- HellwayPatrol
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今朝のニュースでモーリシャスの油濁事故について商船三井の船がという表現がなされていたのですが、明らかに不正確。船員の過失により生じた船舶事故については原則、船舶所有者が責任を負うのであって(商法690条参照)、今回であれば長鋪海運さん。(続く)
2020-08-16 20:36:37そして、やはり同様に一般船舶の燃料油の流出事故については条約に基づき船舶所有者が責任を負うことになります。他方で、その責任は制限されます。もし、制限されなければ海運会社が倒産し、リスクが高くて海運に携わる会社がなくなってしまうからです。日本にも船主責任制限法というのがあります。続
2020-08-16 20:45:37さらにPI保険という保険により今回のような損害について賠償されることになります。海運では、発生する事故によって大きな損害が発生してしまい、海運会社を保護するために、その事故の責任を制限するためのルールや保険に関する仕組みが発達しています(航空業界でも似た制度があります)。続
2020-08-16 20:48:09テレビのニュースなどを見ても、海運に関する制度ははた目からみると複雑な構造なので、なかなか理解されないなぁと思っています。定期傭船契約とはどのような契約であるのかとか、海難事故が発生した場合の責任関係などは確かによくわからないかもしれません。油濁事故もそうです。
2020-08-16 20:50:53このように書くと、被害者の保護はどうなんだ?と思われるかもしれません。確かにその通りです。しかし、日本も含め、多くの物を諸外国に依存する貿易国では船舶事故によって生じた損害賠償責任を賠償していたら、結果的に、そのリスクを負担するために運送賃が高くなり、我々の生活が大変になります。
2020-08-16 20:54:37被害者や被害国に対する支援は重要ですが(これはきちんと政府による政策の問題として行うべきだとも思います)、一方で、船舶所有者にだけそのリスクを負担させることは一般的には難しいんだということが背後にあるんだよということを知ることが大事かなと思います。
2020-08-16 20:57:31今回は、報道によるとWifi接続をしたかったから、だそうですがそれは誕生日パーティを行っていたとも言われてます。船員は職住一致の船上で日本の物流を担っています。確かに、沿岸に近づく行為は許されませんが、適切な当直をしているのであれば誕生日パーティまで否定することはできないと思います。
2020-08-16 21:00:18そして最後に、今や日本の物流を担ってくれているのは多くの外国人船員さんです。日本の会社が所有等する外航船でも日本人ではなく外国人船員さんが一生懸命日本のために働いてくれています。今回は適切な操船ではなかったかもしれませんが、外国人船員だったからとは思わないで欲しいなとも思います。
2020-08-16 21:05:21呟きから2日を経ても多くの反響頂いており、改めてTwitterの凄さを感じています。また、多くの皆様からご意見やご感想、ご質問、更に私の知らない情報(それも非常に重要なもの)の提供も頂き、本当にありがとうございます。数も多く、すぐに対応できず申し訳ありません。
2020-08-18 07:49:50東京の某私大教員(&静岡某大学の客員)。専門は商法(会社法・海商法)ですが、時々、労働法学者とみられることも。乗り物が好きで、特に船と鉄道が趣味で、研究対象。旭川生まれの旭川育ち。旭川→静岡→札幌・小樽→東京。まち歩きとアニメ(特にエヴァやパトレイバー)が大好きです。普段は神保町界隈をぶらぶら。
海事法の専門家のツイートです。続きがかなり長いですが、参考になります。こういう先生や海事弁護士への取材申込がマスコミからあるべきです。 twitter.com/farnorthprof/s…
2020-08-17 17:29:11なるほど。「この船を所有している(船主)のは長鋪汽船ですが、顧客(荷主)から荷物の運送を受託したのは長鋪ではなく商船三井です。商船三井は長鋪から船をチャーター(用船)して、荷物を運んでいるという関係になります。」news.yahoo.co.jp/articles/9325e… twitter.com/farnorthprof/s…
2020-08-17 10:36:26商船三井、北海道たきかわスカイパークでのフライトでの機体移動に使う「さんふらわあ」を運航してるので、過剰に叩かれるのはなんか嫌だな、と思って。
2020-08-17 10:47:06モーリシャスの海が船舶座礁による油流出で汚染された事故について、造船会社・船舶所有者・政府の責任と関与を解説してくれている。賠償問題もひいては私たちの生活に関わってくるなど、あらためて目が覚める思い。 分かりやすいのでスレッド一読お奨めです。 twitter.com/farnorthprof/s…
2020-08-17 07:42:16@farnorthprof 事故の責任を傭船者ではなく船主に負わせるのは歴史的経緯はあるのでしょうか? 素人目には船の操作について船主は指示を出しておらず、責任を負うべきは航路や乗組員のアレンジなどを実施していると思われる傭船者側なんじゃないか、と思ってしまうのですが。
2020-08-17 12:57:40@Joejack60738434 ご質問ありがとうございます。実は、傭船と一口に言っても、裸傭船、航海傭船、定期傭船というのがあり、今回のような定期傭船では船舶の管理は船主が行っているとされていますので、基本は船主が責任を負う形になると思います。
2020-08-17 14:04:38@Joejack60738434 もちろん、事実関係や契約の内容によって結論が変わる可能性はあるかと思いますので、あくまで一般論ということでお願いします。
2020-08-17 14:23:08@farnorthprof 座礁した7月25日から要請を受けたオランダと日本のサルベージ会社が船員の救助と船体のサルベージに出発しています。 重油が漏れ出したのは8月6日。 モーリシャスが日本を入国制限してるので、PCR検査後陰性と診断された専門家チームを9日に招集、翌日には出国しています。
2020-08-17 11:25:36@farnorthprof なお、人数が少ないのでは、という意見もありますが、実行部隊はサルベージ会社である他、フランスやインド(船長がインド人な為だそう)から機材や人員が入るため、バックアップに近いかと。
2020-08-17 11:30:46@farnorthprof インド参入は船長に運行責任があるため、心象を良くしたい意図もあると思われます。 あと、wifiの件は「wifiが使えるくらいに接近したんだろう」という現地メディアの感想だそうでガセらしく、事情聴取は続いているそうです。
2020-08-17 11:35:27@farnorthprof 補足 モーリシャスが植民地時代、インドから大量の労働者が流れ込んだ為70%近くがインド系だそうで、インドの支援があるのは当たり前のようですね。 フランス支援は植民地だったのもあると思います。
2020-08-17 21:51:48@Z32_627 @farnorthprof フランス語が今でも公用語みたいになってるようで・・・。フランスとの関係は深いみたいですね。モーリシャスは軍隊が無いのですが、コスタリカみたいに重武装の警察組織が存在し、その中の特殊部隊がフランス軍と共同で訓練してるようですし。
2020-08-18 07:39:38