【ORIRONPA ✦ Wake】Chapter 5（裁判後編）/ if導入

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✦ペラリと頁をめくる。

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✦【逃げてきたネズミ】

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生きたネズミの家族がいた。家族は確かに生きてはいたが繁殖が出来る状態では無かった。 そんな中に1匹、小さいのが増えた。 神がくれた奇跡の命がひとつ増えた。 最後の命だったもんで、家族は大切に育てた。

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だけれど人間はいつだってそんなのはお構い無しだ。 前だったら共存していたはずだった。それでも時が経てば人も変わるものなのさ。最後の一匹、勿論奇跡のひとつだって知ったこっちゃない。 姿を見ようものなら悲鳴をあげて、それで奴らは殺すのだ。

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最後の小さいの、それが怖くなったものだから。いいや、真実は人間には分かりっこないさ。それはともかく、小さいのは走ったんだ。

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逃げたんだ。

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ずっとずっと、一人で逃げた。人間って奴は何処にでもいるけれど、それでも見つからない安全な場所に。

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それでようやく逃げ隠れたが。 ああ、近くから声がする。 楽しげに笑ってる声がする。 家族の最期に聞いた声がする。 この声、なんの声か分かるかい。

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神の声であったらどれだけ良かった事だろうか。

___ @____wake

「ふふ、皆奇跡って知ってる？」

___ @____wake

「眠りネズミはね、奇跡の子なの。もうこの血から新しい子が生まれる筈ない、それでも生まれてきた。素敵よね、一族全員に愛を注がれたの。」

___ @____wake

「でもね、奇跡って逆を言ってしまえば異質、異端なのよ。だから殺すの、排除するの。だってそうでしょう？」

___ @____wake

「私たちの『普通』を守る為には、私たちの『異端者』を殺すべきなんだから。そうやって私たちはずっと平和に生きてきたのだから。」

___ @____wake

「でもそれから逃げて、生き残って、…ねぇ眠りネズミ。貴方って本当にいけない、悪い子なのね。」

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✦ しかしローズは退屈そうだ。

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「ダイナのさー、絵本読もっかなーって思ったんだけど～…でもさぁ、前さぁダイナの秘密ローズ思わず全部言っちゃったでしょ？もう一回！はつまんないかなぁって思って……」

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✦ ローズはそういうと、次はぺかぺかとした表情で絵本を高らかに掲げる。

___ @____wake

「だからニア君の用意してきましたー！」

___ @____wake

「どうしてニア君が凌ちゃんを庇ったのか、どうしてニア君は女の子に固執しちゃうのか、ぜーんぶ分かってから投票して方がいいでしょ？」

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✦ そういうと、周りの反応なんてどうでもいいのかローズはペラリと頁を捲り始めた。

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✦【塞いだ兎】

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兎は目を塞ぎました。 それが何故かと言うと、兎が見ていた世界はあまりに悲しいものだったのです。 ですからその兎は目を隠しました。

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次に兎は耳を塞ぎました。 それが何故かと言うと、兎が聞いていた世界はあまりに聞くに絶えないものだったのです。 ですからその兎は音を隠しました。

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ふたつ、兎が聞いてしまった世界は人間の怒鳴り声でした。