文採り

1
@ANya52lily

どうしても、と呟く声がふるえた。ふたつの目が真剣な色をして、ただ、逢いたかっただけなんて言えなくなった。 #twnovel

2009-12-18 09:55:39
@ANya52lily

「君の罪悪は私を愛したことだ。」あまりにも真剣な顔で、どこかで聞いたフレーズを使うものだから、思わず顔が引きつった。「君、恋とは罪悪ですよ。」男の口調を真似して、続ける。「恋が罪悪ならば、愛とは―――」  陳腐な遊びに、笑いだしたのは僕。#twnovel

2009-12-20 22:29:52
@ANya52lily

「嘘ばかりついてると、泥棒になるわよ。」そう言って僕を怒るママは、レジを通してないお菓子をポケットにいれて、スーパーをでていく。その後を追って、ママの冷え切った手を握った。「カエルの子はカエルっていうんだよね。」 #twnovel

2009-12-20 22:43:07
@ANya52lily

彼は、腕を組んで目をつぶっていた。うんうん呻った末に、やっと紡いだ言葉。「ないものは、あるんだ。」満足気に息を吐いて彼は頷く。 「それって哲学?」 「…言葉遊びだよ。」そう答えた彼は不機嫌そうに目を閉じた。 #twnovel

2009-12-21 20:48:55
@ANya52lily

#twnovel  死にゆく世界を背景に、ピースサインをした。それは、美しかった蒼の星が、数え切れない命とともに消えていく瞬間だった。選ばれた「未来に必要な」人間たちは、ポケットから取り出したカメラで、記念撮影を。残された人々は、彼らを恨むことさえできない。

2009-12-21 21:36:25
@ANya52lily

引き分けでいいだろ、と思う。けれど、駆けだした足は止まらない。自分が負けず嫌いなことなんて、とっくに知っている。前だけを見た。視界が開けて、音が消える。静止画の中で自分だけが生きているような感覚。ボールが何よりも早く、そこに向かっていった。 #twnovel

2009-12-23 21:59:06
@ANya52lily

ぐちゃぐちゃになったクリスマスケーキ。はしゃいでたわけではないのに、思いっきり転んだために、宙を舞ったそれ。そんな惨状を笑って「おいしいよ」と言ってくれる君だから好きになったの。 #twnovel

2009-12-24 17:40:10
@ANya52lily

嘘を吐いている。望みを言っている。どちらなのだろうか。「大丈夫、きっとうまくいくよ。元気になって、それでまた一緒に出かけよう。」嘘を吐いた。望みを言った。「そうだね、きっと私は元気になる。」約束はしないんだ。守れないことなんて分かっている。 #twnovel

2010-01-04 21:11:18
@ANya52lily

#twnovel 「人も街も変わっていくね。子供のころ通っていた駄菓子屋さんはつぶれた。一昨日会ったばかりの友達が昨日、事故で亡くなった。駅前にはスーパーができた。今日、従兄弟に娘が生まれたんだ。だけどそれは、なくなったものの代わりなんかじゃないんだよ。」

2010-01-04 21:23:09
@ANya52lily

#twnovel 「マロ」呼んでも、尻尾を振って近づいてくる姿はない。「マロ、」白く濁った視界の中で、嬉しそうにお座りをしている姿を感じた。手を伸ばしても、触れられない。ただ、ぎゅうっと。持ち主を失った小さな首輪を握った。何度目かになる「もう逢えない」の実感。

2010-01-04 21:34:23
@ANya52lily

#twnovel 「前門の虎、後門の狼だ。」脂汗が額から首筋を伝った。「なに、それ?」にこにこ笑って後ろからにじり寄る女。「今の状況を140文字以内で的確に表現してんだよ。」「あー、違いないね。」目の前の女がふっと笑って、指の骨を鳴らす。「どっちからも逃げられないけどね。」暗転

2010-01-04 22:11:10
@ANya52lily

#twnovel 「うん、へー、そーなんだ。」「うん?」「これがあれば興味がない話でも大抵のりきれます」「へー!」「あからさまに、じゃなくて感情をこめて言うんだよ」「そーなんだ!」「うん、君は僕の話にこれ以外の言葉で返してくれたことがないって言いたいんだけど」「・・・ふーん。」

2010-01-04 22:27:52
@ANya52lily

#twnovel 甘い甘い毒を吐くそれに、気づかないふりをした。だって、もう身体ごと全部、蝕まれている。「一番」だなんて言葉の裏の、ありきたりな悲恋にはウンザリだ。馬鹿なのは、一人に絞れない男なのか、惑わされる女なのか。そんなこと、すべてどうでもいいと思えるくらいに、私は。

2010-01-22 22:23:53
@ANya52lily

「節分が2月3日なのって2021年くらいまでらしいよ。」「おにはーそと」「2月4日が節分って想像できなーい。」「ふくはーうち」「ねえ」「今のは、2月4日の節分を過ごしたことのある俺への嫌味?」「え?」「おじさんで悪かったね。」「もー卑屈なんだから!」 #twnovel

2010-02-03 22:54:44
@ANya52lily

てちのちすちみちのなかいにに すにのちにしいのにみちにしいとんら・ しちのちすち とにすちみちのなかいににみら しいもら かなかちいかちにみみしちんら 「 てちかちとにくち ちみちかちきち となのにみちみら 」 #twnovel

2010-02-05 23:58:05
@ANya52lily

かなしいのと、こわいのと、さびしいので むねがいっぱい。となりのおばさんが ぎゅうって だきしめてくれたの。あったかくて、よけい かなしかった。みんながさよならをする。ないてる。死んじゃうってどういうことかよくわかんないけど、もうあえないことだけはわかったよ。  #twnovel

2010-02-08 23:17:07
@ANya52lily

舞台の幕が上がる。ピエロが嗤った。弧をえがく。目が口が身体が。声が響く。嗤ってる。視界がぶれる。首なしうさぎが礼をして、腐ったカボチャが転がった。時計が逆回転。グルグルグルグruguru。下がりかけた幕は碧眼の少女が切り裂いた。「それはビョーキよ。」 #twnovel

2010-02-08 23:26:33
@ANya52lily

Twitterで遊んでいたら、彼からメール。突然の「別れよう」に慌てて電話。「いきなりどうしたの?」「さっきメールしたんだけど。」「え…」「俺には返事しないのに、ツイッターやる時間はあるんだな。」「…ごめん、別れよっか。」 そう言った口が、ネタ発見と呟いた。 #twnovel

2010-02-08 23:37:56
@ANya52lily

「あー、なんか甘いものが食べたい」「ふーん、飴あるよ。」「あ、サンキュ。…俺、甘いの嫌いじゃないんだよね」「見ればわかるけど」「今日バック小さいね」「…お財布とケータイくらいしか入ってないもん」「…正直に言う。チョコがほしい。」「ごめん、正直に言う。忘れてた。」 #twnovel

2010-02-08 23:44:46
@ANya52lily

『貴方の正論は人を傷つける』昔、君が僕に言ったことだ。仕事で失敗した原因を教えたのが気にくわなかったらしい。『貴方に求めたのはそんな言葉じゃない』そう吐き捨てて君は去っていった。でも、僕の性格は君だって知っていたろう?「だから、貴方とは上手くいかなかったのよ。」 #twnovel

2010-02-09 22:33:22
@ANya52lily

種を植えました。水をあげました。芽が出ました。大きくなりました。まだ、花は咲きません。水をあげました。愛をあげました。それでも、まだ蕾すらできません。だけど、それでいいのです。そういうものだからです。 #twnovel

2010-02-09 23:48:45
@ANya52lily

地面にシミが広がる。あっという間に、濃いグレーが足元を支配した。「お前もこんな気持ちかい」色を失った空を仰ぐ。温もりを失った左手は、天(ソラ)に。薬指の約束は、君を想って泣いていた。 #twnovel

2010-02-11 01:25:40
@ANya52lily

うまくいかない、なにもかも。気分を変えようと外に出てみたが、いちゃつくカップルだとか街の喧騒だとか全てが鬱陶しい。長い信号待ちの時間、大きな溜息を吐く。隣にいた女が僕を見た。「明日の貴方は、笑顔でありますように」変な女だと思ったと同時に、強張っていた頬が緩んだ。 #twnovel

2010-02-12 00:29:37
@ANya52lily

「なんでぶつの、ぼくがきらいなの?」「なんでかな、こんなに愛しいのに。」口にした想いに嘘はなくて、だけど、震える手はココロよりもアタマに支配されている。助けて、と願う私は、やめて、と泣く息子を抱きしめてあげることもできない。こんな手、なくなっちゃえばいいのに #twnovel

2010-02-26 00:30:11
@ANya52lily

鳴らないケータイ。そりゃそうだ。電源が入っていないのだから。「充電きれちゃったの、ごめんね」いつもの言い訳。PWRを押したのは自分。一人になりたいときすら、人と繋がっていなければならないなんて、とっても窮屈だ。 #twnovel

2010-02-27 23:13:47
1 ・・ 6 次へ