斎藤さんの書き物

桃太郎以外の書き物メモです。
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齋藤虎之介 @tora404

鯨の背中で目が覚めた。太陽が燦燦と照りつける鯨の背中は少し柔らかくてユラユラと揺れる感じがとても気持ちが良かった。いつ鯨の背中で眠ったのか覚えていないけれどそんな事がどうでも良くなるくらいに鯨の背中は気持よかった。もうこのままでいいやと思った時鯨が海底に潜り僕も一緒に沈んで行った

2011-07-16 09:05:25
齋藤虎之介 @tora404

水晶玉があるとする。水晶玉は球体で透明だ。球体、透明という認識が人によって違っていたらどうだろうか。球体は僕にとっては○だけれど人によっては□を球体として認識しているかもしれない。いま□とタイプしたけれどこの□すら見る人によっては○と見えているかもしれない。本当の世界はどんなだろ

2011-07-16 09:13:54
齋藤虎之介 @tora404

鼻の穴が二つある意味がわからない。口は一つ肛門も一つ尿道も一つなのに鼻の穴は二つ。耳の穴が二つあるのは納得できる。二つあることで音がどこから聞こえているのかどのくらいの距離から聞こえているのか認識するためだから。でも鼻の穴は一つでいいんじゃなかろうか。一つだと鼻糞がほじりやすい。

2011-07-16 09:16:22
齋藤虎之介 @tora404

この世の物は全て観察する事によって存在するらしい。この世の中の人が見たことがないものは存在しないということだ。それは個人レベルでも言える。アフリカの奥地のマッコイさんを知らなければその人の中でマッコイさんは存在しない事になる。本当は存在しているのにマッコイさんを知らなければ存在し

2011-07-16 09:21:57
齋藤虎之介 @tora404

ない事になるのだ。僕が電車で見かける綺麗なお姉さんのスカートの中を僕は見たことがないのでお姉さんのスカートの中は僕にとっては存在しない事になる。当然お姉さん自信は見たことがあるのだから存在はしているんだろうけど。僕の中ではあのお姉さんのスカートの中は真っ黒なブラックホールなのだ。

2011-07-16 09:24:04
齋藤虎之介 @tora404

鳥が空を飛んでいるのを見ていたら突然その鳥が落ちた。突然絶命してしまったのか気絶してしまったのかはわからない。確認するために鳥の落ちたところに行ってみた。少し探すと先程の鳥が見つかった。恐る恐る鳥を両手で掴み観察してみると電池が外れていた。直してあげると元気に飛んでいった。

2011-07-16 09:26:58
齋藤虎之介 @tora404

帆船に乗って世界一周を目指していたある日風が突然吹かなくなった。何日も何日も無風の日が続いた。食料も水も尽きかけもうダメだと思った時突然無数の鳥が帆に体当りしてきた。白い小さなその鳥は帆にぶつかると船の上に落ちてきた。船は少しずつ進みある日陸地が見えた。その時鳥の重みで沈没した。

2011-07-16 09:33:13
齋藤虎之介 @tora404

ある日空に向かって落ちた。目を覚ますと体には少し痛みがあったけれどなんとか立ち上がることが出来たので辺りを見回した。真っ青な世界が広がていて見上げると雲と元住んでいた地上がうっすらと見えた。しばらく歩き回ってみたけれどなにもない。夜になると地面は黒くなりまた僕は落ちていった。

2011-07-16 09:38:29
齋藤虎之介 @tora404

男は高い高い山の上に住んでいた。切り立った崖からいつも外界を見ては外界はどんな所なのか外界から見たこの山はどういう風に見えるのだろうかと思いを巡らせていた。ある日男は外界へ降りる決心をし切り立った崖の上に立っていた。男は崖から飛び降りた。真っ暗な世界が広がっていた。

2011-07-16 09:59:09
齋藤虎之介 @tora404

昔おならが止まらない娘がおりました。娘のおならはとても臭く音も大きいので村人たちそして親かからも忌み嫌われ村はずれにある小屋に隔離されていました。一歩もここから出るんじゃないよ!と物心ついた時から言われていましたが理由は誰も教えてくれませんでした。なので娘はおならが原因で隔離され

2011-07-19 10:49:47
齋藤虎之介 @tora404

ているという事をしりません。むしろ生まれてきた時からずっとおならが出ているのでそれが普通だと思っていたのです。そしてこの薄暗い小屋で暮らす事も当たり前のように受け入れていたので外に出たらダメだという事の意味すら分かりませんでした。外ってどういう事なんだろう?考えても娘には分かりま

2011-07-19 10:53:26
齋藤虎之介 @tora404

せんでした。ある晩のこと村を嵐が襲いました。ものすごい風と雨が娘の小屋にも容赦なく襲いかかりました。一体外では何が起きているんだろう?びょるびょると物凄い音が外から聞こえ、小さな小屋の継ぎ接ぎだらけのボロ小屋の板もゲバゲバと今にも剥がれそうでした。怖い。娘は小屋の隅っこでガタガタ

2011-07-19 10:56:34
齋藤虎之介 @tora404

と震えていました。いつ眠ったのか分かりませんが娘が目を覚ますと小屋に光が差し込んでいました。なんだろう?近づいてみると壁の板が昨夜の嵐で剥がれかかっていました。外に出てはいけません。というあの声が思い出されました。外!そうかきっとこの板の向こう側に外というものがあるんだわ!娘はそ

2011-07-19 10:59:01
齋藤虎之介 @tora404

う思い剥がれかかった板に手をかけました。しかし、幼い頃から言われ続けていた「外に出てはいけません」という人の声がまた思い出されました。その声はいつも同じ声で娘が唯一知っている自分以外の人間の声でしたので、その言いつけを破る事にひどく躊躇いました。「どうしよう。でも私は外に出てみた

2011-07-19 11:01:14
齋藤虎之介 @tora404

い!」娘は葛藤しましたが自分の欲求に耐え切れなくなり剥がれかけの板を思いっきり剥ぎ取りました。一瞬世界が真っ白になりました。ずっと暗い小屋の中で暮らしていたので外の明るさに目が追いつかないのです。目が何かに刺された!そう思った娘は咄嗟に目を瞑りました。目を瞑っても瞼を通して外の光

2011-07-19 11:03:48
齋藤虎之介 @tora404

が赤くうっすらと透けて見えました。目を刺されたと思った娘は目から血が出ているのではないかと思い瞼の辺を手で触り確認してみました。あれ?何も出ていない。痛くもないし大丈夫・・・かな。娘は時間をかけてゆっくりと目を開けてみることにしました。すると少しずつ外の世界が見えたのです。なんて

2011-07-19 11:06:29
齋藤虎之介 @tora404

綺麗なんでしょう!目を完全に開き光に慣れた娘の目は初めて外の世界を映しだしたのです。あたり一面緑が広がり空は青く白い雲が浮かび、山の麓には小さな湖まで見えました。しかし娘にはこれらがなんなのか全くわかりません。生まれてからすぐに薄暗い小屋に閉じ込められたのですから。娘は思わず走

2011-07-19 11:08:43
齋藤虎之介 @tora404

り出しました。すごい!なんて綺麗なの!外というのはなんて美しいの!娘は満面の笑みで涙を流しながら辺りを走りまわりました。ぶりっぶりっぶっぶーと物凄い音と匂いのするおならを撒き散らしながら。はしゃぎ疲れた娘は見慣れない世界をキョロキョロと不思議そうに嬉しそうに見回しながら歩いていま

2011-07-19 11:11:38
齋藤虎之介 @tora404

した。「あ!屁こき娘だ!!!」誰かが大声で叫びました。叫び声のする方を見てみると村がありました。昨夜の嵐で家の殆どはペシャンコに潰れてしまい畑や田んぼは荒らされ、それらを村人たちがせっせと直しているのが見えました。「お前なんで出てきてるんだよ!!!うわ!近寄るなくせええええ!!」

2011-07-19 11:13:57
齋藤虎之介 @tora404

村人たちは蜂の子が散るように娘からなるべく遠くへと逃げて行きました。娘はオロオロとその場に立ち尽くしてしまいました。ぶりっぶりっとおならをしながら。「早く帰れよ!お前の家はあの小屋だろ!あそこから出てくるんじゃねーよ!」「そうだ臭いだろうが!さっさと帰れ!」村人達は容赦なく娘に

2011-07-19 11:16:31
齋藤虎之介 @tora404

罵詈雑言を浴びせました。「だって。外はこんなに綺麗なのになんで私は出てきたらダメなんですか?なんで私だけあんな薄暗くて狭いところで暮らさないといけないんですか?私にも何かお手伝い出来ることがありませんか?なんでもしますから!どんな事でもしますからあの小屋に戻れなんて言わないでくだ

2011-07-19 11:18:41
齋藤虎之介 @tora404

さい!お願いします!」娘は涙ながらに訴えましたが、「お前のおならが臭いんだよ!音もぶりぶりいって不快なんだよ!お前のそのおならのせいでお前の母親はお腹がおならでいっぱいになって破裂したんだぞ!」「え?」「そうだ!そうだ!お前のそのおならなせいで村山さんちがガス爆破を起こして一家5

2011-07-19 11:21:23
齋藤虎之介 @tora404

人が吹っ飛んだんだぞ!お前は迷惑なやつなんだよ!わかったらさっさと帰れ!あの小屋で生かしてやってるだけでも有難いと思え!」私のせいで、私のせいでお母さんが。このお尻からブリブリでてるおならというもののせいでお母さんが死んでしまったの。娘は初めて自分がなぜあの小屋に閉じ込められたの

2011-07-19 11:23:31
齋藤虎之介 @tora404

かそしてお尻からブリブリ出ている物の正体を知りました。尻だけに。「でも私も人間です。外で、外で暮らしたいです。私一人でみなさんとは関わらず、ずっとずっと遠く離れた山の向こうで暮らして行きますから、だからあの小屋に閉じ込めるのはやめてください!」村人たちは集まって何やらヒソヒソと話

2011-07-19 11:26:19
齋藤虎之介 @tora404

始めました。すると一人の老人が言いました。「お前さん一人で生きていくということがどれほど厳しいかわかっておるのかね?誰とも関わらず自分一人で生きて行くんじゃぞ。今までは食料も着るものもワシらが持っていってあげたがそれすらも自分でなんとかせにゃならんのじゃぞ。」「わかっています。」

2011-07-19 11:28:26