前代未聞!驚異の77分ワンカット・ワンシーンのアクションを実現した『狂武蔵』【果たしてその出来映えはどうなのか?】

映画『狂武蔵』のレビューです。 オッサンになった拓兄は本当にカッコ良かった。
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惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

坂口拓主演のインディーズ映画『狂武蔵』は、その発端から紆余曲折あり世に出るまで9年の時を要した。 クラウドファンディングによって完成に至ったこの映画の最大の売りは、77分ワンシーン・ワンカットの剣劇アクションだ。 pic.twitter.com/SdssjxdZBX

2020-09-11 01:10:08
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元々はこの映画、園子温監督による企画『剣狂 KENKICHI』がお蔵入りになった為に残ったスタッフ達と結集して、77分間のシーンを作り上げたものだ。 園監督の『地獄でなぜ悪い』で拓はアクション俳優志望の男として登場するが、劇中のずっと完成しない自主制作映画はプロト狂武蔵のパロディと言える。 pic.twitter.com/UO1CjNztnl

2020-09-11 02:06:10
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物語の内容は、吉川英治の『宮本武蔵』を元に幾度も映像化されて来た、吉岡一門との戦いの部を丸々本編にしている 従来の設定では吉岡門弟の数は70数人だったが、『狂武蔵』では400人又は580人もの数を武蔵=坂口拓が切り捨てて行くギネスチャレンジの様な趣向だ。 実際NGを出せば、即終了だったとか。 pic.twitter.com/9bddLZwapM

2020-09-11 03:28:28
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『狂武蔵』は2011年に撮り終えた戦闘シーンに、新たに撮影したものを物語の前後に付け加え完成させた映画だ。 追加キャストには、若手の山﨑賢人から大ベテランの樋浦勉に斎藤洋介を取り揃えドラマ部分に迫を持たせる。 冒頭からタイトルロールが出現するまでの導入演出は、なかなかに痺れた。 pic.twitter.com/dvy0uRCIHZ

2020-09-11 06:13:22
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そして肝心の見所である坂口拓の「殺陣」だが、そのスタイルは流れる様な華麗な殺陣では無い。 常に脇を締めた状態で構え、自分の間合いに相手を入らせないよう敵の太刀を少ない動作で弾き、カウンターを狙って行く。 拓が志向したのは、徹底したリアリズムタイプの戦闘法なのは間違い無いだろう。 pic.twitter.com/pKmojWlozl

2020-09-11 19:39:44
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ただ、この映画は大きな難点も抱えている。 堅実かつ野性的な動きは部分的に観れば見応えがあるが、77分ワンカットの中で何度も繰り返されるので早い段階でパターン化をする。 途中に刀を二本持ち振りを大きくする等の工夫もあるが、長い時間の中でそれを何度かやるとやはり単調な型に嵌まってしまう。 pic.twitter.com/vXuRbRz5UH

2020-09-12 00:46:48
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この着々と繰り返される一定の作業は例えるのならば、ゲーム配信者の長時間に渡る"HPを削って行くプレイ"をずっと見ている様な感覚に近い。 実戦の型に拘った故の結果だが、エンタメ性という点を考慮するとかなり人を選ぶ映画だ。 pic.twitter.com/RFJ5t6qurF

2020-09-12 01:18:33
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だが制作の経緯やワンカットという限られた制約下の中での撮影なので、地形移動や立ち回りの幅が限られてしまい、パターンがマンネリになるのも致し方ないと言える 拓本人は開始5分で指を骨折したままのノンストップ撮影なので、その苦労は凄まじいものだったろう 後半の荒さにも疲労ぶりが見て取れる pic.twitter.com/aEaoFIfjA3

2020-09-12 01:36:26
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『狂武蔵』で拓が見せた剣術の型は殆ど自己流との事だが、当時まだ深い付き合いでは無かった稲川義貴から幾つか技を伝授された様だ。 少ないながらも所々に実践的な古武術の型が見られる 後に弟子入りし映画『RE:BORN』で組む2人だが、 やはりこの作品が俳優から"戦闘者"になった坂口拓の大きな転機だ pic.twitter.com/Vv6YbDDSU0

2020-09-12 03:12:24
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77分間の長かったワンシーンを終え、話は七年後へと飛ぶ。 そこに登場するのは、随分と見た目の印象が様変りした武蔵こと拓だ。 やけにずんぐりとなった体型が、達人らしい威厳と風格を醸し出す。 こうして9年前と直に比較すると、坂口拓は役者としての技量もかなり向上しているのがよく分かる。 pic.twitter.com/U3RqcobSXK

2020-09-12 03:27:11
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若い頃の拓の演技は、力が入りすぎて表情が若干クドく見える事があった だが現在の坂口拓は脱力系の境地を得ており、見事に自然体なスタイルになっている。 稲川から学んだ戦闘術ゼロ・レンジ・コンバットは、体幹の力を抜く事が前提だ その影響力が身の回りや、演技力まで及んでいるかの様にも見える pic.twitter.com/87deEwyiSv

2020-09-12 04:00:34
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そして最後には吉岡残党との戦いがあるのだが、コレが凄い。 刀の柄から刃物が飛び出す等『獣兵衛忍風帖』みたいな世界観にいきなり変わるので、ちょっと笑ってしまった。 ここでの殺陣は複数の相手の間合いにガンガン攻め入り瞬時に切り捨てる。 今までの保守的な殺陣とは真逆であり、見せ方が巧い。 pic.twitter.com/n3AEsF6QTd

2020-09-12 04:12:06
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『狂武蔵』はとてもアンバランスな映画だ。 事情が事情なだけに、技術的な面でも優れているとは言い難い。 だがデビュー作の『VERSUS ヴァーサス』や『デス・トランス』の時代からの坂口拓を知っていると、熱く込み上げてくるものがある 抽象的な言い回しをするならば、"魂"で感じる映画といった所だ pic.twitter.com/T5Zfsis8Re

2020-09-12 06:02:51
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9年前の当時、様々な表現法と思索の迷いもあって、77分撮りを終えた時には引退を決意していたそうだ。 そして2013年の『地獄でなぜ悪い』を最後に、アクション俳優・坂口拓は事実上一度引退している。 pic.twitter.com/3PglbOYky8

2020-09-12 06:17:37
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狂武蔵の劇中と最後では、その剣の腕前や演技力共に格段に上達した"差"をハッキリと視認出来る つまり『狂武蔵』とは"坂口拓"の成長と進化を描いたドキュメンタリー映画の様な物だ そういった意味合いで観れば、この映画は実に感慨深い 劇場からの帰宅後、久々に『VERSUS』のDVDを取り出してしまった pic.twitter.com/cPtbqBeoGV

2020-09-12 07:05:30
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