Last Dance k.mi

yui @kn_km_ym

「Last Dance」k.mi

yui @kn_km_ym

雨が降っていることにも気が付かずに時間を過ごしてしまった。ゆっくりと腰を上げ、窓から見下ろす街はまるで別人のような顔をしていて、少し恐ろしく感じる。肌寒さを感じ、机の上にひとつ置かれたコップを手に取る。いつ入れたのか分からないそれはすっかり冷めてしまった。ケトルに水を入れ、お湯が

yui @kn_km_ym

沸くのを待つ。部屋の隅にある机の引き出し。その左に入った「海斗へ」と書かれた手紙を想う。もう見なくても、その丁寧な文字が思い浮かべられるようになった。今の時代に手紙？と笑う俺に、君は「その方が残るでしょ」と子供のように笑っていた。過ぎた時を数えるのは、だんだんと薄れていく記憶を

yui @kn_km_ym

認めるようで苦手だ。ただ傍に居させて欲しかった。2人で繰り返した季節は数えるほどだったけれど、それでも確かに愛していた。忘れることなんてないと思っていた。君は今どこにいる？