観劇報告書2019(12月-Ⅰ)

収録団体は廃墟文藝部です。
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【サカシマ】
【作品紹介】
ある日、主人公の妹の姉があるビルから飛び降り自殺をしてしまう。葬儀後、彼女の姉の死の真相を知るべく妹は彼女の携帯の履歴を見てみることになるのだが、そこには死の直前ある人物と通話していた記録が残されていた。果たしてその人物とは…?

その人物とは夜間のみ開業しているメンタルヘルスに関する相談センターの先生。どうやら彼女は死の直前ここで何かを話していたらしい。そこで妹は早速そこに電話をかけて姉の死の原因を聞き出そうとするのだが、彼は教える条件として彼女がその相談センターに勤務することと引き換えに教えることを提案してくる。

そして毎夜毎夜、彼女はひっきりなしにかかってくる自殺志願者の電話相談を受けることになるのだが、夜間であることも手伝ってか学校やバイトもままならなくなり心身共に疲弊していく。そんな最中、彼女は自分の母親の電話相談を偶然聞くことになるが余りに衝撃的な内容にショックを受けることとなり更に追い詰められていく。

そして、程なくして突然理由も不明なまま母は父に撲殺され、父もまた母の後を追うかの様に命を断ってしまう。その後、彼女はある理由でセンターを解雇されることになる。その直後、彼女の誕生日にセンターの職員①から姉の自殺直前の音声記録を誕生日プレゼントとして託されることになり彼女は目的を果たすのだが、それは本人にとっては死を選ばざるを得ないほど絶望的な内容が記録されていた。そして、彼女もまた姉と同じ場所で命を断つことになる。

MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

【観てきました!(「`・ω・)「】 【サカシマ】(廃墟文藝部) いやぁエライもん観てもうたなぁ…これは明日から会社なのに鬱になってまうではないですか。単に誰かの飛び降り自殺の話だと思ってたら、距離が地上に近づくに連れてほぼドミノでみんな破滅しているではないですか。これは困ったなぁ(苦笑)。 pic.twitter.com/G6exOOs29t

2019-12-01 19:15:49
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早い話が主人公の妹が100mのビルから飛び降りて地上0m地点に到達するまでのわずかな時間、走馬灯の様に駆け巡るこれまでの思い出をmごとに思い起こしていくって話なんです。なお額面通りに全体の内容を取ると単なる姉の自殺に伴う一家崩壊そして全員まとめて心中する話featuring変なメンタルクリニックの人々と取れなくもないのですが単にそういう意味合いの話ではたぶんございません

あくまでも本作を観ただけの印象だけで物申し上げるとですね、高度が下がり加速が増すに連れて主人公である妹の感情の方がですね、何も出来ないという悲しみから、とりまビルの床という固くて冷え切った「理不尽な世の中」に怒るが如く力一杯に何でも良いから叩きつけてみよう!…みたいな感じに変わって行くって印象の内容なんですね。あくまでこちらの感覚的な問題なんですが30m以降は特に加速が増してる…そんな気がしましたねぇ。
要はぶつけても何も変わらない、泣こうが喚こうが、自分一人が死のうが、今日も何も変わらず普通に動いてるビクともしない余りに暗くて冷たすぎる世の中に対する怒りっていう風に取れたんですね。つまりもっと言っちゃうと私ここにいるんですけどぉ!!今までちゃんと泣くってだけだけど感情持った生き物として存在してるんですけどぉ!!おたくら世の中からすりゃ、おるのか、おらんのか、死んでるのか、生きてるのかって感じなんでしょうけどねぇ、ちゃんと感情持って生きてきたんですよぉ!!みたいな感じですね。文字通り一気に人生という命を燃やし尽くすってことなんだけど、それしか方法無かったのかよ!?と思うとこれまたやはり理不尽な話だなぁとは思いました。

【ここから追記】
この後、なんかかんか、少しばかり考えてみたのです。そうするとある結論が出てきました。これはつまり人の願望そのもの、もっと言えば作者自体の願望ではないのかと。要はですね、世の中という名前のコンクリートの床あたりに自身の作品という名のあたりを打ちつけ衝撃を与えることで、血の跡という何かしらの足跡…この場合、自分の作品でもなんでも良いんでしょうけどそれを染みという形で後世あたりに残そうと、もしくは残せたら良いなぁと思ったのではないかと…そんな気がしてきたのですね。ちなみにこの話は後で浮かんだことなので読まれた皆様はそんなわけないだろうとかなんとか思いながら心の中にそっとしまっておいて下さい。ええなんせファミチキをかじりつつ缶チューハイ飲みながら考えた話なのですからw。ちなみに怒り悲しみってのがこの演目には頻繁に出てくるのですが、作者の願望という視点から考えるとその怒りと悲しみというのは作品自体に込められた想いなのかもしれませんし、作品における産みの苦しみかもしれませんね。

そうなるともう卵(自殺の時の肉片あたり)に煙草を押し当てるメンタルクリニックの先生の件は(←そういうのがあったんです)おわかり頂けますかねぇ?。つまり彼はこの場合後世の人なんです。評価を与えるという意味で。その評価が「なんだ、こんなつまんねーの」ととるかもしれないし、「なんか面白いのがあるぞ」と取るかもしれませんが、その辺はそれこそ後世の人が決めることなんでその頃死んでるであろう作者当人にはわかりませんけどねぇ笑。

MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

【観てきました!(「`・ω・)「】 【サカシマ】(廃墟文藝部) 話としては情報量多くて面白いのですね、ただ登場人物達が余りに不幸に向けて突き進みすぎて救いようがないのがなんとも。本当にありそうで生々しすぎる。あーでも誰かが自殺していて、誰も止められない時点でもう底辺なのか(苦笑)。 pic.twitter.com/dcmevF9tqN

2019-12-01 19:16:00
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【登場人物】(◇今回パンフには役の名称が未記載なためだいたいで喋りますw)
★妹…仲田瑠水
★姉…伊藤文乃
★メンタルクリニックの先生…八代将弥
★メンタルクリニックの職員①…芝原啓成
★メンタルクリニックの職員②…瀧川ひかる
★姉妹の父…いば正人
★姉妹の母…藤井見奈子
(♤敬称と所属団体名は略してあります)

主人公の妹ってただひたすら何かに嘆いてて、そして哀しい顔して下ばっかり向いてるイメージなんです。実際姉との回想ではずっと泣いてましたし。でも世の中のほとんどの人って大多数がこうだと思うのです。言いたいことも言えずに終わってしまうというか。そういえば話変わりますけど妹の走馬灯の中に出てきた良き思い出って誕生日と姉との天体観測と幼い頃ばっかだった気がするんですけど、やっぱ成長するに連れて…それなりに察してはいたのかもしれませんね。それにしても仲田瑠水さんせっかくお色気シーンあったのに正面で拝めなかったよぉ…ここだけは座席座った場所失敗したなぁ…美人さんなのに、残念。(←なんの話だ)

姉は本編始まる前に既に死んでるので妹の回想でも前述の通り幼き日以外ってあんま出てこないんですよ。やっぱ本編通り姉妹あんま仲良くなかったのかな?イメージとしては自分に正直で真っ直ぐな強い女って感じなんですよ、あらゆるものに抗うみたいな、ただ出る杭は打たれるじゃないですけど抗いすぎて疲れちゃった人なのかな?とは思いますね、要は好きな人が既婚者なのも含めて生き方がぶきっちょすぎて損してる人なんだと思いました。なお姉の自殺の要因世の中ではそんなことで自殺するぅ!?って言われる事柄だよなぁ…これ、きっと。

姉妹の父は主人公の姉の自殺までは一緒に誕生日を祝ったりするなど割とどこにでもいそうな普通の父親って感じだったんです。ところが主人公の姉の自殺以降は意味もなく怒りっぽくなり、自殺の仕方がどーのとか狂気みたいなことを時おり呟く様になった末に、自分の妻である主人公の母を撲殺し自分の命まで断っちゃうんです。その直前、庭で金属バット振ってた場面があるんですけど、もう不吉な予感しか。まぁなんでこーなったのかは正直本編観てもよくわからないんですけど、恐らくは悲しみすぎて気がふれて壊れたのか、この悲しみを少しでも忘れたいのに隣で妻がずっと泣いているのでその度にその事を思い起こしてしまい忘れることも許されないこの現状に心が疲れ果ててしまったのか…?…謎でした。

姉妹の母はハッキリ言って最も鬱になりそうな人物でした。正直なところ見ていてしんどいんです。だって主人公の姉が死んで以降生きる気力というものが見当たらないんですもの、これじゃいずれ自殺しちゃうだろうなぁーって感じで。端から見ていても病みが深すぎるんですよ。あとは実の子供をメンタルクリニックの電話相談口とはいえ存在を否定しちゃう様な親ってのは嫌でしたね。いや今更それわざわざ言うのかよ!?って感じですからね。まぁこの人たぶんきっと姉のことを心の底では溺愛してたのでしょうね。

メンタルクリニックの先生と職員①は2個1って印象でした。もちろん全くの別人同士なのですがどうしてもこの2人だけは別人同士とは思えなくて星座で言うなら双子座って感じでしてね、つまり両者とも言ってる1つの何かを表と裏を表したものだと感じたんです。ただ両者ともどっか狂ってるな、死神っぽいなとは。
まず先生は人をバカにした様な下品な笑いと人が死ぬのを嬉々として語ったり、あるいは首を絞めることを職員①に頼んだりしてることからそういう印象を持ちました。やることがすでにキチガイすぎるので。また職員①についてはにこやかにココアをやたら半ば親切の押し売りみたく勧めるのをよく覚えているんですけどね、まぁもっともこの時点で不気味なんですが。その上で「長生きしましょう」とか本編の中盤辺りで言ってた割には最後は主人公の妹の自殺の直接の原因となった姉の自殺直前の音声記録のメモリを渡したりしてるのでまぁそこから来てますよね、不幸に突き落とすって感じで。

で結局、この2人ってよく似てるけど何なんだろう?って話ですよ。実を言うと最初はわからなかったんです。で主人公の妹、その姉が、父、母と頭の中で思い浮かべてみた訳ですよ。そしたら自分の中で合ってるかどうかは別として答えが浮かんだんです。そうこれはまさしく今の世の中の表と裏そのものじゃないかと、他人の不幸は蜜の味とか言いますし。さっきの職員①の「長生きうんぬん」という台詞ってきっと社会の建前というか上っ面のお話に過ぎないんですよ。裏というか底辺はもっとこの演目の染み付いたドズ黒い血か先生の台詞みたく汚くて。
今でも自殺の報道やら本編に出てくる震災の話やら不幸な話って他人事みたいにじゃんじゃん流してるじゃないですか、それも時おり薄っぺらい同情なんかも織り交ぜちゃったりなんかして。それをですね、うわぁそんな不謹慎なとか心にもあるのかないのかよくわからない言葉を述べつつやはり他人事の様に興味深げに見てる我々がいたりする訳ですよ、傍観者ってヤツですね、まぁ何とも闇しか感じない話ですが。なんだかまとまりスゲー悪いですけどそんな印象を彼らには持ちましたね。

メンタルクリニックの職員②もこれまた変なヤツでしたね。どっか壊れてる。設定年齢が15歳だったかなぁ?親がいなかったんだっけ?忘れちゃいましたけど。確かに明るいんだけど煙草は吸うわ、主人公の母親には平気で残酷なことをのたまうわで笑って人殺せそうな怖いキャラでしたね。なんか油断してると後ろから刺されそう。チャッキー人形か笑。