舞城王太郎 『煙か土か食い物』 名言集
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[丸雄は≪無気力≫の記号みたいな溜息をついて首を振る。「お前は本当に二郎の生まれ変わりみてえやな」と丸雄は言って俺はその台詞が気に入る。]
2011-07-07 17:11:57[「いけ三郎。駐車場や!」「おっしゃー!」「行けマザファッカー!」「ウオオオッ!」。とんだ大騒ぎで患者も看護婦たちもポカンとしている。俺も三郎も大爆笑だ。俺は笑うと胸がバキバキ痛んでむちゃくちゃ苦しいよ。]
2011-07-07 17:19:37「脳死体験は素晴らしい。これは実際に素晴らしい。体脱体験。光のトンネル。早く進む時間。逆に遅く進む時間。走馬灯。人生の意味。体験者は研ぎ澄まされた感覚を得る。森羅万象のすべてを理解する。神の存在をリアルに感じる。」
2011-07-07 17:28:02「人の心本当に掴もうと思うたら自分のことリアルに書くんや。自分の大事なもん惜しげもなく切り売りしてしまうんや。血とか汗とか魂の切れ端とか、文章になすりつけてしまうんや。」
2011-07-07 17:30:52「クソ、でもおれは本当は親密さがほしいんだ。全てを預けてしまえるような種類の親密さが。これまで持ってきて作ってきて溜め込んできたものを一度に全部投げ出してしまっても平気の余裕の楽勝の親密さがほしいんだ。揉んだり吸ったりするためだけのものじゃない女の胸。」
2011-07-07 17:39:06「ああおれは苦痛に負けそうなんだ。弱気になってる。何だよ誰かに守られたいって。誰かの胸で眠りたいって。お前は傷ついた少年か。保護の必要な未成年か。お乳の吸い足りないママズボーイか。しゃんとしろこの野郎。目を開けろ。苦痛はお前を苦しめはするが殺したりはしない。」
2011-07-07 17:44:39「えっ。うーん、でもそんなことするとパニックになるんじゃないですか」「リンチでも起こるといいですね」「うーん」「ではこれで」
2011-07-07 17:46:40[「俺はでっかい花火が好きなんや。やるなら派手なほうがええやろ!」。それに俺は身体中が痛くて堪らないのだ。周りがパニックになってるくらいじゃないと道路の脇に寝転がって失神しそうだ。]
2011-07-07 17:51:10[それから思い付いて俺は言う。「ウサギちゃん。頑張って生きれや。」するとウサギちゃんはこう言って俺を笑わせる。「ありがとう四朗さん。でもウサギにとっては人生なんて余裕のヨッちゃんよ。」]
2011-07-07 18:05:36[「はいはい」と旗木阿帝奈は言って俺の頬にキスしてくれる。それはウサギちゃんがキスしてくれたのと同じ頬だ。だから俺は反対側の頬も差し出す。「こっちも」。すると旗木阿帝奈は笑って言う。「汝、右の頬をぶたれたら左の頬も差し出せってわけね」。その通り。まったく君は正しい。]
2011-07-07 18:10:29「セラピーというものはやはりプロに任せなくてはならない。いやセラピーに限らず、医療というものは必ずプロフェッショナルに任せなくてはならない。」
2011-07-07 18:36:04