【ゆふぃ作】　新都　～さきの章～　【絶賛続行中】

珪聯（けいれん）＠只今準備中 @KeiRen753

ゆっくりと黄昏が降りてくるそんな時間に紅はあいあいのために食事を運んできた。気怠いと思いつつ起きてきたあいあいに

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椅子を用意し、細々と世話を焼き紅は支度を終えるとそっと消えた。いつもの、何一つ変わらない光景。食べても味を感じられない。もう味覚さえも捨ててしまった。酒が飲めればと思うが、身体が受け付けず結局食べることしか出来なかった。

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そろそろ来る頃で紅がその用意をしてくれている。風呂に湯が張られ薔薇を浮かべ上等な香油を用意し待っていると相手が来た。「こんばんわ、大佐」

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「食べてるの？あいは」「一応」あいあいはつまらなさそうに言う。「お風呂……張ってありますよ」「あ、そうなの？じゃあ……くりちゃんが相手してくれるので、大佐……ごゆっくり」あいあいはそういって椅子にだらしなく寝そべった。

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さきが浴室に行くと確かにくりが待っている。そしてさきが脱ぐのを手伝い、湯浴みの手伝いをする。色とりどりの花弁が浮かんだ湯は心地よく

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その中でさきは髪を洗ってもらっていた。「あい、気になっていただろう。はるこの旦那が動いたと聞いて」それに耳を傾けた。「始末しない程度には抑えたらしい。199が言うには」「あれは……いつもやりすぎるから……さきに迷惑掛けるんだよ」ぼそっとあいあいは言う。

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風呂から上がってきたさきはあいあいの姿に少し不審に思い額に手をやった。「あい、熱があるじゃないか」「そんなこと……な……い」「おまえは自分の虚弱さがわかってない。おまえが死んだら、わたしが上から睨まれる」「大佐さ……」とあいあいが言う。「なんでここに来るの？」

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さきは少し考えた。特にここに来る意味を考えたことはないがただあいあいを殺さぬようにと命じられただけだった。とても虚弱で誰かの支えなしでは生きていけない、そんなあいあいだった。はるこの旦那がやったことの後始末係であり、あいあいを生かすため派遣されている。そんなとこだった。

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「命令、だからな」そういって軽々とあいあいを抱える。明るい色のゆったりした服だがそれでもあいあいにはがばっとしていた。

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「はるこの旦那……イノルって言うんだっけ？199が止めてくれたんだ。そうか」「おまえはもう休め。くりの音を聞きながら一人で飲んでるから、気分よくなったら出てこい」それにあいあいは黙って頷いた。

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あいあいの傍に紅が付き添い、くりは竪琴を奏でていたがさきのリクエストで立て笛になった。その音色はベッドの上のあいあいにも聞こえる。命令だけでここまで人は相手のためを思うんだろうかと。自分なら無理だと思う。まずここにいる紅とくり以外は信じていない。

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そして改めてさきを見つめる。何が見返りがいるのか？見返りなど……。あいあいはそんなことを思いながら意識を手放す。さきは用意された酒と料理をつまむ。どれも紅が用意したものだ。あいあいがここに隔離された時に付けられた。

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以来、あいあいの身の回りを担当している。あいあいが唯一信頼してる相手とも言えた。あいあいしたらそこ以外頼ることも出来ないのだろう。

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さきはそんなあいあいを哀れとは思っていない。あいあいの身の上も知っていた。そんなことをしてもこの虚弱な男娼には通じない。失う物がない。大切にしてきたものと言えば・・・紅とくりだけだった。そこも突き放すだろう。あいあいはいざとなれば。

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さきはそのままゆるゆる夜をそこで過ごした。あいあいが起きてくるのを待ちながら。