長編 )幸福論 ( Ryo & You )

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やんちゃる @Okt__75

どの家にも、主人公っていると思うの。私の家の主人公は、優しくてかっこいいパパでも、綺麗で料理上手なママでもなくて、可愛くて天真爛漫でわがままで危なっかしい妹ひな 私?私は…ひながお姫様なら脇役Aだと思う。だって幼馴染の亮もきみくんも、みんなひなが好きだから。私は、みんなに見えてない pic.twitter.com/INAkqsfNjS

2019-09-03 22:45:08
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やんちゃる @Okt__75

AM7:10 まだ寝ているひなを起こさず、私は家を出る。 ママのもう出るの?なんて言葉に「今日は朝練だから」と返せばそう、大変ね、と興味無さそうな一言。 昔からそうだ、興味があるのは妹のひなだけ。横「…はよ、ひなは?」「まだ寝てる」横「まじか(笑)」ドアの前にいたきみくんは愛しそうに笑った

2019-09-03 23:17:10
やんちゃる @Okt__75

「亮は?」横「亮もまだ寝てるんちゃう?」「ふーん」 こつん、と足元にあった石を蹴ったらぽちゃんと水たまりに落ちた。 横「昨日雨凄かったな」「ね、雷も酷かった」ひながぎゃーぎゃー騒いでたな…横「ひな、うるさかったやろ(笑)」「うん、私のベッドで一緒に寝たもん(笑)」

2019-09-03 23:24:10
やんちゃる @Okt__75

きみくんとの会話は、いつもひなのことばかり。最初は嫌だったけど、今はもう慣れてしまった。もう、諦めたんだと思う。私の周りの人はみんなひなのことが好きで、守りたくて、仕方ないんだと。 亮「横山くん!なんで起こしてくれなかったん!」〔お姉ちゃん先行くなんてひどい~😭〕

2019-09-03 23:31:34
やんちゃる @Okt__75

「ごめんごめん…」横「ひなと亮寝癖すごいで?(笑)」〔そう言うきみくんも寝癖凄いじゃん!〕横「えぇ?嘘やろ」〔本当だも~ん〕 ぐしゃ、と整ったきみくんの髪を乱すひなと、それにこら!って笑うきみくん。そしてその光景を楽しそうに眺める亮。「…」私はそっと歩きを早めて、そこから離れた。

2019-09-03 23:38:17
やんちゃる @Okt__75

1人で乗る電車。1人で向かって、帰る学校。いつから私は、あの3人から距離を取ったんだろう。そんなことを考えていたら、ぽんと肩に手を置かれて。 丸「○○ちゃんおはよう~」「おはよう丸山くん。今日も早いね」丸「○○ちゃんも早いやん」「そりゃマネージャーだもん」

2019-09-03 23:48:55
やんちゃる @Okt__75

丸山くんと部室に向かっていれば、 丸「あの3人は一緒じゃないん?」「…あの3人って?」丸「横山くんと亮ちゃんと~、ひなちゃん!」 …またひなか。ひなちゃん、と呼んだ時笑顔が明るくなったのは考えすぎかな。「…あの3人は、遅れて来るよ」丸「そうなん?」「…うん」

2019-09-04 00:05:19
やんちゃる @Okt__75

丸山くんと部室に向かって、いつもと変わらない朝練のメニューをして、部室の鍵を丸山くんから預かって返して… また変わらない1日が始まる。 . 亮「なあ」 亮から話しかけられるなんて滅多に無いから、持っていた教科書を落としそうになる2時間目が終わった休み時間。 亮「昨日、」「うん?」

2019-09-04 00:17:49
やんちゃる @Okt__75

亮「雷、大丈夫やったん」「…」 ああ、なんだひなのことか。そんなの直接本人に聞いたらいいのに。亮はいつからか話す時に目も合わせなくなって、会っても避けるようにどこかに行ってしまうようになった。「ひななら、」亮「は?ひなちゃうわ」「え?」亮「お前も、雷苦手やろ」 …覚えてたんだ

2019-09-04 00:22:09
やんちゃる @Okt__75

昔、まだ私が3人から離れないでいた頃。 ひなが熱を出した日雷が酷くて、ママとパパもきみくんも亮もずっとひなのそばにいた。私が近づこうとしたら「あっちに行ってて」と言われたし、見えていないかのように無視もされたのも覚えている。あれは確か…私が11歳の誕生日だったはず。

2019-09-07 22:28:18
やんちゃる @Okt__75

リビングで1人、鳴り響く雷に怯え膝を抱えて泣いていたら 亮「…○○?」「亮…どうしたの」急いで涙を拭い、笑顔を作る。大丈夫、上手く笑えてる。泣くな、我慢しろ私 亮「…」「お腹すいちゃった?確かアイスがあったはず、」亮「ちゃうわ、子供扱いすんな」…子供じゃん。私も、亮も。

2019-09-07 22:43:57
やんちゃる @Okt__75

亮は私の隣に座ると、顔を逸らして私の震える手を握った。大丈夫だと言うように、強く。 「…ひなのところ行きなよ」亮「…おばさんもおじさんも横山くんもいるから大丈夫やろ」「…」亮「…誕生日おめでと」「今言う?(笑)」亮「うるっさいな」ありがとう、その言葉は雨の音に消えた

2019-09-07 22:56:48
やんちゃる @Okt__75

( 亮side. ) きっとあの日のことを思い出しているんだろう。 悲しみに染った瞳を見て、確信した。 亮「○○、」「大丈夫だよ」亮「…」 また、張り付いた笑顔で笑う○○。きっともう癖になってしまってるんだろう。無理して笑うことが。でもそうさせてしまったのは、間違いなく俺らで。

2019-09-07 23:13:26
やんちゃる @Okt__75

〔亮~遅れるよ~?〕 ひなが隣に来て、それに周りの男が可愛いなんて反応する。 「…授業遅れないようにね」亮「…○○も、な」俺の言葉はきっと聞こえていない。小さな背中がいつもよりも、もっと小さく見えて守りたくなった。 〔…やっぱり、嫌われちゃってるのかな〕

2019-09-09 22:09:34
やんちゃる @Okt__75

( ○○side. ) 美「…大丈夫?」 美沙は中学から一緒で、唯一私の気持ちを知っている人。ストレスが溜まりに溜まって、美沙にカラオケで全部吐き出したこともあったな… 「うん、大丈夫」美「ていうか珍しいね、錦戸くんから話しかけてくるなんて」「ね、どうしたんだろう」

2019-09-09 22:25:28
やんちゃる @Okt__75

美沙ちゃんと教室に入ったら、まだ先生は来ていなかったけど空いている席が前の席しなかったから仕方なく前の席に座る。 チャイムが鳴ったと同時にドアが開き、化学の佐倉先生が入ってきて 佐「あれ、今日は○○さんが前の席なんだ」「…はい」そっか~と優しく笑う佐倉先生に胸がドキッとした。

2019-09-09 22:41:19
やんちゃる @Okt__75

私は、佐倉先生の事が好きだ。これは誰にも言っていないし、言うつもりもない。私が佐倉先生を好きになった理由は、勿論ルックスも入っているけど一番の理由は“ひなと私を比べないで、ひなの方が可愛いと言った私に、私の方が素敵だと言ってくれたから” 佐「じゃあここを…○○さん」「…はい」

2019-09-09 23:14:49
やんちゃる @Okt__75

授業が終わって教室から出ようとしたら、佐「○○さん」「はい…?」 高鳴る胸と、ほんのりと赤くなる耳に気づかれませんように。佐「これ、すごく面白かった」渡されたのはこの前佐倉先生に貸した海外ドラマのDVD 「見るの早いですね…」佐「面白くてつい…」「続き持ってきますね」佐「ありがとう」

2019-09-09 23:33:55
やんちゃる @Okt__75

佐倉先生と見つめ合って微笑み合う。 この時間が、とても幸せだと思った。 . 横「○○、聞いとる?」「…あ、ごめん。なんだっけ」横「行く大学。決まった?」「…まだ。きみくんは?」横「俺は就職か進学かで迷ってる」「…そうなんだ」横「○○は大学やろ?頭ええんやし、勿体ないもんな」

2019-09-10 23:57:04
やんちゃる @Okt__75

勿体ない…か。そんな事言われるために頑張ったんじゃないんだけどな… 唯一ひなに勝てると思ったのは、学力だけで。ママとパパに見て欲しくて頑張ったのになぜかいつも優しくされるのはひなだった 横「俺も大学行けるだけの頭があればなぁ…」進路希望の紙を眺めながら、きみくんはため息をついた

2019-09-11 00:10:25
やんちゃる @Okt__75

横「今日部活は?」「休み。グラウンド使えないし、顧問の田村先生も出張でいないから」横「そっか…なら図書館行かへん?」「うん、いいよ」横「良かった~…今回テストで赤点取ったらやばいぞって担任に脅されてて…」「そんなやばいの?(笑)」横「ほんまにやばいねんて!」「分かった分かった(笑)」

2019-09-11 00:27:43
やんちゃる @Okt__75

きみくんと久しぶりに帰るな…そう思いながら靴を履き替えていたら亮とひなが見えて思わず顔を逸らしてしまう そっか、部活ない日はあの3人は一緒に帰ってるんだ 横「あれ、ひなと亮やん」〔2人も帰る所~?〕横「おん、図書館行くねん。な?」「…うん」〔へ~〕横「ひなと亮も来る?」「…」亮「…」

2019-09-11 22:57:25
やんちゃる @Okt__75

〔いいの?亮はどうする?〕 亮を見たら、亮もこっちを見ていたらしくて絡み合う視線。 亮「…俺はええわ、ひなだけ行き」〔確かに亮頭いいもんね〕横「じゃあ3人か、亮も途中まで一緒に帰るやろ」亮「…おん」3人か。ひなとは話す事はあってもご飯出来たよとかお風呂空いたよくらいだし。

2019-09-11 23:14:15
やんちゃる @Okt__75

ひなからは話しかけてくれるけど私からは0に近い。 前を歩くきみくんとひなの横顔を眺めていたら、亮「危ないからこっち」亮が肩を引き寄せて、車道側に移動してくれた。 「…ごめん」亮「ん」下を向いて自分のローファーを見つめながら思う。3.1になると思ったのにな、なんて。

2019-09-11 23:41:02
やんちゃる @Okt__75

亮「…やっぱ俺も行くわ」横「ええけど、なんで?(笑)」亮「教える人2人おった方がええやろ。図書館やと話せへんから違うところにしようや」横「確かにな」〔きみくんの部屋とかは?〕横「俺?亮の部屋にしようや」亮「なんで俺やねん(笑)ひなか○○の部屋でええんちゃう?」…なぜ私を見る

2019-09-12 21:57:33
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