神性と進化心理学の相剋

相容れないもの
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Tamejirou @Tamejirou

博士(農学)。AOE2を20年ぶりにプレイした初級者。アズレンや艦これその他ソシャゲの全年齢向け絵をRTします。リムブロご自由に。札幌出身。棘: togetter.com/li/1197729

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Tamejirou @Tamejirou

神性なるものの正体について考えている

2021-03-08 19:13:23
Tamejirou @Tamejirou

例えば一神教の神について「人間の弱い肉体をまとったイエスという存在を通して初めて、神は人の弱さを知り、裁きから赦しへの転換をなした」みたいな思想があるじゃないですか

2021-03-09 11:28:43
Tamejirou @Tamejirou

これ何重もの入れ子構造になってる思想なんですよね

2021-03-09 11:29:36
Tamejirou @Tamejirou

キリスト教の教理は「なぜ人は完全たる理想の神に近づきたいと願いながら、それが叶わないのか」という発想を源流にもつ。この発想そのものが、実は都市文明由来のイビツなものであるという話をします

2021-03-09 12:50:15
Tamejirou @Tamejirou

共通の理想をもとに意思決定を統一して、目的を達成するというのは、実は少数者のコミュニティでは実現可能。その理想に共鳴しないものは追放するか、殺してしまえば済むからだ。

2021-03-09 12:56:18
Tamejirou @Tamejirou

そうやって純粋化された、自給自足を前提としたコミュニティであれば「すべての人が対等で、互いに思いやる」という互恵社会を築くことができる。しかし都市ではそれが不可能になる。

2021-03-09 12:58:10
Tamejirou @Tamejirou

かつてヒトがもっと少なかった頃、例えば伝説的なノアの洪水後に人類がわずか8名まで減った頃には、自給自足をする他は神に仕えて過ごす、という理想的な暮らしが可能だった。しかしバベルの塔を築くほどに文明が再興されるとそれは不可能になってしまった。

2021-03-09 13:02:57
Tamejirou @Tamejirou

ノアの10世孫にあたるアブラム(アブラハムの前名)が、カルデアの王族でありながら「約束の地」を求めて荒野を目指したのにはそういう背景がある。都市では農耕に伴う分業や利害対立があり「理想の暮らし」ができないのだ

2021-03-09 13:07:04
Tamejirou @Tamejirou

利害対立が生じると「同じ神に仕える者同士」ですら諍いが起きるのは、後に甥のロトがアブラハムと袂を分かったことにも示されている。集団の利害を背負うと、リーダー同士が血縁者であっても争いを止めることができない。

2021-03-09 13:08:29
Tamejirou @Tamejirou

もちろんアブラハムは数百人の郎党を率いて正当な王を助けたり、略奪者を撃退したりもしている。しかしこれが凡そ紀元前20世紀頃の、「神に仕えながら正義を助け、悪を打ち倒す」という理想に対しての現実。

2021-03-09 13:12:36
Tamejirou @Tamejirou

ここから1000年ほど下ったダビデやソロモンの時代でも事情はさほど変わらなかった。民族の正義を押し出せば周辺との軋轢は避けられない。諸民族の融和を図れば「神に背く」事になってしまう。こういった状況は紀元前6世紀頃まで続き、中東におけるアブラハムの子孫の国は一旦滅びる。

2021-03-09 13:12:36
Tamejirou @Tamejirou

「なぜ人は神の望まれるような理想を実践できないのか?」真相を確かめるため、主は人の肉体をまとって地にくだられた。イエスおぎゃあである。

2021-03-09 13:13:45
Tamejirou @Tamejirou

主は人の肉体を纏うことで様々なことを"発見"された。例えば赤子の姿では親に連れられないと虐殺者からの逃亡すらままならぬこと。少年の姿では神殿の聖職者と対等に語ってもせいぜい「感心な若者だ」程度の扱いしか受けないこと。

2021-03-09 13:15:30
Tamejirou @Tamejirou

人間の肉体は飢えや渇き、眠気に弱く、40日程度断食したくらいで死にかけたり、3日3晩祈っていると弟子たちが全員寝入ってしまうことなどを主は「発見」した。斯様に人間の肉体というのは弱い。

2021-03-09 13:18:45
Tamejirou @Tamejirou

主は人間の肉体に在って笞刑や磔刑を甘受された。それはあたかも、我々がゲームキャラの肉体がダメージを受けていても残りHPのある限り明晰な判断が可能なのと似ている。しかし主は十字架を担いで歩む事ができなかった。肉体は弱いのである。

2021-03-11 13:14:22
Tamejirou @Tamejirou

人間の肉体は体力に制約を受けるので、主はキレネのシモンをその場に居合わせさせて十字架を担ぐこととされた。

2021-03-11 13:16:35
Tamejirou @Tamejirou

主はまた、最期の瞬間まで明晰を保つために没薬入りのぶどう酒を拒まれた。これは磔刑の受刑者に与えられる慈悲の一つで、鎮痛・幻惑作用があると言われる。主は息絶えるまで(より科学的に言えば仮死状態となるまで)明晰であろうとされた。

2021-03-11 13:16:48
Tamejirou @Tamejirou

で、ここからが原始キリスト教と現代科学の断絶するところ。 原始キリスト教ではこの「人間の肉体の弱さ」を「人が神の恩寵を実感し、それに縋ることが必要であることを知らせるためにそうなっている」と解釈する(そういう一派があるというだけで統一見解ではない)

2021-03-09 13:18:45
Tamejirou @Tamejirou

ところが現代科学では「ヒト属がその数百万年の歴史の中で環境に適応した結果としてこうなっている」と解釈する。ここに断絶がある。

2021-03-09 13:18:45
Tamejirou @Tamejirou

原始キリスト教に限らず、敬虔な人や理想主義者には「人は神に似せられて作られているのだから、日々の努力や精進によって理想的な姿へと到達できるはずだ」と考える人が多い。しかし現代科学はこれをほぼ否定してしまう。

2021-03-09 13:19:54
Tamejirou @Tamejirou

進化論や唯物論、量子論などによって次第に「人/ヒトの自由意志」なるものが否定されて行く過程が、"心ある人々"を傷つける結果になったのはある意味当然の事態でもあった。「善なる心」とは実は"社会に適応した猿の頭脳における情報伝達物質のランダムな閃きの結果"でしかなかったとは。

2021-03-09 13:22:13
Tamejirou @Tamejirou

今日もどこかで誰かが、「あなたのその意思決定は、石が転がり落ちて窪みに嵌まるかの如き自明であって、善も悪もないんですよ」と指摘しては袋叩きに遭っている。しかしそれはあたり前のことなのであった。 完

2021-03-09 13:24:01
Tamejirou @Tamejirou

まとめ ・神性は幻想 ・都市文明以前の適応状態に戻ろうとするあがきが「罪の意識」 ・都市にいる限り「本音と建前の乖離」は不可避 ・解は、人間性についての完全な理解か、完全に目を瞑って神の赦しに縋るかの2択 twitter.com/Tamejirou/stat…

2021-03-09 13:26:28

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