長編 )幸福論 ( Ryo & You )

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やんちゃる @Okt__75

亮「…」「ねえ、亮」亮「うん?」「幸せになってね。私が振ったこと、後悔するくらい」亮「…あほか」 亮が私に手を伸ばしたから、その手から離れるように私は亮から離れる。 「じゃあまた学校でね」亮「…おう」 卒業式まで、私は引越しの準備で忙しくなった。 「…誰もいない」そりゃ日曜日だもんな

2019-09-29 23:17:09
やんちゃる @Okt__75

自分の席に座って、ぐるりと教室を見渡す。明日で卒業かぁ…長いようで短かったなぁ… 「…」明日私は、ここから離れる。生まれ育ってから、劣等感や嫌悪感を抱いた事の方が多いこの街を。でも今は、肩の荷が降りたからかちゃんと笑えているし出て行きたくないと思うくらい。(…もう、遅いけど)

2019-09-29 23:19:53
やんちゃる @Okt__75

「…ありがとうございました」 教室を出る時、私は頭を下げて学校を出た。 卒業式当日、もう泣いているパパ。 「…もう、泣くの早すぎ」《だって…》「あ、ひなリボン曲がってる」〔ありがと…〕「ひなも泣くの早いって」〈…〉「ママ」〈…なに?〉「泣かないでね」〈泣かない、わよ…〉

2019-09-29 23:27:29
やんちゃる @Okt__75

卒業式で名前を呼ばれるの待つとき、佐倉先生と目が合って涙腺が緩む。 口パクで、“おめでとう”と言われた時にはもう涙腺が崩壊してしまった。 美「○○~写真撮ろ~」「撮る~」丸「俺とも撮ろ~」「撮る~」 美沙ちゃんと写真を撮って、丸山くんとも写真を撮る。涙でぐちゃぐちゃだ…

2019-09-29 23:32:45
やんちゃる @Okt__75

忠「○○先輩~あっち行っても俺の事忘れないでくださいね~」「忘れたくても忘れられないよ…」亮「…」「…亮」 亮「卒業、おめでと」「ありがとう」 亮「…写真撮ろ」「…撮ろっか」 亮と写真を撮って、大倉くんとも撮った(強制的) 卒業式も終わりに近づくから、みんなとのお別れの時間も近くなる。

2019-09-29 23:41:13
やんちゃる @Okt__75

【着いたよ】 長谷川さんからのメールに、私は分かりましたと返信する。 「…じゃあ、行ってきます」《体には気をつけるんだぞ》〔やっぱりやだ~〕「ひな…」〔ゔゔ~…〕〈…長谷川さんに、よろしく〉「うん」〈…いつでも帰っておいで〉「…うん」 抱きつくひなを離して、優しく頭を撫でる。

2019-09-29 23:47:09
やんちゃる @Okt__75

「…大好きだよ、ひな」〔…私も、大好き〕「私はずっと味方だから」〔…うん〕 ママとパパと目を合わせて、私は新しい人生を進むように歩きだした。 [荷物はもう、新しい住所に送ったから]「何から何まで…ありがとうございます」[…○○ちゃんは愛されてるね]「…そう、ですかね」

2019-09-29 23:54:20
やんちゃる @Okt__75

[もっと自分に自信持ちなよ]「…はい」 . 数年後 「…亮へ」 お元気ですか?私は元気です。 まず、なんで手紙を書こうと思ったのか。それは、結婚することになったからです。とても優しくて、生涯寄り添って生きていきたい、と思えた人です。今度帰る時、連れていくね。亮は彼女出来ましたか?

2019-09-30 00:03:15
やんちゃる @Okt__75

亮には幸せになってほしいです。なんて、勝手すぎるかな? ー そこまで書いて、ペンを持つ手が止まる。うーん… ー 結婚式はお互いの家族だけでやる予定です。ひなは元気ですか?きみくんは元気ですか?自分で聞けって話だよね。ごめん。亮、私を好きになってくれてありがとう。お互い頑張ろうね ー

2019-09-30 00:09:28
やんちゃる @Okt__75

「…よし」 これでいいかな。 封筒に手紙を入れて、郵便局に向かった。 . (錦戸side.) 亮「…俺宛て?」 錦戸亮様、と書かれた字だけで誰か分かってしまう。…はよ忘れな、今の彼女に悪いのに。 亮「…結婚するんや」{亮くんそれなに?}亮「…幼なじみから」{そうなんだ…}亮「結婚するんやって」

2019-09-30 00:12:33
やんちゃる @Okt__75

{…亮くんはそれでいいの?}亮「えぇ?なんで?(笑)」{だって忘れられない人でしょ?}亮「…そうやな、ほんまは悔しいよ」{なら、}亮「でも、この手紙読んだら吹っ切れた」{…え?}亮「幸せになりって言われてるし、ならな失礼やろ?」俺の言葉に、泣きそうな顔になる彼女の茜。亮「なんか食いに行こ」

2019-09-30 00:16:47
やんちゃる @Okt__75

{亮くんの素麺が食べたいかも}亮「お前バカにしてるやろ?!」{してないよ}亮「いーやその顔はしとる、めっちゃ美味いからな?」{はいはい分かった、材料買いに行こ}亮「も~…」 . (○○side.) 「もうほんっとうるさい!どうなったらそうなるの?!」『何なんですかその言い方、失礼…』「うざ」

2019-09-30 00:20:47
やんちゃる @Okt__75

私の一言に、ムッとした顔をする結婚相手。 「結婚式なのに最悪」『そこまで言わなくても…』「…ほら、新郎のこと呼んでる」『っ…本当に身内だけで良かったんですか』未だに抜けない敬語に、少し笑いそうになった。「…貴方が言ったんでしょ、好きだった男に来て欲しくないって」

2019-09-30 00:23:42
やんちゃる @Okt__75

『そうですけど…』「…ほら、難しい顔しない」『元々こういう顔です』「こうやってしっかりした格好したらかっこいいのに…もったいない」『それが旦那になる男に言う言葉ですか』「ごめんなさい、ほら行くよ」 背中を押して、私は少し考える もし亮と結婚してたら… 『…今他の男の事考えたでしょ』

2019-09-30 00:27:01
やんちゃる @Okt__75

「考えてません」 ほっぺをむに、と掴まれて触れるだけのキスをされた 『…不倫したら裁判でもなんでもしますからね』「…こわ」『それくらい貴方に本気なんです』 人それぞれ幸せの形は違うと言うけれど、これが私にとっての幸せなんだろうな。そう思いながら、私は亮との恋の記憶に蓋をした(おわり)

2019-09-30 00:29:55
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