『散り椿』での岡田准一の「殺陣」がホントに凄い! 【『燃えよ剣』の殺陣にも期待を込めたレビュー】

映画『散り椿』の最大の見所である「殺陣」と国宝級アクション俳優、岡田准一について語りました。 『燃えよ剣』も楽しみ。
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惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

#散り椿』での「殺陣」が衝撃だったのでちょっと感想をまとめてみよう。 主演の岡田准一が満を持して自らの技巧能力を披露した時代劇『散り椿』だが、其の殺陣の技術力、動作設計のレベルの高さには期待以上に舌を巻いてしまった。 岡田准一は間違い無く希少である次世代の「本格派」だ。 pic.twitter.com/UEeGTAH0XF

2020-02-03 01:59:21
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『SP』の頃からアクション面でその才覚を表していた岡田だが、イマイチ決め手に欠ける動作設計と捉え所の悪いカメラワーク=編集により当時はフラストレーションを感じた。 特に真木よう子達数人が同時に戦う際のカメラの無闇なブレ具合が最悪であった記憶がある。 pic.twitter.com/JVhgKTLgx6

2020-02-03 04:44:12
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それから数年、幾らか老けて円熟味と迫ある面構えへと変化した岡田准一を『散り椿』の予告で目にした時は、かつて最も油が乗っていた頃の真田広之を彷彿とさせた。 アクション面でもかなりの上達ぶりを期待させてくれる予告編だったのを覚えている。 pic.twitter.com/Pm0izedyri

2020-02-03 04:52:33
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『散り椿』はとても久しく思う程の高品質で正統的な時代劇だ。 まだこんなにも広大で優美溢れる自然が残っていたのかと、其のロケーション選抜チョイスにも感嘆した。 富山県の美しい地形を撮影したとても贅沢な映画だ。 pic.twitter.com/Njq5eERmnj

2020-02-03 05:01:42
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『散り椿』での見応えある殺陣は主に大きく4つに分けられる。 まず1つ目でOP数秒と経たず主人公、新兵衛が刺客三人に襲われる。 冒頭からの掴みはバッチリで、この時点で監督が如何に殺陣を重要視しているかが窺える。 時代劇に於ける「殺陣」とは導入であり、終盤でも魅せる最大のカタルシスだ。

2020-02-03 05:33:59
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1人目を小手返しで投げ、そのまま2人を瞬時に切りつけ最後に投げた1人をも斬る訳だが、この殺陣はまず手始めに岡田の剣速「速い一閃」を強調させたシーンだ。 その性質は実践的なリアリズムタイプであり黒澤映画での三船敏郎の立回りを思い起こさせる。 pic.twitter.com/u3x9YwD9MA

2020-02-03 05:37:13
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2つ目も刺客数人に襲われるシーンだが、此処は相手の急所=喉などに掌底打ちを放ったり巴投げを決めたりと、岡田の得意とする格闘寄りな技体能力を魅せる場面だ。 古武術の型動作をCQC風にしたアイデアが実に面白かった。

2020-02-03 05:48:33
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そして個人的に最もメインの見せ場と思う3つ目の殺陣は西島秀俊との一対一での対人戦だ。 此処では主に刀剣の打ち合い、見映えを重視している。 時代劇の殺陣の中では珍しい部類で互いの一手=連続した速い打ち合いが多く非常に見映えが良い。 激しく動き間を空ける、静と動の伝統スタイルでもある。 pic.twitter.com/aLEbXSaW85

2020-02-03 07:05:16
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カメラワークは基本真横からのカットのみだ。 相手の足を狙い状況が次の段階へ移行する所で、カメラがグッと寄りメリハリをつける。 シンプルな編集ながらも見易い捉え方で攻防が分かりやすく、とても素晴らしい。 pic.twitter.com/xadTp1spVr

2020-02-03 07:14:00
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激しい連激の最中に岡田は西島の腕を素早く掴もうとしたり、脇差しを抜こうとした瞬間咄嗟に抑えたりもする。 こういった細かい動作の振り付け等は恐らく岡田のアイデアだと思われる。 過去の時代劇を担当した振り付け師の発想では、あまり例を見ない特徴的な動作設計だ。 pic.twitter.com/86qWp4kB2D

2020-02-03 07:21:10
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加えて時代劇の格調を損なわないまま保っている殺陣のバランスが絶妙だ 『るろうに剣心』の殺陣はアクション監督の谷垣健治による香港仕込みな動作の派手さや的確なカメラワークにカットの繋ぎ等が素晴らしかったが、時代劇の殺陣に於いて大事なのは「品格」のある演出だ 正しく散り椿にはソレがある pic.twitter.com/rlgS9vWysZ

2020-02-03 07:34:08
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日本刀を使った一対一の戦いでは『座頭市物語』(62)と『座頭市 血煙り街道』(67)や『ザ・ヤクザ』(74)に『魔界転生』(81)といった歴代の傑作タイマンバトルと並ぶ程の完成度だ。 『散り椿』は五本の指にも入る剣戟映画だと断言出来る。 pic.twitter.com/OC4IEXitnE

2020-02-03 08:02:00
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そして4つ目である終盤の殺陣も凄い。 素早い太刀筋から、体を捻りバッサバッサと切り進んでいく見映えと実践的な動きは今まで見せた殺陣の総体的構成だ。 最後の1人相手には上体と腰を落とした状態で間合いを詰め、峰を押さえながら刃を相手の首に押し当て抉り切る。 時代劇でこんな型は初めて観た。 pic.twitter.com/WqRHS34pV9

2020-02-03 12:01:45
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岡田准一と三船敏郎、こうやって比較して見ると衣服等のビジュアルを寄せているとはいえ結構似ている。 全身の背格好や体格も三船にとても近い。 其の殺陣のスタイルもかなり意識していると見て良い。 pic.twitter.com/PfmizxzlML

2020-02-03 12:51:08
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若い頃の三船の写真と比較すると個々のパーツの形が近いのも分かる。 岡田准一は険しい表情になった時の目付きの悪さ等も似ていて、とても良い面構えになる時がある。 特に鼻の形から口までの間隔が近い様に思う。 pic.twitter.com/PXqz1SERVd

2020-02-03 13:03:53
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さて、本題の「岡田准一」の殺陣が歴代と比べてどれ程上手いのか?に移ろう。 あくまで個人の見立てになるが、殺陣だけに関して言えばとうに三船敏郎を越えていると判断出来る。 実践的な型を主としたリアリズムとスピードある太刀捌き等が共通しているが、速さと型の精度の表現なら岡田の方が上だ。

2020-02-03 13:27:42
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演者であると同時に創作家な殺陣師でもある岡田准一は表現の幅が自在で広い。 『ザ・ファブル』では『96時間 リベンジ』の敵役で振り付け師でもあった詠春拳の達人、アラン・フィグラルツと組んで殺陣を考案したり等、今ではかなり高い境地にいる。 香港カンフー俳優ドニー・イェン並みの仕事ぶりだ。 pic.twitter.com/uXoU884d7R

2020-02-03 13:41:18
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戦前から遡り時代劇に出ていた剣戟スターで最も殺陣が上手いと謳われている役者は2人に絞られる。 長く時代劇愛好家をやっている人達からはよく挙がる名前だ。 1人は東映で活躍した『柳生武芸帳』シリーズ等が代表作である「近衛十四郎」、2人目は『子連れ狼』シリーズでお馴染みの「若山富三郎」だ。 pic.twitter.com/irIbbyUn1x

2020-02-03 14:56:06
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自前のドデカい大刀をどの映画でも使用していた近衛だが、デカくて重い物を素早く振り回すと見事な迫力と見映えが生まれる。 華麗な太刀筋に舞踊的な立回りは、歴代東映スターの中で最も見映え要素を突き詰めた剣劇役者だ。 『座頭市 血煙り街道』での殺陣が凄まじい。 pic.twitter.com/0Xx3VUS93G

2020-02-03 15:09:06
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そして若山富三郎の殺陣の特徴は三船の実践的な動きに華麗さをプラスした、見映えとリアリズムを併せたハイブリッドの様なスタイルだ。 三船と同様、実際に人を斬れる姿勢と太刀捌きだと言われている。 pic.twitter.com/1UlfWVg43O

2020-02-03 15:18:26
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岡田准一の殺陣の種類は三船や若富と同じく実践リアリズムタイプだが、それらをより突き詰めたストイックな型重視タイプでかつ独自性がある。 そして僅かながらの「見映え」も有する 結論として岡田准一は近衛、若富といった歴代に次ぐ、もしくは並ぶ程の実力を備えた本格派剣戟役者と言えるだろう。

2020-02-03 15:45:51
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殺陣だけではなく作品の質自体も優れていた『散り椿』だが当時興行的にはあまり振るわず「興行成績、散り椿」なんて言われていたのが非常に悲しい。 しかし古き良き正統派時代劇を一時的とはいえ復権させた功績はとても大きく、後の評価も高い。 黒澤スタッフだった木村大作監督ならではの手腕だ。 pic.twitter.com/SKJGFfsQ9X

2020-02-03 17:37:32
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そして5月22日には岡田准一の時代劇主演作三作目である、あの『#燃えよ剣』が公開予定だ。 キャスト陣は名だたる有名俳優ばかりで『散り椿』以上の興行成績を上げてヒットするのはまず間違い無いであろう。 pic.twitter.com/pwNNWkkDds

2020-02-03 20:07:57
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何より今作ではどうやら岡田准一1人で動作設計を担当したらしい。 予告編から既に刀が折れる等の工夫ある演出が見て取れて、楽しみでならない。 土方歳三としてのビジュアルもハマっていて、今回も『散り椿』に同様カッコいい姿が拝めそうだ。 pic.twitter.com/j1Pf8PPXfo

2020-02-03 20:14:49
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ライバルであろう芹沢鴨役に伊藤英明が抜擢されているのにも注目だ。 たまたま、ぴったんこカン★カンに出ているのを観たのだが伊藤英明も最近は良い感じに老けてきた様に思う。 ざるそばをすすって食べている姿がなんか豪快でカッコ良かった。 成熟イケメン同士の迫力ある殺陣バトルにも期待したい。 pic.twitter.com/R7PIFOZNmy

2020-02-03 20:43:24
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