カレイドスコープ・オブ・ケオス＃8

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フザ、ケルナ」アナイアレイターは目から血を流した。金の瞳に焦点が戻り、ニンジャスレイヤーを凝視した。「オイ……ドウニカしやがレ……サツガイを……ヤッたのは……テメェなんだろ……！オレはオマエに会いに……」「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは抉るようなカラテを繰り出す！　19

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ！」ニンジャスレイヤーの鉤手が胴に喰らいついた。黒炎がフマーの装甲を貫き、アナイアレイターを焼く。二者の視界は黒く吹き飛び、頭上に黄金の立方体が輝いた。やれるのか？マスラダのニューロンに問いが響いた。自分自身が発した問いだ。過去に置いてきた自分が。やる。彼は答えた。　20

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BWAHAHAHAHA！MWAHAHAHAHA……「イヤーッ！」……おいおい……そんな無茶な真似があるか……やめろよ……「イヤーッ！」……やめろって……そんな道理は……「イヤーッ！」……グワーッ！……「イヤーッ！」「グワーッ！？」「イヤーッ！」「グワーッ！」サツガイの影を、赤黒の炎が焼き焦がす！　21

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マッタ」アナイアレイターは後退りし、手を掲げた。「俺は改心した。正義の心を持って更生した。だから俺を放っておくべきで……ダメか？」「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーの燃えるチョップがアナイアレイターを貫いた。そして内奥からサツガイの刻印を引きずり出し、握り潰し、焼滅した！　22

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「AAAARGH……！」吹き飛んだ世界が戻ってきた。アナイアレイターは両手を広げたまま、剥離した鉄条網を羽毛クッションめいて、仰向けに倒れた。ニンジャスレイヤーはザンシンした。アナイアレイターは意識を保っていた。なんたるニンジャ耐久力か。「俺に何を……」「焼いた。貴様の望み通りにな」 23

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左半身が再びざわめきながら形成されてゆく。ニンジャスレイヤーはザンシンを継続。「……」アナイアレイターは首を振り、戦闘継続の意志無しを示し……そして驚愕と共に、ニンジャスレイヤーの横を指差した。「テメェーッ……！？」「悪りィ、ニンジャスレイヤー＝サン。殺さないでくれ、そいつ」24

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「イヤーッ！」フィルギアに答えるかわりに、ニンジャスレイヤーはスリケンを投げ、上から降ってきた第2属性矢と第8属性矢を撃ち落とした。監視台のアルカディアは侵入者同士の「諍い」が如何にしてか収まり、この場を制する武力が己に残存していない事実をじわじわと思い知らされつつあった。　25

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「イヤーッ！イヤーッ！」彼は12の矢を頭上に放ち、滞空させると、緊急IRC通信を行った。「モシモシ、リディーマー＝サン！事態の収集がかないませぬ！突然のこの状況は私の惰弱が招いたものでは決してございません！時間を稼ぎますゆえ、さらなる増援の御手配をば……！」　26

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(((奴はタナカ・ニンジャクランのニンジャ)))ナラクが告げた。(((そしてあの矢は……フン……くだらんまやかしだが実際珍しや。あれは12属性毒のワザ。即ち地毒、水毒、酸毒、麻痺毒、酩酊毒、快毒、悲毒、喜……)))「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは跳んだ！　27

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アルカディアは矢を動員し、流星めいて降り注がせた。そこに銃弾が飛び来て、ジグザグに反射し、矢の殆どの飛行軌道を狂わせた。アズールの射撃だった。だがアルカディアのタナカ念動ジツがあれば軌道修正は実際容易……「イヤーッ！」「グワーッ！」ニンジャスレイヤーの蹴りが側頭部を捉えた！　28

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首を捻じ曲げ、監視台から弾き飛ばされたアルカディアの着地地点、怒り狂った透明の獣が走ってきて、顎に捉え、噛み砕き、引き裂いた！「アバーッ！リディーマー＝サン！どうかナガシノをーッ！」アルカディアは喰らわれながら叫んだ。「サヨナラ！」爆発四散！ナムアミダブツ！　29

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……イクサは終わった。UNIX山の麓、生き残った者達は互いの名乗りを終えた。アナイアレイターとフィルギアの間には気まずいアトモスフィアがあった。彼らは旧知の仲であったが……「俺、二度と会わねえ感じで考えてたけど、締まらねえな、イヒヒヒ……」「こりゃどういう事だ」「色々あったんだ」30

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フィルギアは肩をすくめて見せた。「だいたいさ、こっちにはこっちの大事な用事があるんだ。お前がここに居るほうが迷惑っていうか……懐かしんだり無駄話してる時間はないんだし」「ああそうかよ。俺の用事は片付いちまったよ。礼を言うぜ、ニンジャスレイヤー＝サン。この借りは返させてくれ」　31

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「へえ、お前が礼節とは。つくづく殊勝になったもんだよな、人に歴史あり、イヒヒヒ……」「お前ら、コイツは最悪のクソ野郎だ。相手にする事はねえ。わかったか」一方、コトブキはUNIX山の幾つかにLAN直結を試み、考え込む。隠れていたザックは今は彼女の手伝いをしている。　32

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「このUNIX、どう？タキ＝サンとガッツリ繋ぐこと、できそうかい」「妙なんです」コトブキが答えた。「出口が見当たらない。こんなに沢山のUNIXがあるのですが、出口が塞がれています」「そ……それは、イントラネットなのだ」声をかけたのはアズールに肩を支えられた男だった。「塞がれている……」33

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その男こそ、アズールが捜索していたLAN直結者、退役軍人のジョージに他ならない。ジョージは当初逃げ出そうとしたが、アズールは当然それをさせなかった。これで、アズールとアナイアレイターの目下の目的は達成されたといえる。一方、ニンジャスレイヤー達にとってはここからが正念場なのだ。　34

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「借りを返す話ならば、すぐに手伝ってもらうぞ」ニンジャスレイヤーはこのサイロ状施設に繋がる二つの門を警戒しながら言った。「おれ達がハッキングを済ませるまで、敵に邪魔させるわけにはいかない」「暴れろッてンだな？」アナイアレイターは頷き、フィルギアが差し出したスシをひったくった。35

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「イントラネットという事ですが……でも、外部とのネットワーク接続が最初から作られていないようには、思えない構造なんです」コトブキは用心深くUNIXに偵察的アクセスを試みながら言った。「なにか手があるのではないかと思うのですが……ニンジャスレイヤー＝サン、タキ＝サンに繋がりませんか」36

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「ダメだな」ニンジャスレイヤーはこめかみに手を当て、集中したが、果たせなかった。「ノイズが酷い。呼びかけは続ける」「お願いします」DOOOM！DOOOOM！タイガー門が揺れた。「おいでなすったか」アナイアレイターが首をボキボキ鳴らして言った。門は鉄条網が覆い、内から剣呑に閉ざしている。　37

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DOOOOM！DOOOOOM！タイガー門が歪む。外側から破城槌めいた攻撃を仕掛けているのか？「いいぜ。来るなら来い」アナイアレイターが言った。ニンジャスレイヤーのニンジャ第六感が最初に察知した。次にアズールが気づいた。ニンジャスレイヤーは叫んだ。「逃げろ！壁にだ！」KRAAAASH！頭上！　38

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「……！？」コトブキはすぐに直結を解除し、ザックを抱えた。アズールは悲鳴をあげるジョージを。彼らが外周の壁に逃れようと動き出した時、天井のファンが破砕し、バラバラに壊れて降り注いだ。そして……巨躯のニンジャが落下してきた。DDOOOM……！ニンジャはUNIX山を踏み砕いて着地した。　39

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「コーッ……シュコーッ！」角兜を被った恐るべきニンジャは、足元のUNIXデッキを蹴散らし、侵入者達を見渡した。彼の背中には幾筋もの太いチューブが繋がり、天井の穴の上まで伸びていた。「アエエエエ……アバーッ！」巻き添えで落下してきたオイランの何人かが叩きつけられ、無惨に落下死した。　40

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ニンジャはスモトリよりも大きい。そして実際、山のようだった。発する雄大なキリングオーラが、彼の姿をそれこそ天井を塞ぐほどに錯覚させた。「コーッ、シュコーッ。惰弱な虫けらどもめ」ニンジャは燃える怒りを滾らせた。「どれほどの無礼を働いたか、貴様らには想像もつかぬであろう……！」　41

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「マジかよ！」フィルギアは目を白黒させた。「コイツ城主だろ？易々と自分の城を壊すなッての」「そンだけブチ切れたんだろうよ」アナイアレイターが言った。「まあ、俺がだいぶ暴れたのは確かだな」「アー……」「ドーモ」巨躯のニンジャはアイサツした。「アケチ・シテンノ。リディーマーである」42

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KRAASH！呼応するかのようにタイガー門が破られた。破砕した門ごと鉄条網はなぎ倒され、ハンマーを奮うオニが先陣を切る。「アバーッ！」「アバーッ！」彼らは鉄条網に絡め取られるが、犠牲は数体だ。ゲニンとオニを率い、ニンジャが側転エントリーからアイサツした！「ドーモ。チェックメイトです」43