茂木健一郎さんの「丸山健二」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの6月11日の連続ツイート。 丸山健二さんがツイッターを始めたのを知って、丸山さんについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(1)丸山健二さんがツイッターを始めたらしい、という噂を聞いた時、「ホントか?」と思った。でも、探してみたら、本当にあった。びっくりした。そして、感動した。 -> @maruyamakenji

2011-06-11 06:51:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(2)丸山健二さんは、『夏の流れ』で芥川賞を受賞。綿矢りささんの受賞まで、最年少記録を持っていた。その文体はストイックで、本質にぐいぐい迫る迫力がある。そして、文壇から一線を画した孤高の人である。

2011-06-11 06:52:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(3)縁があって、丸山健二さんのご自宅に何度か伺ったことがある。庭をつくっていらして、その丹精が凄まじい。初夏の短い「頂点」に向けて、ほとんど一年中、どこにも行かずに作庭を続けるのだ。

2011-06-11 06:54:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(4)丸山健二さんの庭の凄まじいまでの美しさについては、本もあるから知る人も多いと思う。しかし、丸山さんが庭について語る時、「美しい」などという言葉は出て来ない。「大きな石を動かすのが大変でさ」など、行為者の禁欲的な言語が、肉体化して語られるのだ。

2011-06-11 06:55:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(5)「珍しい品種の種を、だまらくらかして手にいれるのよ。」「昨年まで綺麗な花を咲かせていた草も、気に入らなくなったら引っこ抜くね」。凄まじいまでに美しいその庭に向き合う丸山健二さんの言葉は、無骨で、しかし愛にあふれていて、行為者の凛とした佇まいがある。

2011-06-11 06:57:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(6)丸山健二さんはスキンヘッドで、ちょっと見ると(かなり)怖い。その外見から、私は、畏怖と敬愛の念を込めて、密かに「組長」というあだ名をつけている。親しい友人たちに丸山健二さんの人と小説の素晴らしさを説明する時にも、つい「組長がさあ」と言ってしまう。

2011-06-11 06:59:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(7)組長、ではなくて丸山健二さんは、しかし、そのコワモテの外見とは裏腹に本当にやさしい。繊細で、どこまでも人に温かい方である。一度、研究室のメンバーと家を訪問して、ゆっくりとお話をうかがったこともあった。組長は、にこにこ笑っていた。

2011-06-11 07:00:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(8)『千日の瑠璃』は、丸山健二さんの代表作の一つ。主語を次々と変える、という実験的な手法を用いて、世界のありさまを、万華鏡のようなめくるめく生命感の横溢の中に描き出す。

2011-06-11 07:02:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

丸健(9)このように丸山健二さんについて書いていると、久しぶりに「組長」に会いたくなる。あの凄まじいまでに美しい庭の横で、丸山健二さんの、決して自分の肉体から逃げない、強靱な精神に触れたい。それは、現代ではもはや希有のことなのだ。

2011-06-11 07:03:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、ツイッターを始められた丸山健二さん( @maruyamakenji)についての連続ツイートでした。

2011-06-11 07:04:07