勝負師🦋さんと組長🦋エさんのお話

勝負事の世界で生きてきた🦋さんを組長🦋エさんが捕まえて大事に大事に愛を注ぐ話。
4
前へ 1 ・・ 17 18
うみねこ。 @sea_cat_777

お兄ちゃんが好きだって言うんなら、これからもこの味を作って出してやる でも、正直な感想も聞いてみたい気がする 「あっ、もっと苦くした方がいいってことか」 そうすれば、否が応でも答えてくれるでしょ 女が何か言った気がするけど、ま、たいしたことないわよね

2021-06-29 11:50:05
うみねこ。 @sea_cat_777

女はさっきから深刻そうな顔をして俯いている さっきのクソまずいお茶を飲んだせい? ほんの一口だったけど、気分悪い時に飲むと……致命的よね ていうか、正直にまずいって言ってくれなかったお兄ちゃんが悪いのであって、私が悪いんじゃないもん! でも、まぁ、うん 「まだ気分悪いの?」

2021-06-30 09:01:18
うみねこ。 @sea_cat_777

ここにも、胃薬ぐらいならあると思う、たぶん 女は目をぱちくりして、ふわりと微笑んだ 「ええ、おかげさまで。腰を落ち着かせたのがよかったみたいです。ありがとうございます」 「あっそ」 ……なんだ、心配して損した 女がにこにこと見てくるのがなんだか居心地が悪くて、顔を逸らした

2021-06-30 09:03:52
うみねこ。 @sea_cat_777

ていうか、なんでさっき会っただけの他人の心配をしなくちゃいけないのよ!? この女もなんなのよ! 普通にくつろぎすぎじゃない? ここは、変なとこに連れてこられたって不安になるところでしょ? 無条件な他人の親切には裏があるかもって、少しは警戒しなさいよ! こちらの気も知らず女は微笑む

2021-06-30 09:41:46
うみねこ。 @sea_cat_777

「それにしても、こんな場所があったなんて驚きました。休憩場所まで、周りの景観に合わせて設計されているんですね」 「休憩場所? ああ、ここのことか。そんな大層な理由はないわよ」 ただ単に雨風を凌ぐためにあるだけだし お兄ちゃんがお金がもったいない、シンプルでいいって言ったからだもん

2021-06-30 09:46:42
うみねこ。 @sea_cat_777

あたしはもっとかわいくていいやつにしようって言ったのに! 苛立ちのあまり、爪を齧る 「あんまり目立ったらだめだってお兄ちゃんが余計な口出しをするから。自分でグレードを落として、ほんっと馬鹿」 こんな場所に来るやつなんて、みんな頭の中お花畑なんだからさ、裏なんて気にするわけないのに

2021-06-30 09:50:40
うみねこ。 @sea_cat_777

バレたらバレたで、全部搾り取ってから埋めてしまえばいいじゃない お兄ちゃんっていつもそう 変なところで慎重になるんだから! お兄ちゃんへのあらゆる不平不満を胸の内でぶちまけていると、楽しそうに女が言った 「テーマパークの裏側に入るのなんて初めてなので、ちょっとドキドキします」

2021-06-30 09:56:29
うみねこ。 @sea_cat_777

あんたは、見学に来た子供か ジト目で睨みながら、釘を刺す 「あんたね、ついでに見て回ろうなんて考えてないでしょうね?」 図星だったらしい 両手を胸の前に組み目を潤ませながら、こてんと首を傾げた 「ダメ、ですか?」 は? なにその『私のかわいさに免じて許してください』みたいな顔!

2021-06-30 10:01:04
うみねこ。 @sea_cat_777

むかついて頰をつまみ上げる よく伸びる頰を縦横斜めに思い切り伸ばしてやった 「一番かわいい角度わかってやってんの、むかつく! だいたい同性相手にそんな手が通じると思ってんの? ばっかじゃないの?」 必死に逃れようとしてあたしの手首を握るけど、力が弱すぎて引き剥がせてない

2021-06-30 10:06:11
うみねこ。 @sea_cat_777

それをいいことに気が済むまで遊んでから手を離した 涙目になりながらほおを摩る女を見て、気分がスッキリした 真っ赤になってる、いい気味! 「大体、あんたみたいなのがこの辺をうろついてたら、あっという間に捕まって料理されるわよ」 「料理? 捌かれるのですか?」 女は戯けたように笑った

2021-06-30 10:09:28
うみねこ。 @sea_cat_777

自然と笑みが浮かぶ 「そうね、悪い大人に骨の髄まで美味しくいただかれるでしょうね」 「それは怖いですね」と女はくすくす笑う ああ、やっぱりなにも分かってないのね、あんた 今いるここがその『調理場』だってこと あたしが手を下せば、終わりだってことも

2021-06-30 10:14:19
うみねこ。 @sea_cat_777

他人の命を握っているという高揚感は嫌いじゃない さぁて、どうしてやろうか? 呑気に笑ってる女に手を伸ばしたところで、扉が開いた ぱっと振り返れば、まだ帰ってくるはずのないお兄ちゃんが立っていた 私をちらっと見てから、女を睨め付ける 「なぁ、梅? こいつは、客人かあ?」

2021-06-30 10:19:05
前へ 1 ・・ 17 18