【再放送】グッド・オーメン・フライング・クルーン 後編

後編のアクションシーンはガリガリ手を加えられたのに、翔鶴さんのセリフには指一本触れられなかった 前編:https://togetter.com/li/1498240
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2020-04-25 21:01:00
劉度 @arther456

【グッド・オーメン・フライング・クルーン】 後編(再放送)

2020-04-25 21:02:00
劉度 @arther456

《こちら五十鈴、突入部隊の準備は整ったわ》《不知火です、配置に付きました》「電です。了解しました。作戦開始、なのです!」通信を受けた電は、振り返った。「隼鷹さん、龍驤さん、お願いします!」「あいよー」「よっしゃ」2人の艦娘が立ち上がった。1

2020-04-25 21:03:01
劉度 @arther456

1人は背の高い、紫色の荒れた長髪が特徴的な和装の少女、隼鷹。もう1人は小豆色の和風ジャケットを羽織った独特なシルエットの艦娘、龍驤。どちらも軽空母の艦娘だ。鎮守府の貴重な航空戦力である彼女たちは、翔鶴に対抗するために、工廠から離れた洋上へ密かに出撃していた。2

2020-04-25 21:06:00
劉度 @arther456

隼鷹と龍驤は懐から飛行機型に切り抜いた紙を取り出す。式神型の依代だ。それを眼前に掲げ念じる。「天翔ける翼よ」「牙となり我が敵を滅せ」「「急々如律令!」」2人の魔力を受けた式神が青白い炎を身に纏い、小さな零戦の姿に転じ、空へと飛び立った。3

2020-04-25 21:09:01
劉度 @arther456

隼鷹と龍驤にありったけの艦載機を持たせ、翔鶴の艦載機を圧倒する。然る後に地上部隊が突入、翔鶴を取り押さえる。それが今回の作戦だった。「まさか遠征から帰ってきたら、おかわりの任務が待ってるとはねえ」「ゆーとる場合やない、隼鷹。あっちも出てきたで!」4

2020-04-25 21:12:00
劉度 @arther456

工廠の上空を旋回していた翔鶴の戦闘機が、隼鷹と龍驤の戦闘機を察知して襲いかかってくる。相手は零戦ではない。上位戦闘機の烈風だ。工廠に保管されていた装備を持ち出してきたらしい。「性能は相手の方が上だ!2対1でかかれ!」「旋回戦を仕掛けるんや!小回りはこっちの方が利く!」5

2020-04-25 21:15:00
劉度 @arther456

隼鷹と龍驤の的確な指示によって、零戦隊は性能の差をものともせず烈風隊を叩き落としていく。「このまま行けば……いや、無理か」「せやろなあ」「あ、翔鶴さん、出てきたのです!」望遠魔術で工廠を見張っていた電が、工廠の窓から顔を出した翔鶴に気付いた。6

2020-04-25 21:18:00
劉度 @arther456

翔鶴は窓から艦載機を放つ。だが、隼鷹たちがどこにいるかは気付いていないはずだ。何しろ洋上から工廠まで1km以上離れている。「翔鶴さんに気付かれる前に、少しでも艦載機を……」望遠魔術越しに、電とと翔鶴の目が合った。「ひえっ」電は背筋を射抜かれたような錯覚に陥った。7

2020-04-25 21:21:00
劉度 @arther456

「た、対空戦闘用意!翔鶴さんに気付かれたのです!」「いや、そんな一瞬で気付かれるわけ……」疑問を口に出した隼鷹にエンジン音が迫る。翔鶴の攻撃機が雷撃しようと狙っていた。「うわぁ、ホントに来たぁ!?ちょ、直掩隊!」隼鷹は艦載機を繰り出し迎撃する。8

2020-04-25 21:24:01
劉度 @arther456

隼鷹の零戦が雷撃機に襲いかかるが、数機がそれをくぐり抜けて魚雷を放つ。狙いは、龍驤。彼女は舌打ちして回避する。「クソァ!あっちはまだケリつかんのか!?」「まだです!」突入部隊は翔鶴の艦載機に威嚇されていて、まだ動けない。9

2020-04-25 21:27:00
劉度 @arther456

翔鶴の攻撃機が再び龍驤を狙う。だが、横合いから突入した零戦がそれを防いだ。「すまん、隼鷹!」「え、あたしじゃないよ!?」「は?」もちろん、龍驤が操る零戦でもない。そこで彼女たちは気付いた。隼鷹のものでも、龍驤のものでもない、見知らぬ零戦隊が乱入している。10

2020-04-25 21:30:01
劉度 @arther456

「どこの艦載機や!?」「こっちを守ってるってことは味方か?」訝しむ3人。その背中に声がかかった。「ちょっと!」「はわっ!?」驚いた電が振り返ると、今朝連れてきた新人艦娘がいた。弓と飛行甲板を携えた完全武装状態だ。「誰や?」「あ、今日からこの鎮守府に配属されました、瑞鶴です!」11

2020-04-25 21:33:01
劉度 @arther456

「瑞鶴ゥ!?」「正規空母やんけ!」「これからよろしくお願いします!」翔鶴型航空母艦二番艦・瑞鶴。数日前から遠征に出ていた隼鷹と龍驤は知らなかったが、彼女は今日から鎮守府に所属することになった艦娘だった。「それより!翔鶴姉があそこにいるってホント!?」瑞鶴は電に問い質す。12

2020-04-25 21:36:00
劉度 @arther456

「は、はい、提督と一緒にいるのです」「……ふうん」瑞鶴が目を細めて工廠を見つめる。そして、矢筒に手を伸ばし、矢をつがえた。魔力が矢に込められ、彗星の式神が姿を現す。「全機爆装、準備でき次第発艦!目標、工廠の提督!やっちゃって!」「なんでぇー!?」13

2020-04-25 21:39:00
劉度 @arther456

「翔鶴姉を捕まえて閉じ込めるような奴は、私が許さないんだから!」「違います、逆です!提督が閉じ込められてるのです!」「ハァ!?翔鶴姉がそんなことするわけないでしょう!?」「なんで姉妹揃って思い込みが激しいのですか!?」困惑する電をよそに、零戦は次々と烈風を撃墜していった。14

2020-04-25 21:42:00
劉度 @arther456

戦況が変わった。敵機が増えている。こちらも増援が必要だ。建造の手を止めて、翔鶴は立ち上がった。「翔鶴姉?」提督が不安げに翔鶴を見上げる。「ごめんね、瑞鶴。お姉ちゃん、ちょっとだけお外の様子見てくるわ」「ええっ!?やだよ、翔鶴姉が側にいないと怖いよぅ……」16

2020-04-25 21:45:00
劉度 @arther456

提督の頭を、翔鶴は優しく撫でる。「怖がらなくていいのよ?瑞鶴は私がちゃんと守ってあげるから」「そ、そうじゃなくて」「え?」「だって……翔鶴姉、いっつも私の前で無茶するじゃん。もし翔鶴姉が怪我したら、私……」ボロボロと、涙が頬をつたい床にシミを作る。17

2020-04-25 21:48:01
劉度 @arther456

「瑞鶴……」「私のことはいいからさぁ……えぐっ、翔鶴姉、自分のことも考えてよぉ……」「……ありがとう、優しい瑞鶴。でもね」そっと、頭を抱き寄せる。「私は瑞鶴のために生きてるの。瑞鶴がいるから私は私でいられるし、瑞鶴がいなかったら私なんて生きてる意味無いわ」18

2020-04-25 21:51:01
劉度 @arther456

「私が怪我をしたってことは、それだけ瑞鶴を守れたってことなのよ?珊瑚海でボロボロになった時も、マリアナの時も、痛かったけど、瑞鶴を守れてすっごく嬉しかったの。だから、私のことは気にしないで、もっともっと守られてちょうだい」翔鶴は提督の頭を軽く撫で、立ち上がる。19

2020-04-25 21:54:00
劉度 @arther456

艤装の弓矢を携え、再び窓へと向かう。どれだけ敵が来ようと関係ない。艦載機なら、工廠の装備保管庫にいくらでもある。式神を操る魔力や体力は、瑞鶴を守るためなら無限に引きずり出せる。空に向かって矢を向けたその時、目も眩む閃光と白煙が、翔鶴の視界を叩き潰した。20

2020-04-25 21:57:00
劉度 @arther456

頭上の烈風が次々と撃墜されている。「行きましょうか」「ダー」様子を窺っていた不知火と響は、ここが頃合いだと判断し、建物の影から飛び出した。響は双眼鏡と無線機を、不知火はグレネードランチャーを手にしていた。烈風に気付かれる前に、2人は道路を一気に横切り、植え込みに飛び込む。22

2020-04-25 22:00:03