麒麟がくる 第19回「信長を暗殺せよ」

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桐野作人 @kirinosakujin

なお、あとから上洛した斎藤義龍は御相伴衆に列し、これを機に一色に改姓する。一色氏も御相伴衆だった。名字と家格の釣り合いをとったともいえる。ドラマでは古い権威を拒絶する信長と、受け容れる義龍という常套的な対比では描かなかった。じつは信長は官位や家格を比定していない。#麒麟がくる

2020-05-24 21:59:20
桐野作人 @kirinosakujin

のちに信長は将軍義昭との対抗で、官位を十分意識しているからである。なお、義龍の名乗りだが、木下聡氏によれば、斎藤義龍名乗りは存在せず、斎藤范可→同高政→一色義龍という変遷を辿るという。義龍の一色名字がドラマで初めて実現するかと思ったが、義龍の出番は今回までではないか。#麒麟がくる

2020-05-24 21:59:21
桐野作人 @kirinosakujin

今夜の「麒麟」続き。今回のテーマは信長暗殺計画だった。しかし、これは計画だけでなく、斎藤義龍が実際に刺客を編成し、実行に移そうとしていた。細川藤孝が光秀にこの計画の噂があると知らせたが、史実では信長はすでに承知していた。刺客団は信長主従を追尾していたのである。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:39
桐野作人 @kirinosakujin

『信長公記』首巻では、刺客団は首領格が5.6人、全員で30人ばかりだった。信長の陪臣の丹羽兵蔵という者がこの連中が怪しいとみて探りを入れると「美濃国より大事の御使を請取り、上総介殿(信長)の討手に登り候」ということを聞きつけた。そして、彼らの宿が二条蛸薬師辺だと知ると、 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:40
桐野作人 @kirinosakujin

その旅籠の門柱に削りかけ(木を外側に裂いて花のようにした目印)を懸けてから、信長主従の宿所を訪ねて報告した。取り次いだ金森(長近か)が兵蔵に案内させて刺客団の宿に乗り込んだ。刺客団は「色をかへ、仰天限りなし」。突然、相手のほうから乗り込んできたので驚くこと驚くこと。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:41
桐野作人 @kirinosakujin

金森は刺客団に「お前たちのことは上総介殿がすでにご存じだ。参上して挨拶せよ」と迫った。度肝を抜かれた刺客団はしおしおと信長の所に出かける。信長はこのとき「小川表」を見物していたという。これは信長宿所の西を流れる小川の観音のことか。信長はここで視察団を引見した。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:42
桐野作人 @kirinosakujin

奇妙な光景である。襲撃されるはずの信長に対して、刺客団が神妙にしているのだから。信長はすごんでみせる。「この上総介を狙おうなんざ、蟷螂が斧でけしからん」。刺客団はすごすごと立ち去るという顛末。なお、このときの刺客団が6人だったと首巻にある。これは首領格の連中か。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:43
桐野作人 @kirinosakujin

ところが、『信長公記』首巻のうち、陽明文庫版(角川文庫)には5人しか名前が載っていない。小池吉内・平美作・近松頼母・宮川八右衛門・野木次左衛門。ところが、異本の天理本は6名で、青木加賀右衛門が加えてある。なぜ青木の名前が抜けたのか。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:43
桐野作人 @kirinosakujin

和田裕弘氏によれば、青木の一子一重がのちに摂津麻田1万石の大名になり、一方『信長公記』の筆者太田牛一の一子牛次がその家来になったという。つまり、牛次は父牛一の有名な著作に主君の父が刺客として名前があるのは不名誉だから抹殺した。陽明文庫本は牛次の校閲を経ている。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:44:44
桐野作人 @kirinosakujin

信長は在京わずか5日間で急に帰国した。『巌助往年記』には「雑説ありて俄に罷り下ると云々」とある。帰国の理由は不明だが、帰国直後の3月、信長は守護代家と並び尾張上四郡を支配していた岩倉城の織田伊勢守家を滅ぼしている。その好機だったか。あるいは今川氏の動きを警戒したか。 #麒麟がくる pic.twitter.com/AytBJhYt2T

2020-05-24 22:44:45
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桐野作人 @kirinosakujin

今夜の「麒麟」は信長暗殺計画未遂をメインに描かれるかと思った。大見得を切る信長、暗殺計画を信長に知らせて恩を売り、のちの出世の伏線とするとか、いろいろ想像をめぐらせたが、はずれだった。将軍義輝の悲哀から「麒麟」が遠のいていくのを察知し、旧友義龍への別れにシフト。 #麒麟がくる

2020-05-24 22:55:39
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