THUNDERBOLTED-off(IDOFF/ID:INVADED)
出る前に車が通ったのでそっと背を向けて。出たものは電話帳を破って拭く。その電話帳はこのカラカラの電話ボックスの中で日に照らされ続け、干されて死んでるみたいだ。
2020-08-28 18:25:53石は携帯の前にじっとしている。 お兄ちゃんの携帯を僕のと交換し、録画を続ける。 お兄ちゃんがお父さんに電話して、ビデオカメラを買ってきてもらう。
2020-08-28 18:27:41画質を落とせば丸一日録画できるらしい。それで石を録画しながら僕たちは石抜きの生活を始める。夜寝る前にメモリを交換するときにだけ石のことを思い出す。
2020-08-28 18:27:58シービーとは仲が良いままだけれど、もうこっそり二人だけで話したりはしない。チンチンの話もしない。石については 「ほうか、良かったね」 のひと言だけだった。
2020-08-28 18:28:09でも中三になって他の子たちと一緒に図書室で勉強しているときに本棚の奥で二人だけになって 「あの石、まだあんたんち?」 「うん」 「ひょっとして、あの石、もうあんたのことなんかどうでもよくなってて、録画やめたらどっかに消えたりせんかな?」 などと言う。
2020-08-28 18:28:29「ふふ。ほやけど、そんなの試しにやれんわな。あんたのこと、どうでもいいどころか憎んでて、それこそ頭の上にガチーンと飛んでくるかもしれんもんな」 「……!」
2020-08-28 18:29:00「あはは。ごめんごめん。違うんや。あんたと久しぶりに、あの石の話ちょっとしたかっただけなんや。あんた、あの石で困ってるときちょっと可愛かったさけ」 そうですか。
2020-08-28 18:29:18でも女の子ってどうしてこんなふうに気持ちをかき混ぜるのが上手いんだろう? 実際ちょっと怯えてしまってるじゃないか! するともう一度シービーが 「ごめんって」 と手を合わせて見せ、 「じゃあ、気持ち変えて、チンチンの話する?」 と言う。
2020-08-28 18:29:34「する」 と僕は即答する。 「あはは。それも嘘や。アホやなホント。勉強しよ?私、あんたと同じ高校行きたいし」 シービーは皆の机に戻る。 言っておくけど彼女の方が成績は良いのだ。つまり勉強しろということで、そんなこと言われたら、そりゃしますよね。
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