米海軍の新型艦、沿海域戦闘艦(LCS)について

6/4、IISSのシャングリラ対話で米国のゲイツ国防長官は米海軍の新型艦、沿海域戦闘艦(LCS)を今後シンガポールに配備すると明言した(http://bit.ly/myBa1g)。そのLCSは南シナ海における中国のハラスメント行為を監視する役割を担う可能性が高いと思われる。LCSについてのまとめ。
16
fj197099 @fj197099

米軍新型艦、シンガポール配備へ…中国けん制か(http://bit.ly/lGHRkz)…今日のゲイツ長官演説で注目されたのがこの点である。沿海域戦闘艦(LCS)は既存の海軍艦艇の枠内に留まらない新型艦だ。その名の通り沿海域での活動を主とする3000tクラスの比較的小型の船だ。

2011-06-04 20:28:05
fj197099 @fj197099

米国の海軍艦艇は基本的に遠洋航海仕様の船から構成されている(Blue Water Navy)。しかし現代においてはA. マハンの時代のように艦隊決戦など起こり得る時代ではない。主たる軍事活動はむしろ沿海域で行われると考えた方が自然である。それもそれほど高くないレベルの紛争が多い。

2011-06-04 20:30:31
fj197099 @fj197099

LCSはそうした比較的ローエンドな軍事環境における沿海域での戦闘を重視した設計の新型艦である。主たる目的としては哨戒、情報収集、臨検、対潜水艦戦、対機雷戦などである。こういう活動において重要なのは重厚長大な重装備の艦船よりも比較的小型で軽武装だが高速で移動でき神出鬼没の船である。

2011-06-04 20:33:48
fj197099 @fj197099

LCSとはまさにそのような船だ。イージス艦が8000t以上で速度30ktなのに対し、LCSは3000t程度で40kt以上が出せる。水上艦で30ktを超えるのは大変なことで、40kt以上ともなれば正に高速艦である。しかも省人化・ネットワーク化が図られており近代戦にも対応できる。

2011-06-04 20:37:42
fj197099 @fj197099

最大の特徴は艦の武装やシステムをモジュール化により様々な形に変えることができることであり、その形態は現在、水上戦闘、対潜水艦戦闘、対機雷戦闘の三つのパターンが用意されている。このモジュールの開発が難航しているのがLCSの欠点でもあるが、だがいずれ障害は克服されるだろう。

2011-06-04 20:41:51
fj197099 @fj197099

LCSには二つの船体がある。ノースロップ・グラマン社の建造する単胴船のフリーダム級とジェネラル・ダイナミクス社の建造する三胴船のインディペンデンス級だ。同じLCSなのにどうして二種類あるのかといえば、本来これは選考用の試作であってどちらか一方に絞り込まれる予定だったことがある。

2011-06-04 20:44:28
fj197099 @fj197099

しかし海軍は昨年11月、なぜか絞り込まずに二隻をそれぞれ採用して10隻ずつ調達するという道を選んだ。絞り込むことで落選した側の訴訟を恐れての措置かもしれない。費用の問題かもしれない。いずれにせよ両者とも要求水準を満たしていたのであろう。最終的には55隻が建造されると言われている。

2011-06-04 20:46:29
fj197099 @fj197099

米軍の現在の艦船の数が300隻弱であり、これは今後もこの程度に留まることを考慮すれば、最終的に50隻以上を建造するLCSは米海軍の中で相当な存在感になることが予測できる。現在の米軍艦船の主要なイメージは空母を別にすればイージス艦だが、それがイージス艦とLCSになるかもしれない。

2011-06-04 20:48:10
fj197099 @fj197099

ともあれ海軍としてはこのLCSに期待している。余りハイエンドな軍事環境では防空能力を欠く等の問題があって活躍できないが、しかしローエンドな軍事環境における対処能力には高いものがある。中国の南シナ海におけるハラスメント行為のチェックなどはうってつけだ。だからシンガポール配備なのだ。

2011-06-04 20:50:23
fj197099 @fj197099

LCSを映像で見るとこんな感じ。フリーダム級(http://bit.ly/k4mjp5)、インディペンデンス級(http://bit.ly/kRSC7t)。LCSについての報告書はこれ(http://bit.ly/js0fzV)。後はシンガポールに何隻配備するかが気になる。

2011-06-04 20:54:31