CHANNELED-off(IDOFF/ID:INVADED)
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CHANNELED-off
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CM
ID:INVADED イド:インヴェイデッド
2020年冬アニメ
監督・あおきえい×脚本・舞城王太郎
https://ch.nicovideo.jp/id-invaded(ニコニコチャンネル・コメントOFF推奨)
https://gyao.yahoo.co.jp/store/title/204711(GYAO!)
第一話無料公開中(2020.09.17時点)
ID:INVADED イド:インヴェイデッド #BRAKE-BROKEN
ヤングエース連載中
漫画・小玉有起×原作・舞城王太郎
https://seiga.nicovideo.jp/comic/45740(ニコニコ漫画・アカウント必要)
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS02201410010000_68/(コミックウォーカー)
第一話・最新話無料公開中(2020.09.17時点)
イドの世界が君を待ち受ける
月曜日分(1/3)
小説版『龍の歯医者』準備中。
#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第12話 #第13話 #ATX #月曜夜18時から #水曜朝10時から #金曜深夜26時から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #CHANNELEDoff #月曜は最初の三分の一 #非公式 『CHANNELED-off』
2020-09-14 17:21:53娘が三歳五ヶ月になったころにふと思い立って面白半分に 「生まれる前のこと、何か憶えてる?」と訊いてみる。「ママのお腹にどうやってきたか、とかさ。どうしてママを選んだのか、とかさ?」
2020-09-14 17:22:18すると娘が少し考えるような間を開けるのであれ?なんか親向けのサービスで適当な話をでっち上げるかもな、と思う。うちの娘はテレビの真似で掌を二つ並べて広げて即興の物語を作って見せたりするので、そういうんじゃ意味ないんだよな、と。
2020-09-14 17:22:37それから娘が言う。 「あのね、大きな空っぽの花瓶の中に豚さんと一緒に入ってたの。弟と。その花瓶は海に浮かんでて、水が入ってきたらみんなでそれ出したの。そうやってたら豚さんが私の番だよって言って、花瓶の下見たらパパとママがいて、そこに私、生まれるってなったの。
2020-09-14 17:22:50でも花瓶の中、大変だったから弟も来なよって言ったら、豚さんが弟はまた後で来るから今はダメだって。それに水が入ってきたら花瓶からそれかき出さなきゃいけないから手が必要だって。弟はお姉ちゃんと行きたい、お姉ちゃんと行きたいって泣いてたけど、豚さんが絶対ダメって離してくれなくて、
2020-09-14 17:23:06これ以上ここでグズグズしてるともう下には行けないよ、ずっとここで、永遠に水かきだよって言われたから、弟に、先に行って待ってるねって言って、降りたんだった。そう言えば弟、まだ来てないね。まだ水かきしてるのかな。早く来るといいね」
2020-09-14 17:23:36へえ、と俺は思っただけだけど、妻がキッチンで凄い形相で硬直していて、あれなんかヤバい!となった。 「あはは。面白いね」 と俺は一応言ってみたけど全く通じなくて、妻が
2020-09-14 17:23:49「それ、二歳のときにもママに教えてくれたよね。あの時はブッブがダメって言ったって言ってて、ブッブが車のことだと思ってたけど、ブウブウ、豚のことだったんだね」 と声をところどころ震わせながら言う。え?二歳のとき?そんな話してたの?
2020-09-14 17:24:06キッチンで夕ご飯の用意をしていた手を止め、手を洗ってタオルで拭いて、妻がリヴィングにやってくる。正座。 「前は弟の名前も言ってた。憶えてる?」 娘がちょっと怯んでいる。
2020-09-14 17:24:18「憶えてない」 「二歳のときはちゃんと言ってたよ」 「でも憶えてない」 「教えて?」 「……」 娘が黙って俯いてしまった。 「あはは。無理でしょ」 と俺が介入するけれど 「でも弟のことだよ?」 妻は真顔だ。
2020-09-14 17:24:31「弟ったって、まだ生まれてないじゃん」 「空の海の花瓶で豚さんと待ってるんでしょ?ね?お姉ちゃんはそこから来たんだもんね?」 娘を唐突にお姉ちゃん呼ばわりまで始めてしまった。 「待って待って。こんなの、事実って決まってる訳じゃないんだし」 「嘘だったの?」 と娘に訊く。
2020-09-14 17:24:44「きついって、言葉が」 「今この子の弟の話してるんでしょ?。ねえ、嘘ついたの?」 娘が首を振る。 「嘘じゃない」 「当たり前じゃん」と俺は言う。「そういう光景が頭の中にあったからそれを話しただけだろ。どこにも嘘はないよ。そういう問い詰め方やめなよ」
2020-09-14 17:25:01「嘘じゃないならその話をもっと聞かせてもらってもいいでしょ」 「そんな、言質とるみたいな詰め寄り方する場面じゃないよ」 「そんなつもりない。でも弟は、豚に囚われて重労働させられてるかもしれないんだよ?」
2020-09-14 17:25:30「笑えるべきだと思うけど。豚さんの話がリアルに聞こえるの?ちょっと、こんな内容の話にムキになりすぎじゃないの?」 「胎内記憶は嘘だと思ってるの?」 「別になんとも思ってないよ。面白い話だと思ったからちょっと訊いてみただけで、それで子供の前世を探ろうと思った訳じゃない」
2020-09-14 17:25:51「一年以上前に聞いた話をもう一回繰り返したんだよ?この話には何かあるよ」 「だから、一年前にした話を憶えてただけだって。それに、弟の名前は忘れちゃったんだろ?つまり全てを憶えてた訳じゃなくて、一年時が経ったぶん順当に忘れた箇所もあるじゃん。普通だよ」
2020-09-14 17:26:01「で、その話をただちゃんと聞きたいだけなの。別にいいでしょ?それくらい」 「ダメだよ。ダメって言うのは変だけど、弟キャラのこと気にしちゃってるじゃん」 「キャラなんて言わないで!」 わ。 大声だ。大声が出たぞ。 妻もちょっと戸惑ったような顔をしている。
2020-09-14 17:26:15「……ほら、と言わざるをえないな」と俺は言う。「お話の《弟》と、俺らの第二子とをごっちゃにしてるじゃん。あのさ、海に浮かぶ花瓶の中で豚と暮らしてる話だよ?」 「知ってるって」 「お腹の中で見た夢の話、くらいに聞かないと」
2020-09-14 17:26:28「……じゃあもういい。この話はもうしないでね!」 と妻が娘にピシャリと言い、バッと立ち上がる。 娘の口元がワナワナと震えている。泣き出しそうなのを我慢しているんだ。
2020-09-14 17:26:40「パパが頼んでちゃんと話をしてくれたんだよ。ママがそんなふうに怒っちゃかわいそうだろ?」 とキッチンに戻った妻に言うが、返事はない。ガッチャンガッチャンとものに当たるようにして夕食の支度が再開される。
2020-09-14 17:26:56