ナラク・ウィズイン#10

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……朝靄の中、テントから少し離れた場所で、マスラダはアグラ・メディテーションを行っていた。目を開け、振り返る。そこにコトブキがいた。「早起きですね」「……」コトブキはマスラダの隣に立った。見晴らしの良い丘だった。　70

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「どんな感じですか。元気ですか。スシは足りていました？」「ああ」マスラダは頷いた。昨晩、彼らはハリマでのイクサの結果と……空を焦がしたあの恐ろしい光景とを踏まえ、今後について、言葉をかわした。フィルギアは至極真面目に、江戸時代の悲惨な事件について語った。アケチの禍について。　71

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フィルギアの話を踏まえ、マスラダは目的地を定め直した。いや……フィルギアの説明がなくとも、成すべき事は明白に定まっていたとも言える。昨日、ゴマグラウンド、光の柱を昇る矢の光景を見た時に彼の心を駆け抜けた衝動が、それを決めたのだ。　72

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「……勿論、わたしも一緒に行きます」コトブキが言った。マスラダはコトブキを見た。マスラダは、今更それについて聞き返しはしなかった。「そうか」「ガッとやっつけて、胸を張って帰りましょう。タキ＝サンも、きっと無事です」「ああ」新たな目的地は、ホンノウジ。タイクーン。　73

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２人は西の方角を見た。空には黒い輝きの道が焼きついたままだった。昨日のあの時から、変わらず、空を汚したままだ。マスラダはナラクの言葉を思い浮かべた。版図をひろげようが、帝王を名乗ろうが、所詮はニンジャ一匹。(((然りよ))) ニューロンの奥底、内なるナラクが答えた気がした。　74

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【ナラク・ウィズイン】終 シーズン３　第８話に続く