闘で後れをとる相手ではない。林立する建築物をぶち破っての奇襲にだけは、注意が必要だ。

2019-10-22 22:30:23
河畑濤士 @KWHTTS

「スピア1より各機、傘壱型(ウェッジ・ワン)へ移行」 御手洗は中隊の陣形を改めさせた。 傘壱型とは、正面・側面への火力投射が効率よく行える、上方から見れば三角形の布陣だ。相手に対して半包囲が望める鶴翼型でも良かったが、練度の低い中隊では友軍誤射の危険性が高い、と御手洗は考えた。

2019-10-22 22:33:33
河畑濤士 @KWHTTS

「各中隊――ランナー、そっちが見えたッ!」 4分後。焦燥と緊張に彩られた声色が、オープンチャンネルに響いた。御手洗は目を眇めるまでもなく、網膜に投影される映像で疾駆する偵察車と要撃級の群れを確認した。 「スピア1、視認(タリホー)」 pic.twitter.com/b8BhknoY6x

2019-10-22 22:35:00
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河畑濤士 @KWHTTS

「ハルバート1、視認(タリホー)。支隊各機、武器使用自由!」 「スピア各機、聞いての通り。武器使用自由。所定の砲戦距離で随時射撃。要撃級からやる。戦車級を取りこぼしても焦らない。87AVの1個中隊が援護してくれる。偵察車にだけは注意して」 「先頭要撃級。弾種徹甲、2班集中――撃て!」 pic.twitter.com/TBBaX4bcFY

2019-10-22 22:38:04
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河畑濤士 @KWHTTS

戦端を開いたのは90式戦車3個小隊である。 主力戦車の戦闘は小隊単位が基本だ。小型種との接敵時には4輌で互いに援護し合い、迫る大型種に対しては、確実に仕留めるために最低でも2輌1班で集中射撃を浴びせる。 轟、と120mm滑腔砲が火を噴くと、最先頭の要撃級が崩れた。

2019-10-22 22:40:17
河畑濤士 @KWHTTS

400mmの装甲板を容易にぶち抜く120mm滑腔砲の徹甲弾は、要撃級の前腕を文字通り破壊し、それにとどまらず後脚を貫いて擱座させ――あるいは、要撃級の頭部を一撃で粉砕し、内部の生体構造を滅茶苦茶に引き千切って、全高約12mの単なる肉塊に変えてしまう。

2019-10-22 22:43:44
河畑濤士 @KWHTTS

その背後に続く要撃級は、死骸となった先頭個体を乗り越えんとするが、その瞬間には砲弾の直撃を受けて四散している。 戦車と同様、要撃級は障害物を乗り越える瞬間、無防備な腹、または背中を晒す。そして死骸の山を築いていく。 自然、BETA群全体の足は鈍ることになる。

2019-10-22 22:44:36
河畑濤士 @KWHTTS

「よおし貴様ら、食い残すんじゃないぞ!?」 そこに七瀬大尉の指命を受けた中隊機12機の36mm機関砲弾が撃ちかけられ、結局彼ら要撃級20体は得意の格闘戦に持ち込めないまま、絶命していった。 彼らが出来たことと言えば、赤紫の体液で旧市街地を汚す程度の嫌がらせのみである。 pic.twitter.com/A44Puwz3VE

2019-10-22 22:48:12
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河畑濤士 @KWHTTS

「畜生ォ――なんだよ、全部弾かれて!?」 一方、御手洗中隊の正面に現れた要撃級10体は、なかなか数が減らなかった。 新人衛士の狙いが甘いのだ。 36mm機関砲弾で前腕の生体装甲を抜くことは出来ない。さりとて上方に照準を修正すれば、感覚器である尾部に命中するのみで、致命傷にはなり得ない。

2019-10-22 23:07:07
河畑濤士 @KWHTTS

「オープンチャンネルで悪態をつかない」 御手洗は舌打ちをしかけて、やめた。指揮官に必要なのは余裕だ。尾部を失いながらも迫る要撃級の頭部を、突撃砲のバースト射撃で撃ち抜いて仕留める。 「シミュレーターと変わらない。落ち着いて。じゃないと地獄の教育課程へ逆戻りにする」 「りょ、了解」 pic.twitter.com/FFc3OBWcrX

2019-10-22 23:11:00
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河畑濤士 @KWHTTS

「スピア、こちらハルバート1。そちらに戦車級がいった」 路上に臓腑をぶちまけた要撃級の骸を乗り越え、今度は無数の赤い潮が押し寄せる。 戦車級。主力戦車の装甲板さえ噛み削る怪物――戦術機など取りつかれれば最後、解体(バラ)されて衛士は捕食の憂き目に遭う。 pic.twitter.com/6bCY42eK2k

2019-10-22 23:15:10
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河畑濤士 @KWHTTS

「戦車級……!」 御手洗中隊の衛士達は恐怖と焦燥の入り混じった感情を制御出来ないまま、慌てて照準を修正した。 戦車級の突進速度は時速約60㎞から80㎞に達する。 撃ち洩らせば、死はすぐさま迫ってくる。しかも単なる死ではない。四肢を引き抜かれ、あるいは噛み潰され、咀嚼されながらの死だ。

2019-10-22 23:20:25
河畑濤士 @KWHTTS

「スピア各機、許可なき跳躍は禁止する」 バイタルを見ずとも、新品少尉達が浮足立つのを感じた御手洗は、釘を刺すのを忘れなかった。 新潟市内上空は佐渡島に展開していると考えられる、光線級の射程に収まっている。低空域帯の跳躍なら問題ないが、彼らの練度では“頭を出し過ぎる”危険性があった。

2019-10-22 23:24:18
河畑濤士 @KWHTTS

「しかし……っ」 新人たちが焦る一方で、御手洗は余裕綽綽「問題ない」と笑ってみせた。 「スピア1、こちらミートチョッパー。これより突撃破砕射撃を開始する」

2019-10-22 23:27:43
河畑濤士 @KWHTTS

次の瞬間始まったのは、87式自走高射機関砲1個中隊による対地射撃。 挽肉機械のコールサインは伊達ではなく、数百トンにも上る屍山血河が御手洗中隊の目の前に完成した。その血肉の大河と火網の中に、次々と新手が飛び込んでいく。が、35mm弾の激流を遡ること叶わず、戦車級の先頭集団は消滅した。 pic.twitter.com/2qS0g7yYqa

2019-10-22 23:32:07
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河畑濤士 @KWHTTS

結局のところ緒戦の時点で御手洗が感じていた通り、大した敵ではないのだ。 第12偵察隊の誘導により、敵を釣り上げるのに成功した時点で勝負は決していた。火器を持たず、ただ物量と速力任せで追い縋るだけの連中との野戦。負ける理由が見当たらない。

2019-10-22 23:36:55
河畑濤士 @KWHTTS

七瀬中隊側には約500体にも上る戦車級の群れが殺到したが、七瀬中隊の撃震12機とリモコン操作式12.7mm重機関銃を備えた90式戦車は、遠慮ない十字砲火を浴びせ、危なげなくこれを処理した。

2019-10-22 23:40:43
河畑濤士 @KWHTTS

一方の御手洗中隊側にも戦車級100体余りの新手が押し寄せた。運が悪いことに、この時は87式自走高射機関砲がリロード中であり、御手洗中隊一手でこれを片付けなければならなかったが、殲滅にさほどの時間はかからなかった。 (多少は場馴れしたってことでいいのかな)

2019-10-22 23:42:59
河畑濤士 @KWHTTS

御手洗は安堵の溜息をついた。 戦車級を駆除し終えるのに1時間とかかっていない。損害はゼロ。理想的な完勝だ。残敵の掃討戦で光線級なき戦場とはいえ、初陣の衛士達が死の8分を乗り越えられたのは大きいだろう。 「こちらランナー。これより周辺における残敵の捜索を実施する」

2019-10-22 23:46:40
河畑濤士 @KWHTTS

緒戦から囮として活躍した第12偵察隊は、今度は機械化装甲部隊・機械化部隊・自動車化部隊と協同し、生き残った小型種の捜索と掃討に移るらしい。 彼らを思えば、歩兵の数十倍・数百倍の戦闘力を有するこの鎧に守られたこの身の、なんと安全なことだろうか――と、御手洗は思わざるをえなかった。

2019-10-22 23:51:36
河畑濤士 @KWHTTS

「あとは闘士級や兵士級の捜索と掃討か」 七瀬大尉は、と言えば無邪気に安堵の笑みを浮かべていた。 「俺達の仕事はこれで終わりだな。お前ら、拍子抜けだっただろ?」 その言葉に、御手洗はひっかかりを覚えた。 「大尉ィ……」 「どうした御手洗中尉?」

2019-10-22 23:55:13
河畑濤士 @KWHTTS

「申し訳ないんですがね、大尉殿」 オープンチャンネルで行われていた会話に、90式戦車の車長である板倉曹長が割り込んできた。 「“やけに静かだな”とか“やったか”、“終わったか”、“拍子抜けだな”。こういう言葉は、ろくでもない出来事の呼び水になるんですよ」

2019-10-22 23:58:27
河畑濤士 @KWHTTS

「くだらんジンクスだ」 上機嫌で笑っていた七瀬大尉であったが、2秒後にその笑顔が引きつった。 「こちらコマンドポスト。至急」 「は? どうした、神谷ちゅ……」 「七瀬支隊はこれより送る経路を通過し、次のエリアへ急行してください。渡洋侵攻です。詳細は移動中にお伝えします」

2019-10-23 00:01:49
河畑濤士 @KWHTTS

「なッ」 「大尉ィ……」 ジト目の御手洗から突き刺さる視線を無視して、七瀬大尉はすぐさま次なる命令を下すのであった。

2019-10-23 00:05:06
河畑濤士 @KWHTTS

Mission1:『残敵掃討』おわり。 Mission2:『遭遇戦』(仮称)に続く。 【マブラヴオルタネイティヴ/暁遙かなり】 #age20th #20191022暁遙かなりプレイレポ pic.twitter.com/Lht4eWj8c8

2019-10-23 00:08:13
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