英国史談義2

英国史に関するハナシ
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エリザ @elizabeth_munh

さて、今日も今日とて英国史。 前回のあらすじ。嫁を寝取った恨みは死ぬまで忘れない。数十年を屈辱のまま隠忍自重してきたフランス王の総反撃。 youtube.com/playlist?list=…

2021-02-04 21:04:20
エリザ @elizabeth_munh

前回も話したけど、フランス王ルイ7世はイングランド王ヘンリー2世の弱点を冷静に観察していて、いずれ自壊すると確信し、長年かけて陰謀を各所に広げていた。 新領地であるアキテーヌ等には反乱をけしかけ、フランス諸侯にはプランタジネット家への恐怖を煽る。

2021-02-04 21:06:53
エリザ @elizabeth_munh

そして当のヘンリー2世の息子には懐柔の手を。 ヘンリー2世の長男、アンリはルイ7世の娘と結婚していた。当時、ルイ7世の息子フィリップは幼少の上、病弱だったので、王家乗っ取りまでかなり迫ってたんだけど、ルイ7世はこれを逆手に取ってアンリを手懐けた。

2021-02-04 21:09:13
エリザ @elizabeth_munh

プランタジネット家はとにかく父子間の仲が悪い。壊滅的に悪い。 長男アンリはフランス王ルイ7世にべったりで実父とは険悪。 次男リシャールは母アリエノールべったりでアリエノールとヘンリー2世の仲が険悪化すると母についた。 三男は影が薄く、四男ジャンは幼いので割愛。

2021-02-04 21:12:07
エリザ @elizabeth_munh

フランス王のヘンリー2世追討命令に真っ先に応えたのがアリエノールで、唆されたリシャールら息子達も父に向かって剣を向ける。 更にフランス国内の有力貴族たちが次々に反ヘンリーの尻馬に乗り、ヘンリーの領地でも反乱が続発。更にイングランドの北部スコットランドでもフランス王の誘いにより、

2021-02-04 21:14:49
エリザ @elizabeth_munh

スコットランド王がイングランドに侵攻。とどめとばかりにカトリック教会がヘンリー2世に殺害されたカンタベリー大司教トマス・ベケットを聖人と認定し、道義的な悪までヘンリー2世は背負うことに まさに四面楚歌。絶体絶命 プランタジネット家は大きくなりすぎていて、各所からヘイトを買っていた

2021-02-04 21:18:45
エリザ @elizabeth_munh

さしものヘンリー2世もここまでかと思いきや、追い詰められてからこそ真価を発揮するのが英雄というもの。 まず、亡きトマス・ベケットの墓の前で平身低頭謝罪し、カトリック教会への恭順と十字軍への参加を誓うことでカトリック教会と和解。 反キリストが人間ではない時代。これが最重要だった。

2021-02-04 21:22:21
エリザ @elizabeth_munh

道義性を回復した後のヘンリー2世は各所を転戦。反乱者も、諸侯も、スコットランド王も、自分の息子も嫁も、フランス王も、全員、単なる武力で殴り倒して真正面から粉砕した。 プランタジネット家の男は戦争やらせたら滅茶苦茶強いのは全員共通するけど、彼もその例に漏れない。

2021-02-04 21:25:18
エリザ @elizabeth_munh

息子達は実力の差に慄き全員降伏。諸侯も尻尾を巻いて逃げ出し、持て余されていたアリエノールは幽閉。 アキテーヌ公、ブルターニュ公、ポワチエ伯はあくまでアリエノールなので、離婚するとそれら領地を失うからね。 渾身の陰謀を真正面から粉砕されたルイ7世は意気消沈。

2021-02-04 21:28:15
エリザ @elizabeth_munh

めっきり老け込んで、失意のまま生涯を終えた。 まるでヘンリー2世のための引き立て役のような人生で、唯一恵まれた男子であり、自らの後継者たるフィリップに、すまない、すまないと言いながら事切れる。 しかし、プランタジネット家とヘンリー2世への怨念と、賢明さをその子は受け継いだ。

2021-02-04 21:30:59
エリザ @elizabeth_munh

その名をフィリップ二世、尊厳王(オーギュスト)。 カペー家対プランタジネット家の戦いは、第二世代に延長戦と相成ったわ。

2021-02-04 21:33:20
エリザ @elizabeth_munh

次回予告 フランス王家に完全勝利を納めたヘンリー2世。ルイ7世は既に亡く、新たなフランス王は病弱な青二歳。しかし若き王は胸に復讐の牙を研いでいた。 次回、英国英雄伝説。 『フィリップ・オーギュスト』 英国の歴史がまた一ページ。

2021-02-04 21:35:44