@cyan0401 @osana0 えっ!?褐色美少女・・・ワイルド・・・そんな・・・まだ茹でてないのに足をどうするの蟹の足をどうするの!!!????
2019-12-16 19:19:59@r_shinogu @cyan0401 見知らぬ人物に連れてこられたのは海岸沿いのレストランのテラス席だった。周囲の喧噪に落ち着かずそわそわしていると、突然目の前に大皿が置かれた。大きなハサミに殻。蟹だ。「食え」
2019-12-16 19:20:18@r_shinogu @cyan0401 目の前の人物に命令され、私はこわごわと目の前の蟹を覗き込む。足が縛られていて動けないようだ。つぶらな目が私をじっと見ている。
2019-12-16 19:26:49@osana0 @cyan0401 蟹は元からあかい殻を香辛料で紅くされて、入れられた切れ目から白い身が覗いている。これ、素手で食べるのだろうか。
2019-12-16 19:27:48@r_shinogu @cyan0401 もう一度男をうかがう。「食え」再び命令された。私はまず指先で蟹をつんっとつついてみた。
2019-12-16 19:29:20@osana0 @cyan0401 (蟹は内心ひいいいいんと声を上げたかったが蟹は既に死んでいた)指先にぎとぎとした紅い汁が付く。試しに舐めてみると、辛くてすっぱい。
2019-12-16 19:32:35@r_shinogu @cyan0401 ぎゅるるっとお腹が鳴った。そういえばもう三日もごはんを食べていない。私はそっと殻に手をかけ、蟹の足をぐっとひねってみた。
2019-12-16 19:34:47@osana0 @cyan0401 ばりばりばり、ちょっとした手応えののち、蟹の足が関節からすぽんと抜けた。これぞ肩透かし。硬いとばかり思って力を入れすぎ、白い身がぷりっと飛び出て、紅い汁がぴょーっと飛んだ。具体的には向かいに座る男の白いシャツへ向かって。
2019-12-16 19:38:12@r_shinogu @cyan0401 「ごっごめんなさっ」「いい。食え」真っ黒なサングラスをつけた男はぶっきらぼうに言う。私は何度か蟹と男を見比べて、ぎゅるるるっとまた鳴った腹の音に耐えかねて、飛び出た白い身に口を近づけた。
2019-12-16 19:41:39@osana0 @r_shinogu ーーおいしい。食べたことのない味。ぷるりとした身は口の中で解け、筋となる。どうやっても噛み切れないものーー透明な、骨?なんだろうこれは。「それは食わなくていい」男は素っ気なく答えた。
2019-12-16 19:44:39@cyan0401 @osana0 (蟹「かわいい・・・・・・・・・・・」だが蟹は既に死んでいる)(蟹は既に死んでいる)香辛料の香りに混じって、生暖かい海のにおいが鼻をつく。なまぐさい。でもおいしい! 次の一本にかぶりつくと、ぴりっとしてつーんとしてすーんとして、甘い。
2019-12-16 19:45:40@r_shinogu @cyan0401 頬が自然と緩む。最後の足をもいでその中身に歯を立てた。体をぱかっと開けて、その中身も食べる。おいしい。もっと食べたい。すっかりからっぽになってしまった蟹の殻を前にして、私はちらりと男を見。向かいで男はサラダをつついていた。「なんだ」「えっえっと」「おかわりなら食え」
2019-12-16 19:50:06@osana0 @r_shinogu 「い、いいんですか」「店も単価が安い客は嫌だろう」よく分からないことを言っているが、どうやらいいらしい。…でも何を頼めば?今のは何?かにぐらたん、とかいうのも聞いた気がする。殻をほじるのも楽しかった。
2019-12-16 19:53:46@cyan0401 @osana0 「か、かにぐらたん、は」「あるんじゃないか」男はサラダをつっつきながら側を通り過ぎた店員を顎でしゃくる。ごくり。唾を飲み込んで、「あ、あの」手を挙げる。店員さんはポニーテールを揺らして振り返った。「あの、かにぐらたんは、ありますか」
2019-12-16 20:00:10@r_shinogu @cyan0401 「はい、ございますよ。他にご注文はございますか?」「えっ、えっと、えっと」メニュー表を渡されて目が泳ぐ。文字は読めない。向かいの男に目で助けを求めると、一言「写真」とだけ答えた。メニューを裏返すと、一面にカニ料理の写真があった。
2019-12-16 20:03:35