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望月 鏡翠
@ky_mtdk
落第点、人の思い出とかどうでもいいのでわりと平気でぶっ壊して回って自分のいるものだけ拾ってくる。 そういうところが人に及ばない落第点なんだぞ。
2020-02-13 22:03:47
望月 鏡翠
@ky_mtdk
錆色に死んだ街に灯る生命。花園の少女は変わりなくそこにいた。落第点の花は咲く気配がないが、彼女の花は変わらずに咲き誇っている。 「ほぉら、おみやげよ」 鞄の中から取り出した綿をふわふわとさせる。頭上から振りかけられる綿に少女は困惑した。 「これは何？」 #廃墟組
2020-02-26 17:28:10
望月 鏡翠
@ky_mtdk
「腸（わた）よ。正確にはあなたではなくリック君にだけど」 「そう」 少女は綿を拾い上げ、膝いっぱいの白い塊を見てしばし沈黙した。 「どうして」 言葉を慎重に選んでいるようだった。 「袋とか」 「袋じゃなくてリック君につめてあげてぇ」 「……そうね」 花は小さくため息をついた。 #廃墟組
2020-02-26 17:28:10
望月 鏡翠
@ky_mtdk
鉤棒の石突で扉を破った落第点は、鳴り響いたけたたましいサイレント赤いランプに首を傾げた。それは、深い深い場所でのこと。かつて町だった場所の設備が、比較的綺麗に残っている区画だった。 警報。 死んだ街で音を出すものが珍しく暫し聞き言ってしまった #廃墟組
2020-03-22 15:41:33
望月 鏡翠
@ky_mtdk
道が崩落し、塞がっていた。徐々に崩れていく街のこと、珍しいことではない。全ては降り続く霧雨と、夜の闇に蝕まれて朽ちてゆく。 しかしそのどん詰まりに消えかけの明かりを灯す鉱石ランプの灯りが見えれば、落第点は火を灯しに行かずにはいられない。 #廃墟組
2020-03-22 15:53:12
望月 鏡翠
@ky_mtdk
壁にかかったランプを下ろした時、天井が軋んだ。 降りかかってくる瓦礫を交わす。 ガシャン、と鉤棒の先にぶら下げていたランプが割れた。 光がなくなる。落第点の存在しない心臓が縮み上がった。 手元に消えかけの鉱石ランプの明かりしかない。石を取り替えるには一度光を消すことになる。 #廃墟組
2020-03-22 15:53:12
望月 鏡翠
@ky_mtdk
落第点は女の姿をした影だ。光がなくなれば消えてしまうだろう。試したことはない。試そうと思ったこともない。 こんな些細な明かりを頼りに、地上に戻れる？次のランプを見つけられる？ 今にも消え入りそうな明かりしか照らすものがなく、落第点は今にも薄れて消えそうだ。 #廃墟組
2020-03-22 15:57:04
望月 鏡翠
@ky_mtdk
進むことも戻ることもできない。この僅かな明かりを頼りに瓦礫を退けて、進むことなどできるはずが無い。これを落として割れてしまったら？途中で明かりが絶えてしまったら？ そうしている時間すら惜しいのに、呆然と立ち尽くす落第点を、真新しいランプの光が照らした。 「貴女何してるの？」 #廃墟組
2020-03-22 15:59:28
望月 鏡翠
@ky_mtdk
模造品の花。花園の生き残り。 少女が通路を覗き込んでいた。その手には鉱石ランプがある。 どんな仮面をつけて対するべきかわからなかったので、そのまま無貌で彼女に答えた。 「貴女こそ、どうしたのかしら。こんなところまで来るなんて、珍しいわねぇ」 「大きな音が、したから」 #廃墟組
2020-03-22 16:01:58