エスケープ・フロム・ホンノウジ#4
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
カネトは思わず下を見た。ナムサン。今や、石積み奴隷があんなに小さく。そして「何故」の感情が沸き起こった。何故クレイグは俺を助けた。敵国の、しかもニンジャで、脱走を口にしてはいるが、この先そこまで必要になるわけでもない存在を……！「上がれ！」クレイグが言った。カネトは従った！ 21
2020-03-18 22:11:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「イヤーッ！」「イヤーッ！」「……イヤーッ！」「……イヤーッ！」突き刺し、掴み、跳び、踏み上がる！そして遂に彼らは……這い上がったのだ！「「イイイイヤアアーッ！」」崖上に転がり、荒い息を吐く２人！「ハァーッ！ハァーッ！」「ハァーッ、ハァーッ……！」手をつき……起き上がる……！ 22
2020-03-18 22:13:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
彼らは目を見交わした。黒いポータルが渦巻いていた。カネトはサイをしまい、懐から、ビデオカメラを握ったままの手首を出した。「オイ……いい加減こいつを受け取ってくれ」クレイグは応じようとして……その視線をギラリと緊迫させた。カネトは彼の瞳に映る影を見て取った！「！」 23
2020-03-18 22:16:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
影は、マレボルだ！待ち構えていたというのか！？かざした右手の上に、力の歪みが生じている！「イヤーッ！」振り返る間もあらばこそ！クレイグはロケットスタートじみて前へ飛び出し、カネトを庇うように中腰姿勢を取ると、両手をかざした！「イヤーッ！」マレボルは力の塊を、投げた！ 24
2020-03-18 22:19:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
KRA-TOOOM！閃光！爆発！死んだ！カネトは思わず目をつぶった。否、死なず！クレイグがかざした手の先、半透明の墓石じみた奇妙な力場が屹立し、マレボルのジツを盾となって受け止めていた！……ジツ、なのか？「行けッ！」クレイグが叫んだ。「問題ない。２秒で追う！」「畜生！」カネトは跳んだ！ 25
2020-03-18 22:22:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
黒いポータルに飛び込むと、たちまち視界が0と1のノイズに洗われた。クレイグは墓石じみた力場……否、あれは……タタミガエシ……？それを前へ押し出し、マレボルに衝突させ……010010011……01001010……01000101……カネトは着地した。ホンノウジ・テンプル城前の練兵場、ストーンヘンジの丘。 26
2020-03-18 22:24:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
珪素質の石柱がランダムに生えたその丘の近くに、無人の輸送トラックがあった。自分たちが乗ってきた車輌だ。その傍でチューニンがスリケンを受けて死んでいる。「……」つまり、これは……。「アイエエエエエエ！」悲鳴が丘の下から聞こえた。カネトは運河の方向を見た。石の陰！ 27
2020-03-18 22:29:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ダメ！ダメッ！」腕を振り回しながら、僧衣姿の痩せた男がまろび出て、うつ伏せに倒れた。「モウダメーッ！」「ブレイン＝サン！」「クソが！」その仲間らしき２人が横へ飛び出し、カネトに銃を向けた！「う……撃つぞ！動くなッ！」カネトのニューロンが逆流した。「貴様らは！？」 28
2020-03-18 22:33:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
更に一人！体格のいい女が石の陰から現れ、銃口を増やした。その表情は怒りと復讐に歪んでいた。カネトは手に持つ手首とカメラを思い出した。「……！」ドクン。ドクン。ドクン。カネトの心臓は強く鳴った。その僧衣から、コイツらがクレイグの仲間だとすぐにわかった。銃声を出す事を躊躇している。29
2020-03-18 22:36:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「……」永遠とも思える一呼吸だった。カネトは両手を上げた。死を招くやもしれぬ動きだった。手首とカメラを持ったままのホールドアップは、さも奇妙な様子だったろう。特に体格のいい一人が声にならない叫びをあげ、凄まじい勢いで突っ込んできた。カネトは咄嗟にタックルを受け止めた！「……！」30
2020-03-18 22:40:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
UCAの兵士達は左右に走り込み、銃を向けた。「ヌウーッ……！」非ニンジャなれど、なんたる力か！カネトはカラテで押し戻しながら、この状況下で舌を巻いた。やはりこれはまずい。カネトはチューニンだが、ニンジャソウル憑依者でもなければ、カイデンを受けてもいない。多勢に無勢だ！ 31
2020-03-18 22:43:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「お……俺は！敵ではない！」カネトは言った。無意味か。足元には無残な手首とビデオカメラが転がっている。「そのカメラは……貴様らの仲間に託された……！」一瞬、怪訝のアトモスフィアが彼らの間をよぎった。カネトは男を押し返し、勢い込んだ。「俺は、クレイグ＝サンの……」ZANKZANKZANK。 32
2020-03-18 22:45:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
驚愕とともに、今度こそUCAの連中の動きが止まった。彼らの表情を見たカネトは、ゆっくりとポータルを振り返った。血みどろの男がそこに立っていた。タックルしてきた男が呻いた。「た……隊長」「10分ではきかんだろう。何故まだ居る」クレイグは一同を見渡し、マレボルの生首を放り捨てた。 33
2020-03-18 22:49:21