魔法少女めるら☆メラルダInsanity!!『極めて近く、限りなく遠い欲望に』

チャアリィ@ツクフェスID：8280 @char_jyuusan

バルンバイアン伯爵の眼前に現れたバルーンは青く輝き、爆発する！ 「なッ！？」 爆発の閃光を受けたバルンバイアン伯爵は思わず目を瞑る。だが直後に、その目は大きく見開かれる。 バルンバイアン伯爵の腹部には、キャロット・ランスが深々と突き刺さっていた。118

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キャロット・ランスを握るめるらの口から、青く輝く息が零れる。 「あ、あのバルーンは、アナタの……！」 それはバルーンボムを避けていた時の事である。めるらは期を見計らい、己の息で膨らました青く輝くバルーンボムを、バルンバイアン伯爵の赤く輝くバルーンボムに紛れ込ませたのだ。119

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「キミの風船を使って変身したからには、キミの技の一つくらい使えるものペル」 「でやッ！」 めるらはキャロット・ランスを引き抜き、バルンバイアン伯爵を蹴り飛ばす。キャロット・ランスの先端から伸びた光の管がバルンバイアン伯爵の腹部に繋がっている。120

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「これで仕舞いよ！」 めるらはキャロット・ランスに魔力を込めると、先端に繋がった光の管が大きく脈打つ。 「あ、あがッ　あギッ！？」 光の管を通して魔力を注ぎ込まれ、バルンバイアンの身体が膨張していく。 「うあー、えっげつねーペル」 ペルぴょんが呟く。121

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「あ、あ゛ァ……わたくしの……理想を……わたくしが？　ギッ……これも、また……イ゛イ゛ッ！！」 限界まで膨れ上がったバルンバイアン伯爵の身体から光が溢れ出る。 「ルーナー・インフレーション・インパクト！」 めるらの言葉が引き金となり、バルンバイアン伯爵は轟音とともに爆散する！ 122

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ポリゼイ・ハイエースのサイレン音が屋敷に響く。警察に連行されていくオールバック男。ジ・アーンの力はもう無い。 「ヌメヌメ気持ち悪い……お風呂入りたい……」 虚ろな目をしためるらの身体を秘書が支え、ポリゼイ・ハイエースに担ぎ込む。そして、めるらは眠りに落ちる。123

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「レディはお疲れのようだ、一足先に家まで届けてやれ」 「お付きの兎は？」 「後でオレが送り届ける」 「了解しました。では……」 めるらを乗せたポリゼイ・ハイエースが発車し、現場を去る。こうして、バルンバイアン伯爵による事件の幕が下りたのだった。124

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「で、例のモノは」 「ばっちりペル」 ペルぴょんが秘密裏に撮影した動画を署長に見せる。 「いいねェ、逆バニー。ブームに遅れて乗った感じがさ」 「中学生は射程外じゃなかったペル？」 「エロコスの良さくらいは分からァ」 二人の間で交わされた密談を、めるらは知る由もない。125

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余談だが、大広間に転がっていた悪魔少女はバルンバイアン伯爵に攫われたのではなく、屋敷に勝手に居座って遊んでいただけだったようだ。126

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翌日、警察署にて。 「チミのおかげでまた葉加内町の平和が守られた。まずは褒美をやろう」 秘書は署長の指図を受け自販機に硬貨を入れる。購入ボタンのランプが点灯する。アルミ容器の飲料の物だけに。 「ケチんないでよ！」 めるらは文句を垂れつつ、オレンジジュース（果汁２５％）を取り出す。127

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「で、話って何」 「先日設立した葉加内警察特殊性癖捜査課についてだ」 「ロクでもない部署ってのだけは分かる」 めるらはダウナー気味に毒づく。ふと会議室奥にある大きなカーテンが目につく。この前見なかった物だ。その脇でペルぴょんが携帯端末を眺めている。128

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「再び現れたジ・アーンに対抗する為に設立された部署だ。チミにとって力になるのは間違いないがね」 「で、何をするトコなの、特殊性癖捜査課ってのは」 署長はその言葉を待ってましたと言わんばかりに芝居がかったスピーチを始める。 「特殊性癖捜査課に課せられた４つのミッション！」129

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「その１、ジ・アーンの調査！　ジ・アーンを探知できるめるらの働きが重要だ！ その２、ジ・アーンの討伐及び被害の防止！　ジ・アーンと戦えるめるらの働きが重要だ！ その３、対ジ・アーン兵器の開発！　資金不足により当面ナシ！」 「これ働くのあたしだけじゃない？」130

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「話は最後まで聞くべきだよチミ」 署長は軽く鼻で笑い、スピーチを続ける。 「その４、ジ・アーンの脅威の喧伝及びめるらの戦いを支援する為の広報活動！」 「ふむ？」 めるらが初めてまともな反応を返す。131

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「正直なトコ、他所にはジ・アーンの脅威が片田舎の乱痴気騒ぎとしか捉えられていない。資金提供等の支援を募る為に、めるらの活躍を周知させる必要があるってワケ」 「クソッタレにしてはまともな事を言うわね」 めるらは感心しつつ、オレンジジュースを口に含む。132

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「だろ？　だからまずチミの活躍をＰＲする為のグッズを販売する事にした。ペル坊、カーテンオープンだ」 「はいペル！」 ペルぴょんは垂れ下がった紐にしがみつき、引く。カーテンが左右に開き、姿を現すめるら・メラルダグッズの数々。133

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めるらは口に含んだオレンジジュースを霧吹きの如く噴き出す。 くまさんパンツのレプリカ。 めるらの活躍（痴態）を収めたブルーレイディスク。 逆バニーフォームの等身大ＰＯＰ（新作！） 「なん……これ……」 アルミ缶を持つめるらの手が震える。134

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携帯端末の通知音が鳴る。 「いやー、ボり値で色々出品してんだけど、バカ売れで笑いが止まらねーの。あ、今度はブルーレイが売れた。あざーす」 「逆バニー動画がバズった時の宣伝がデカいペル。感謝してほしいペル」 「分かってるってペル神様……あっ」135

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めるらの怒号と共に、光に包まれる警察署。 後に葉加内警察署跡地に発生した直径２０メートルに及ぶクレーターは、位置情報ゲームのアイテムスポットとして現地プレイヤーに重宝される事となる。136

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魔法少女めるら☆メラルダInsanity!! 極めて近く、限りなく遠い欲望に -So Close, Yet So Far- ―おわり―