髪と尻尾の色が三毛とか黒とかブチとかいろいろいる猫耳三頭身種族のお話

lowenさんの髪と尻尾の色が三毛とか黒とかブチとかいろいろいる猫耳三頭身種族のお話
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@lowen_lowe

髪と尻尾の色が三毛とか虎とか黒とかブチとかいろいろいる猫耳三頭身種族

2011-07-09 01:15:31
@lowen_lowe

はじめて人類が彼ら(彼女ら?)の星を発見したときの驚愕は並大抵ではなかった。彼らは内陸で鶏を、沿岸で煮干を作って文明を維持していたのである

2011-07-09 01:17:49
@lowen_lowe

そしてファーストコンタクトはうまくいかなかった。というのも、人類使節団の代表があんまり愛らしい猫っ娘な相手側の代表を思わずむぎゅーっと抱きしめてしまったからである。プライドの高い猫っ娘種族にとってこれは最大級の侮辱であった。いうまでもなく使節は顔を引っ掻かれた

2011-07-09 01:19:41
@lowen_lowe

人類のある勢力はどうしても猫っ娘をおもちかえりしたかった。密猟者が続出して誘拐が問題になった。とうとう猫っ娘の惑星は着陸船に対し無差別に発砲すると警告、国交は断絶し、猫っ娘お持ちかえりしたい勢力の雇った民間軍事会社との間でシケた紛争が開始される

2011-07-09 01:22:09
@lowen_lowe

にぼし工場とたたみいわし工場が即座に軍事生産に転用され、それを口実に各地の生産設備が人類に破壊された。にぼし不足による空腹は猫っ娘たちの人類に対する憎悪を倍加した。ところがこの獰猛な猫っ娘たちに、民間軍事会社の兵士たちは発砲すら許可されなかったのである。

2011-07-09 01:24:48
@lowen_lowe

そして今。無人兵器の群れが人類側の橋頭堡を護るバンカーを相次いで強襲していた。粒子ビームを備えたトーチカはほとんど破壊され、もはや橋頭堡を防御しているのは塹壕から顔を出してスマートガンを撃つ生身の兵士しかいなかった。三頭身の猫っ娘があんなもんを量産できるなど誰も考えていなかった

2011-07-09 01:29:01
@lowen_lowe

「支援はどうなってるんだ!」「全域で敵が攻勢をかけている。空中機動兵器はCASに大忙しだ、自力で状況を回復せよ」司令部の冷酷な通信に悪態をつく暇すらない。「畜生、大隊砲兵に連絡しろ!」「砲撃は契約規定違反です」「今更言うな!あいつらはお持ちかえりできるような可愛いもんじゃ――」

2011-07-09 01:31:58
@lowen_lowe

彼らの後方、大隊砲兵が展開しているあたりの方角から恒星のような眩い閃光がほとばしったのはその瞬間であった。「核閃光、総員耐爆姿勢!」先任軍曹が叫ぶよりも爆風が全てをなぎ倒すほうが早い。運悪く装甲服のハッチを開いていたものは一次放射線で死んでいた。そのまま爆風に持っていかれる

2011-07-09 01:33:59
@lowen_lowe

「カリフォルニウム弾だ」戦場電子情報網を呼び出すと司令部を含む後方の重要ターゲットがほとんど壊滅していた。「報復しないのか、何百人か死んだぞ」「至近距離には打ち込めません」部下が指差した方向を見た指揮官は己の不運を呪った。三頭身の猫っ娘の群れがが銃を手に突進してくる

2011-07-09 01:36:58
@lowen_lowe

「フニャーッ!」NBC防護服の上からでも三頭身の尻尾つきがトテトテ走ってくる様子は可愛いものである。その手に粒子ガンが握られていなければだが。「反撃だ、反撃しろ!」ヤケクソになった兵士のいくらかがスマートガンで応戦するが、殆どの兵士は複数の意味で戦意を失っている。

2011-07-09 01:41:13
@lowen_lowe

結局、彼の中隊は物量の差であっけなく降伏した。部下は戦意を喪失していた。武器を捨てて手を挙げる彼らに猫っ娘たちは容赦なく怒声罵声を浴びせて猫特有の総毛立ったような威嚇をする。かわゆい。しかしこのかわゆいものが、今まさに支配者たる人類に勝利しようとしているのだ

2011-07-09 01:43:46
@lowen_lowe

兵站集積所は真っ先に掠奪され、彼らの所持品も食糧は戦場携行食からサバイバルキットまで遠慮なく持っていかれた。にぼしのうらみはおそろしい。無人兵器とそれに掩護された猫っ娘主力はとうとう軌道船の発着場まで押し寄せたらしく、ターボレーザのうなる音が響いていたが、それもほどなう消えた

2011-07-09 01:46:46
@lowen_lowe

「我々は敗北したのでしょうか」無線で訊ねてくる先任軍曹に、指揮官はどう答えていいかわからなかった。猫っ娘の多くは鹵獲品を争って威嚇し合い、そこらを走りまわし、いまだ自分たちに銃をつきつけているものもある。この気ままな猫に人類の遠征軍が負けたと知って地球政府はなんと思うだろう

2011-07-09 01:48:54
@lowen_lowe

だが、たぶん戦争が終われば猫は猫の生活に戻るはずだ。彼は不思議と捕虜になる未来を悲観していなかった。降下船が爆破される音が響いてきたとき、むしろすっきりしたものを感じたほどだ。なぜなら彼は、これから猫っ娘の支配下に置かれるといえ、ずっと一緒に居ることができるのである。

2011-07-09 01:50:49
@lowen_lowe

「はじめから、こうするべきだったのだ。猫を支配することなど人間にできることではなかった。我々はとんだ間違いと、大回りをしていたのだ――」降下した将兵と猫っ娘お持ちかえりしたい集団の人間たちは虜囚になる事をちっとも嫌がらなかったという。彼らは戦後復興に多大に貢献し、そして幸福だった

2011-07-09 01:52:57