『2001年宇宙の旅』の小さな謎。コン・ペダースンとロバート・エイブル、歴史の影に消えた特撮マンたち。
- woody_honpo
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『2001年宇宙の旅』は本当に奇跡の映画で、なぜあの時代に突然、あんな映画が生まれたのか(撮ることが出来たのか)不思議としか言いようがない。同時代のSF映画に比べて、デザイン的にも技術的にも突出し過ぎている。公開から50年を経て、いよいよそう感じる。まるで映画におけるオーパーツのようだ。 pic.twitter.com/iEPxs6EFLf
2021-03-31 23:46:25キューブリック本人にも不思議はあって、なぜ『2001年宇宙の旅』を作る環境(金と権力)を手に入れたのか(それまで、それ程成功していた訳ではない)伝記などを読んでも、今ひとつ分からない。『2001年』から色々な意味で突然ジャンプアップした感じがする。完全主義者伝説もここから本格的に始まる。
2021-03-31 23:57:41『博士の異常な愛情』までのキューブリックは、それほど完全主義者っぽくないんですよ。これはピーター・セラーズのせいもあるのですが。キューブリックは「ピーター・セラーズは最初のテイクはいつも天才だが、同じ演技が2度できない」と評し、セラーズの演技を生かすことに気を使ったのです。
2021-04-01 00:09:05『2001年宇宙の旅』の特殊効果マンとしてシングルタイトルを与えられているのは、ウォーリー・ビーバーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダースン、トム・ハワードの4人だが、ダグラス・トランブルだけが突出して有名で、他の3人の役割はそれほど知られていない(私が知らないだけかもしれないが)。
2021-04-01 00:18:38『2001年』の特撮は全てダグラス・トランブルがやったかのような印象すらありますが、トランブルの受け持ちは基本的にスターゲートとジュピター・マシン(つまり宇宙の表現)で、ミニチュアワークやフロアエフェクトには関わっていない筈ですね。それは他の3人の功績の筈ですが余り語られていません。
2021-04-01 00:24:59ダグラス・トランブルはスターゲートのスリットスキャンが有名ですが、キューブリックに「書き割りではない立体的な木星を作れ」と命じられ、当時はCGなどないので、ジュピターマシンと言う超面倒くさいシステムを考案しました。自分が監督した『サイレントランニング」ではそれで土星を描いています。 twitter.com/woody_honpo/st…
2021-04-01 13:13:11ウォーリー・ビーバーズは空撮とフライング・エフェクトの名人(『スーパーマン』にも参加してます)、だから『2001年』でもその担当でしょう。すると、それ以外はコン・ペダースン、トム・ハワードの担当になるのでしょう。トム・ハワードは『怪獣ゴルゴ』の人だからミニチュアワークが上手そうです。
2021-04-01 00:34:54つまり、宇宙遊泳したりする宇宙飛行士の特撮はウォーリー・ビーバーズでしょう。あと、後半のスターゲートに出てくる空撮も。 twitter.com/woody_honpo/st…
2021-04-01 13:06:19コン・ペダースンがよく分からないのですが、実はロバート・エイブルはコン・ペダースンの弟子筋の人で「『2001年』の特撮のメインはペダースンなのに、功績が評価されていない」と訴えていました。ロバート・エイブルの証言だけなので注意が必要ですが、ペダースンがメインの一人なのは事実ですよね。
2021-04-01 00:43:35ロバート・エイブルはCMの華麗な特撮で名を上げ『スタートレック』の失敗でミソを付けた人です。『スタートレック』では、莫大な予算を使いながら全く撮影していなかったと揶揄されますが、実は『スターウォーズ』のジョン・ダイクストラのように新たな特撮システムの開発を目論み、失敗したのです。
2021-04-01 00:50:35ミニチュアや背景のデータをコンピュータに読み込ませ、撮影しないでPCの中で合成するという、CGの先取りみたいなアイデアでした。『スタートレック』の特撮を引き継いたダグラス・トランブルは「アイデアは悪くないが無理があった」と語っていました。成功していれば時代の寵児だったのでしょうが。
2021-04-01 01:07:29昔に読んだ記事なので詳細は覚えていないのですが、CGと違うのはベースがアナログデータなんですよね。実際に作ったミニチュアやセットを360度撮影して記憶させて、後はコンピュータの中で動かして合成する…みたいな。 twitter.com/woody_honpo/st…
2021-04-01 10:03:19ジョン・ダイクストラは『スターウォーズ』の予算を使ってダイクストラ・フレックス(コンピュータ制御のカメラ)を開発してSFXの歴史を変えた訳ですが、ロバート・エイブルも『スタートレック』でそれをやろうとしたんですよね。 しかし、失敗してキャリアを潰してしまった。 成功と失敗は紙一重。 twitter.com/woody_honpo/st…
2021-04-01 09:57:17当時、ロバート・エイブルは『スタートレック』(映画版第1作)で大予算を消費しながら何も撮影せずにクビになった無能、詐欺師みたいな扱い(そう書かれていた)でしたが、『スタートレック』の特撮を引き継いだダグラス・トランブルは事情を知っていたから、そんな風には言わなかったのです。
2021-04-01 10:07:20私はまだCGのない時代にCGのような華麗映像を作ったロバート・エイブルのCM映像に魅了されていたので、『スタートレック』での失脚の真相が気になっていたのですが、ダグラス・トランブルのインタビューを読んて「そういうことだったのか」と納得したのです。 youtu.be/OjmLPe7YkjQ
2021-04-01 11:21:06後に、ロバート・エイブルのインタビュー読んだら、その時の彼は、自分のことより「『2001年宇宙の旅』でのコン・ペダースンの業績が評価されていない(横取りされている)」ことを力説していました。これは暗に「『2001年』の功績はダグラス・トランブルだけのものじゃない」と言っている訳ですよね。
2021-04-01 11:26:00私は、そこにロバート・エイブルのダグラス・トランブルへのこだわり、両者の因縁を感じて「割り引いて読んだ方が良いのかな?」と思いましたが、事実の部分もある筈です。 実際、ディスカバリー号のミニチュアを作って撮影したのは、トランブルじゃないですしね。
2021-04-01 11:30:52ロバート・エイブルは『スタートレック』の特撮を引き継いだダグラス・トランブルに嫉妬があって、コン・ペダースンを過剰に持ち上げたのかもしれない…とも思うのですが、『2001年宇宙の旅』の特撮マンのメインの一人であるコン・ペダースンの仕事は、きちんと検証され、評価されるべきだと考えます。
2021-04-01 01:20:32コン・ペダースンがよく分からないのは『2001年宇宙の旅』以降に目立ったキャリアがないんですよね。あれだけの仕事をした技術屋としては不思議で、何かあったのかもしれない。 ダグラス・トランブルが有名なのは、『2001年』以後に『未知との遭遇』や『ブレードランナー』をやってるからですよね。
2021-04-01 01:42:48コン・ペダースンはロバート・エイブルと会社を作って、そこが『スタートレック』のSFXを受けたので、『スタートレック』での失敗の損失を被って、若いロバート・エイブルは生き残れたけれど、ペダースンは引退に追い込まれたのかもしれませんね。 twitter.com/woody_honpo/st…
2021-04-01 11:36:47『2001年宇宙の旅』は、それまで「その他大勢」扱いだった特撮マンに、監督や脚本家のような一人一枚のクレジットタイトルが与えられた記念碑的作品なのだが、にもかかわらずダグラス・トランブル以外の人達が無視されているのは、フェアではないと思う。
2021-04-01 06:07:03歴史は勝者の言葉で紡がれていくから、敗者の事情、敗者の言葉は意識して残しておかないと、砂に描いた絵のように消えてしまうんですよ。
2021-04-01 09:31:39追記
このまとめを作った後に、『スタートレック』の特撮スタッフについて触れた、詳しい記事を見つけました。
以前、『2001年宇宙の旅』と『スタートレック』の特撮スタッフの謎について呟きましたが、それについて詳しく触れている記事を見つけました。 今まで、知りませんでした。 私の疑問のかなりの部分(全てではない)に答えてくれ、私の記憶違いも正してくれる、素晴らしい記事。 cinemore.jp/jp/erudition/1…
2021-09-11 19:26:36ロバート・エイブルが『スタートレック』で開発しようとしたシステムについて、記事によると完成していたとあります(ロバート・エイブルもそう言っていたと記憶)が、ダグラス・トランブルのインタビューでは、失敗したように語っていました。 部分的に完成していた…ということかも知れませんが。
2021-09-11 19:33:35