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がんスクリーニング検査の感度と早期発見についての解説

まとめました。
がん スクリーニング 感度 特異度
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大脇幸志郎 @0waki
余計なお世話ですが、たぶん健康にはなれませんし、お金の無駄なのでやめておいたほうがよろしいかと思います。理由は以下で。 twitter.com/Yusuke_Tokyo/s…
大脇幸志郎 @0waki
あまり細かい話をすると難しくなるので、 エヌノーズ.com ここにある「感度85%」「特異度85%」という数字だけをもとに説明します。この数字からはこの検査が「絞り込まれてない大人数の検査にはまったく役に立たない」と結論できます。
大脇幸志郎 @0waki
言葉の定義は書いてあるとおりです。たとえばぼくは目をつぶっていても感度100%でがんを言い当てられます(全員を陽性にすればいい)。同じように、目をつぶっていても特異度100%でがんがない人にはないと言えます(全員を陰性にすれば)。感度と特異度はセットでないと意味がありません。
大脇幸志郎 @0waki
一般に、検査は感度を上げると特異度が下がります。逆もまたしかり。だから「感度85%、かつ特異度85%」はけっこう悪くない数字に見える。ところが「絞り込まれてない大人数」が対象となると、これではぜんぜんだめです。なぜか。
大脇幸志郎 @0waki
絞り込まれてないというのは、たとえば渋谷のスクランブル交差点で歩いている人を片っ端から検査するイメージです。渋谷だと若い人が多いのでがんがある人は特に少ないでしょうが、まあ細かいことは抜きにして、てきとうに集めてきた人にたまたまがんがある確率はかなり低いです。仮に1%としましょう。
大脇幸志郎 @0waki
問題です。10000人に検査をしたとして、そのうち1%にがんが隠れているとして、「感度85%、特異度85%」の検査で「陽性だった人のうち、実際にがんがある人の割合」はどれくらいでしょう?
大脇幸志郎 @0waki
正解は5%。表のように、85/1570=0.054...となります。もともと1%だったのが5%に上がったのだから悪くない検査かもしれませんが、それでも陽性の95%は偽陽性なのです。 pic.twitter.com/iT2kw29WXZ
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大脇幸志郎 @0waki
で、陽性だった場合に「もっと検査をしよう」となるわけですが、次の検査でもこの調子です。陽性が重なるごとに5%が20%とか30%になっていきますが、たいていの人はどれかで陰性になって「絶対とはいえないが、たぶん違う」という結論で経過観察されます。
大脇幸志郎 @0waki
「無駄な検査が多くても本物のがんを発見できるならいいじゃないか」と思ったら甘い。検査自体の危険性も無視できません。内視鏡で胃や腸に傷をつけるとか、前立腺生検で尿漏れや勃起障害を起こすとか、例は無数にあります。検査は必要なときだけやるものです。
大脇幸志郎 @0waki
ここまで要約すると、1万人中の85人のがんを発見するために、その20倍近い人が無駄にたくさんの検査を受け、「がんはたぶんないがあるかもしれない」などと言われてモヤッとすることになります。
大脇幸志郎 @0waki
15人のがんが見逃されていることにも注意してください。検査で陰性でも「大丈夫」とは言い切れません。むしろ安心してしまって発見が遅れるかもしれません。またここまでの議論では、いまはなくても将来がんになる可能性はまったく考慮していません。
大脇幸志郎 @0waki
がんが見つかった85人はラッキーだったか。そうとは限りません。ほっといてもいずれ見つかりますし、それから治療しても結果は同じかもしれない。「早期発見すれば治るが遅れると治らない」というのはごく一部についてしか成り立たないことです。
大脇幸志郎 @0waki
一般に検診が推奨される大腸がんのデータの例。ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28236467 検診をしなかった場合、大腸がんがあった人のうち30%ほどが研究期間に亡くなりましたが、検診をしたグループでは28%ほどでした。
大脇幸志郎 @0waki
差分の2%が検診の効果ということになります。超適当に今回の例に当てはめると、85人のうち1人か2人は早期発見で命を救われるかもしれません。
大脇幸志郎 @0waki
ここで「研究期間の」死亡しか見てないことに注意してください。「早期発見して助かった」というのは永遠に生きるという意味ではなく、余命が「研究期間からはみ出すくらいに」伸びたということです。その差は数ヶ月かもしれないし数年かもしれない。
大脇幸志郎 @0waki
1人でも命を伸ばせるならいいのかもしれません。その1人のために1万人が1万円の検査をしているので1億円かかっています。1500人は間違った検査結果を聞かされ、その中には検査で事故に遭う人とか不安で生活を壊す人もいるかもしれません。
大脇幸志郎 @0waki
「1億円で命が数ヶ月伸びるなら安い、事故なんか気にしてられるか」と思う人は止めませんが、その取り引きには前提として、人生が1万回なければいけません。実際には1回ですので、99.99%ほどの確率で、無駄遣いに終わります。ですのでおすすめできません。以上です。
大脇幸志郎 @0waki
補足。本当はがんの種類ごとに早期発見の意義はぜんぜん違います。大腸がんはトップクラスに好意的な例です(しかも大腸がんについてさえ過剰なくらい好意的に書いてます)。また、この検査でどうやって診断に結びつけるのかも疑問です。実際はもっと利益は薄いか、おそらくはマイナスだと思います。
K2 @Dr_ex_convict
@0waki 端的に纏まっていて最高です。ただここまで詳しく書いても多くの方には理解されなさそうですよね、、。個人的には15種類もの癌を対象にしておいて感度85%と言い張るのも疑問ですが、特異度85%ってそれ他の血液腫瘍マーカーよりもさらに低いのにスクリーニングで使おうとよく提案できるな!?って驚愕
斎藤清二 @SaitoSeiji
この「スクリーニングテストの効能評価」についてのお話は、同じような内容を講義でも教えているのですが、30分くらいかけて話してもなかなか理解してもらえません。正確に理解したいと思う学生さんはぜひこのスレッド(他の先生のコメントも併せるとなお良い)読んでください。 twitter.com/0waki/status/1…
Taka🔥救急医 @mph_for_doctors
話題の尿検査についてのいいツイート。 ・感度/特異度と罹患率 ・スクリーニングが有効であるがんの条件 ・検査の害 ・検査の費用対効果 が網羅的に説明されており、完璧だと思います(追記などない限り)。 医療従事者であっても読んでおいて損はないです。 twitter.com/0waki/status/1…
β @falconstockbeta
>10000人に検査をしたとして、そのうち1%にがんが隠れている >「感度85%、特異度85%」の検査 この条件で「陽性だった人のうち、実際にがんがある人の割合」がこれ。 一般人には特異度85%(偽陽性とならない精度)が感覚的に理解されにくい。 twitter.com/0waki/status/1…
shimarz @schema_sangyou
なるほど。真の値(1%)が小さいと特異度の低さが支配的に効いてしまう。『絞り込まれていない大人数の場合』という条件はそのためか。 twitter.com/0waki/status/1…
レッド@掠風竊塵 2nd・予備 @Spooky_Red999
いや、なんか長々と説明書いてはいるけど(途中で投げた)、そもそもだよ 「癌が発見出来たからといって、別に健康にはならねえよ」っていう根本的な所をツッコむべきでは…? twitter.com/0waki/status/1…
松永 和紀 @waki1711
“血液1滴でがん診断”をどう考える? 「がん検診には害がないという誤解を利用して、お金儲けをしているように見えます」だそうです。医療機関も問題だけれど、報じるメディアの責任は? と考えざるを得ない。→→toyokeizai.net/articles/-/296… #東洋経済オンライン @Toyokeizaiさんから
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コメント

まきにょ @makinyopp1 2020年1月16日
エラー率15%で発生が個人差無くランダムだとしたら複数回この検査を重ねて絞り込むでいいんじゃないのか?危険性の無い手軽な検査なんだし問題はコストだけだろう。確率の概念が理解できないバカに騒がれると厄介だけどw
独壇場B-T @dokudanjobt 2020年1月16日
これ1つで完璧!って思うのは危険だろうけど、従来の、例えば健康診断とかで補助的に使うには有効な技術なんじゃないかな。健康診断で初期状態の癌が見逃された、なんて話はよく聞くし。陽性が出たら「再検査」で複数回行うか、別の精密検査をプラスするか。
Halfricesetitsmore @Halfriceset 2020年1月16日
makinyopp1 まとめ内に書いてある通り「同じ検査を何度やっても絞り込む事は出来ない」それどころか逆に「擬陽性だったとして見逃してしまう危険性が増える」。つまり、検査会社を儲けさせる以外にほとんど意味がない。