ついのべ2020年6月分まとめ

1年の残り半分であと256本書かないと2000本には到達できない140字小説のまとめ。
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コオロ @ko_ro506
#twnovel「なんだか人恋しくなって」「心の病ですね。人肌を処方しておきます」少し前から、献血のように微量の皮膚を提供してもらい、無作為に貼り合わせて作った人工的な人肌を治療に用いる事例が増えている。「濃厚どころか接触自体禁止になって久しいですからねえ」保険が適用されるのが待たれる。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel「好きって言ったら怒る?」どうしてそんなこと訊くの、と思ったけど、そういえば何を言っても怒ってばっかりだった気がする。少し考えて、やっぱり「怒る」と答える。「そろそろ、それ以外の言葉で伝えなさい」まあ、言葉以外では貰ってるんだけどさ。銀色の指輪が朝日を反射して眩しかった。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel「こんなところで、どうしたの」ベランダに佇む俺に、彼女はそう言った。「なに、夕涼みだよ。月もきれいだからね」俺の言葉に、「ええ、本当に」と返し、彼女は何だか上機嫌で去っていった。家に入れないからベランダにいることはバレなかった。鍵、マジでどこいった。静かで優しい夜だった。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel ダイエット中だし冷やし中華にしようかな、と伸ばした私の手を、半額の焼肉弁当が止めさせた。『ネギは野菜だよ。野菜と一緒なら実質カロリーゼロだよ』『騙されちゃダメだよ。世の中そんなに甘くないよ』どっちが天使か悪魔か知らないが、世の中の話なら焼肉弁当を手にする。世の中は肉だ。 pic.twitter.com/geH7LmbllC
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コオロ @ko_ro506
#twnovel「これがアメンボフルボッコボタンです」「…どうして」「ボタンを押すだけでアメンボをフルボッコにできます」「どうしてこんなことを!アメンボが何したっていうんですか!」「あいつが悪いんだ!ずっと英名はwater spiderだと思ってたのにwater striderなんて中二くさいこと言うからッ!」 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel「すいません、三色チーズ牛丼の特盛りに温玉付きをお願いします」耳に入ったので思わずそちらを見ると、へぇー本当にそういう顔してるわ、と思った。聞いたら食べたくなっちゃった、と同じく注文した隣の彼女もそういう顔になっていた。すべて悟ったが、抗えない。きっと俺も、そういう顔に。
コオロ @ko_ro506
#twnovel きっと仕方の無いことなのだ。何をしても喜ばせることはできず、怒らせてしまう。だからこそ、怒られてもいいと思ったことをしようと、それを贈った。「好きって言ったら怒る?」と訊いたから怒ったのかな。それでもいいから、今は君を見つめさせて。銀色の指輪が朝日を反射して眩しかった。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel 髪を切ったから、もしかしたら気付かないかもしれない。いや、これくらいじゃまだ気付くかな。もう夏だしもっといってみようか。チキンレースみたいでだんだんハイになってきた。あれもうこれしか残ってないのか。だったらいっそ。その後どうしたかなんて野暮なことは語るまでもないだろう。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel 夏休みは火星でお茶しようぜ。そんなアホみたいなお誘いがあるか、と思ったが、どうせコロナ休校のせいで夏休みの消滅は決まっているのだ。ヨシ!と返信。はぐらかしたままこうなったから、ずっと冗談の言い合いを続けている。でも、お付き合いの返事ぐらいは、面と向かって言いたいじゃん。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel「処刑されるのは構わない。だが村に戻り、妹の結婚式を見届けたい。その間、我が友セリヌンティウスを人質としよう」メロスの提案を聞き入れた王は、セリヌンティウスを呼んだ。彼はモニターを押しながら現れた。「お前の妹に事情を話したらリモート結婚式にするってさ。良かったなメロス!」
コオロ @ko_ro506
#twnovel 何かやたら傷だらけだな。それが、この路面電車への最初の感想だ。霧の深い夜、もう歩いてられんと飛び乗ったものの、あちこちに爪痕のようなものがあって嫌な予感がする。その予感は私自身が爪痕を残すことで的中した。霧で線路が判らないのをいいことに、電車は縦横無尽に走り出したのだ。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel 運河に沿って走る路面電車。その行き先には今日も霧がかかる。霧に隠れていてもどうせわかる。海がある。ゴールへ必死にたどり着いたはずが、更に広い世界に放り出されるのだ。何度も。この霧を生み出しているのは乗客の溜息だ。足元を見せない優しさか、足元を掬うための罠かはわからない。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel ここの運河は『悪魔の爪痕』と呼ばれているんですよ。悪魔がその大きな手で、海岸を抉ったかのように見えるからでしょうね。この路面電車が向かう先も、運河に沿って五つに分かれています。これからあなたがするのは悪魔の選択。気付きましたか、鈍いことです。さあ、誰を選ぶんでしょうね。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#サカイメの書架応募 あの夏の日、どこまでも歩いていこうと僕たちは決めた。ここを出たら、何があるのかと目を輝かす君と、何もなくてもいいやと思った僕。その違いに気づいて、僕は君についていくのをやめた。夏休みは今年もどこにも行かない。今年も戻ってきた君に、何かあったかい、と訊かないと。
コオロ @ko_ro506
#サカイメの書架応募 猫ってのは逃げていくもんじゃないのかよ。暑くて網戸を開けたら、その隙に部屋に入ってきやがった。摘み出そうと追いかけるが捕まらない。姿を見せないと思ったら、飯の時間にはふらりと現れる。部屋にいる間、窓は開けっぱなし。ここって眺め良かったんだな。呟くと猫も啼いた。

twnvday2020/6/14 お題「おかえり」

コオロ @ko_ro506
#twnvday「おかえり」と言ってくれる母さんがいる、ここだけが俺の居場所だ。そう喚いても、母さんは首を横に振るだけだった。俺は母さんの本当の子ではないという。同じ生き物ですら。俺がいるべきは、この森から眺めてきた、あの明かりの灯る人里らしい。振り返る俺に、母さんは促した。「おかえり」
コオロ @ko_ro506
#twnovel 流れてきたらRT。流れてきたらRT。インターネットの普及は壁も戦争もなくさなかった。逆に増えた。今日も俺は、旗を掲げたインフルエンサーのフォロワーとして徴兵され、発言を拡散する。流れてきたらRT。この弾丸が誰に届くのかも知らない。流れてきたらRT。従軍先が多すぎて読む暇がない。
コオロ @ko_ro506
#twnovel「好きって言ったら怒る?」その問いに、私は「それ今じゃなきゃダメ!?」と片手で崖のふちにしがみつきながら怒った。「好き?」と訊かれ「だからそれ今!?」と怒鳴り返すと伸ばした手を引っ込められた。そして私は、魂を売った。繋いだ手は今度こそふり払われずに、きゅっと握り返された。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel ふと、これまで追い抜いて来た人々は、なれるかもしれなかった自分なのではと思う。ダメだったよと笑い合ったり、それなりの成果で手を引いたり。それを振り切って、それでも修羅の道を行くのは、突き動かす何かが胸の内にあるから。幸せに背を向けて手を伸ばす。さあもっかい十連ガチャだ。
コオロ @ko_ro506
#twnovel 背中についた爪の痕が、痛いのか熱いのかわからない。痛いはずなのだ、さっきまでここにいたのだから。歴史が変わったから消滅するとは言っていたが、随分しっかり爪痕を残してくれたものだ。光に包まれた最後の姿が目に焼き付いている。笑顔からこぼれ落ちる涙が光を纏って美しいと思った。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel 屋台からテイクアウトしたラーメンにトッピングがなかった。百円かえして!とチャルメラの音を頼りに追いかけ、やっと見つけた屋台のおやじは「うるせーんだよ!」と怒鳴られていた。クレーマーをしゅんとして見送ったあと、こっちに人懐っこい笑顔を向けるおやじに、俺はおかわりを頼んだ。
コオロ @ko_ro506
#twnovel 港にジェラルミンケースが流れ着いていた。僕がそう言っても「そんなものはない」と誰も取り合ってくれない。みんなだって見ているはずなのに。確かにあったのに。「いや、それはお前が間違っている」そんな。「ジュラルミンケース、だ。ジェラルミンケースなんてものはない」イラッとした。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel あいつには人魚の恋人がいるのさ。鞄いっぱいに花を詰めて海に出る彼を、漁港の人々はそう嘯く。船に乗せてほしいと頼んでも、特別な用事だからちょっとね、とはにかんだ顔で断られた。今日も花を撒いて戻ってくるのだろう。彼の恋人のように、いつか戻らない日が来ることを私は恐れている。 twitter.com/ko_ro506/statu…
コオロ @ko_ro506
#twnovel 銀色の花?ああ、そりゃきっとこの漁港の名物料理のことですよ。魚の身を花びらに見立てましてね、花が咲いたように並べるんです。そこから?いえそれで終わりですよ。お客さんそんなの料理じゃないってクチですか?それ以前の問題?生でも食えますよ、バリバリと。ん。お客さん…人間かい? twitter.com/ko_ro506/statu…
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