【ぼくたちは勉強ができない】最終回後の感想

フユキ @fuyuki67

ぼく勉全体というかうるかについて。あまりまとまりはありませんが。　#ぼく勉　#ぼくたちは勉強ができない

フユキ @fuyuki67

ぼくたちは勉強ができないの主要キャラは童話をモチーフにして作られています。ヒロイン3人のおやゆび姫、眠り姫、人魚姫は言わずもがなです。残りの2人はおそらくピーターパンのティンカーベルとアナ雪のエルサでしょう。同様に成幸は幸福の王子がモチーフと思われます。

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各ヒロインの長編はこのモチーフを多かれ少なかれ下敷きにして展開されています。幸福の王子である成幸はまさにこの長編の問題を解決するために奔走するという形で各ヒロインを幸せにしていくわけですので、物語全体を通して幸福の王子が下敷きにされています。

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人魚姫のモチーフを下敷きにした話がどこにあったかといえば成幸が中学時代を振り返るところですね。人魚姫が王子様を助けたのは陸のお姫様に出会う前です。ぼく勉になぞらえると成幸が理珠や文乃と出会ったときが王子様が陸のお姫様に出会ったときでしょうから、物語の開始前に助けたという形です。

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うるかの場合わかりやすくて、死んだ目をしていた成幸を海で助けました。バスの終点が海だったのは人魚姫になぞらえてでしょう。実際次の回ではすぐ海から離れたので海にする理由は他にありません。水希に水泳を教えるときにも人魚に見えるポーズを描いています。腰から下が背びれっぽくなってますね。 pic.twitter.com/E2q5MddgSH

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×背びれ ○尾びれ

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ですからこの過去回想は人魚姫が王子様を助けたくだりの再現であり、他のヒロインと同じく童話を下敷きにした話なんですね。

フユキ @fuyuki67

成幸は各ヒロインに「幸せにする」という趣旨のことを言っています。初回で「幸せにしてやるから」という無理矢理感のある決め台詞があるのも幸福の王子を意識してでしょう。全体を通して幸せがテーマになのもそれが理由の一つと思います。人魚姫に助けられたのも王子様……というのは無理ありますね。

フユキ @fuyuki67

とりあえず人魚姫も幸福の王子のハッピーな終わり方ではありません。人魚姫は泡になって消えますし、幸福の王子は王子様が鋳潰されてしまいます。人魚姫も幸福の王子も自分を犠牲にして他人を幸せにする物語なんです。

フユキ @fuyuki67

この辺初期から意識されていて、うるかは成幸の邪魔にはなりたくないと自分の好きな人は成幸ではないと言って、受験が終わるまで想いを告げず、告白はしても返事は求めないという選択をしました。成幸が自分より他人を優先するというのは言わずもがなですね。

フユキ @fuyuki67

最後に成幸もうるかにとっての幸せは何かと悩んだ結果、うるかの邪魔をしたくないと告白の返事をしないことを一度選択しました。うるかが成幸を思ってそう選択したことと同じ形ですね。うるか自身も王子様が幸せになるために自分は目の前から消えようとしました。

フユキ @fuyuki67

そこへ幸福の王子が今まで与えてきた「幸せ」に背中を押されて自分が幸せになるために告白したんですね。うるかにだけ「幸せにしてやる」という趣旨のことを言っていなかったのはうるかは背中を押す役目ではないからです。泡となって消えるはずだった人魚姫も泡にならずに済みました。

フユキ @fuyuki67

要は不幸な結末を迎えた童話を踏襲しながら、最後に反転させる形になっています。「幸せにできないかもしれない」という告白は成幸が幸福の王子であることから解放されての台詞で、だからこそカタルシスが大きいんですね。

フユキ @fuyuki67

これは成幸が他のヒロインへ言っていた「幸せにしてやる」という趣旨の台詞をうるかにだけ言っていないからこそですし、モチーフの選択も不幸なものが被らないようにしていないと成り立ちません。

フユキ @fuyuki67

あと付けでできるような収まりの良さではないですし、童話をモチーフにした作品ですからまあこれ以上に収まりのいい終わり方もないでしょう。綺麗な構造になっていると思います。キャラや台詞も好きですが、だからここの告白は今まで読んできたどのラブコメよりも大好きです。

フユキ @fuyuki67

筒井先生、大枠というか物事の因果関係とか描かない部分の人間心理の連続性にはあまり拘りがないんですけど、こういうモチーフ的なというか細かい描写は詰める方なので意識しているのは間違いないと思ってます。

フユキ @fuyuki67

もう一つ「できない」ことの克服という点で成幸ができないことは「自分の幸せを求めること」です。成幸はうるかへの告白のときに「並び立てないかも知れない」と言っています。自身も受験に合格して、夢のスタートラインに立ったにも関わらずです。

フユキ @fuyuki67

言うまでもありませんが、これは成幸視点ですとうるかの夢、一番幸せになることは水泳で一番になることですから、才能がありなおかつそれに向かってとっくにスタートしているうるかとは大きな差があるからです。世界トップクラスのアスリートだから恋愛が邪魔になるという話が出るんですね。

フユキ @fuyuki67

「できること」と「夢」が成幸視点で一致しているからそういう話が出るのです。唯我成幸はきっかけは別に、途中からは無償の愛で他人の幸せの手助けをしてきた人間です。例えばヒロインの問題に踏み込むこともそうですし、VIP推薦をやめて勉強を教える理由がなくなってもまだ教えたこともそうです。

フユキ @fuyuki67

VIP推薦を止めてからも教え続けるのはいわゆる再契約ものの文脈ですね。成り行きで始めた行いを改めて選択できる場面になったときに、今まで積み重ねてきたものを理由として、今度は主体的に選択するものです。成幸もやめようと思えばやめられましたが続けました。

フユキ @fuyuki67

成幸自身は自分のためにもなるから～と言ってますがまあ普通に考えれば教えるより自分だけで勉強したほうが効率いいですからね。それでも続けたのは単なる勉強の効率より今まで続けてきて積み上げてきた縁にそれ以上の価値があるが故です。

フユキ @fuyuki67

これもある種の自己犠牲と言ってもいいかもしれませんがまあどうだろ。いずれにせよこれは再契約の決断で、成幸は夢が決まって目指すべき進路が固まり、その夢のために努力するべき場面ですら他人のために頑張ってしまう奴なんですね。

フユキ @fuyuki67

そんなどこまでも人を優先してしまう成幸が、一番大切な人の幸せの邪魔になってしまうかもしれないけど、それでも自分の幸せを求めるんです。ここの葛藤が生まれるのも夢と才能が一致している相手だからです。俺はラブコメでは主人公が何をどう決断するかを一番の肝と思うので、だからこれが好きです。

フユキ @fuyuki67

あとまあ言うまでもないことですが実際にはうるかの夢と才能は一致してません。成幸がそうだと思っているということですね。告白したときですらわかってないんですよ。うるかが泣きながら伝えたんでしょうね。

フユキ @fuyuki67

あとはうるかを選んだ成幸がエゴ出してて好きです。ラブコメで面白い部分はキャラの可愛さを除けば、大別すると2つに分けられると思います。なぜ好きになったかというwhyの部分とどう結ばれるかというhowの部分です。howの部分はいわゆる障害を乗り越えることにあたります。