【ストレイト・アウタ・ネオサイタマ】

エイプリルフール企画ラップ時空
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」反射的にMC千葉はMCトラッフルホッグにチョップを食らわせ、ステージから蹴り落とした。そして再びマスラダと向かい合った。眉間に皺寄せ、MC千葉は策を練る。然り、勝つ為の策をだ!ズク、ズク、ズク、ズク!ビートが始まり、マスラダがラップを始めた!

2021-04-01 18:23:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おれはマスラダ、レペゼン少年院のパシリだ!」「ぬグッ!」MC千葉は思わず怯んだ。マスラダは畳み掛ける。「やられてもやり返せない年齢一桁、しがみついたのは近所の子の背中、逃避したオリガミの中。しまいにゃしたてられた強盗犯、塀の中じゃ過酷な暴力の集団」

2021-04-01 18:26:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダは先手を打って己を開示した。MC千葉に耳打ちするMCトラッフルホッグの目つきと仕草で相手の材料はだいたいわかっていた。そもそも、恥じるべき過去など、何ひとつなかった。彼はラップしながらセイシンテキの境地にあった。理不尽な運命の中でハリネズミめいて歪み、そしてラップに救われた。

2021-04-01 18:30:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

赤黒のレコード。裏に書かれた真偽不明のサイン、MC Wasshoi。変わっていく同室の連中。変わっていく所内の連中……!彼はただ、それを吐き出せばよかった。赤黒のレコードのイメージが背中に渦巻き、アブストラクトな存在が語りかけた。(((マスラダ……ラップすべし!そこに答えはある!)))

2021-04-01 18:33:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「全てがおれだ、それでいいんだ。信じろ、打ち込め、ただ突き進め、やれ、やっていけ。おれは言う、ただそれだけ。ただそれだけだ!」「グワーッ!」MC千葉は胸を押さえて後ずさった。鼻から溢れた血が床に落ちる。彼は己を強いて踏みとどまり、マスラダを睨みつけた。「YO……YO……!」

2021-04-01 18:36:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダは頷き、ステップを踏み、手招きの仕草をした。MC千葉はマイクを握りしめた。「俺はMC千葉a.k.aクロスカタナ!誰の名付けでもない俺のコトダマ!クソみたいな期待に負けてられっか、しゃにむに欲した恐怖と力!TAKIを潰して見せつける強さだ!だが……」……だが?MC千葉は自らを訝しんだ。

2021-04-01 18:39:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺は作った、シマナガシ、俺だけの世界と、俺の店<筋>。ついてきた仲間、囲む同じ飯……それが……いつしか……」マスラダは無言でMC千葉を見据える。MC千葉のフロウはもはやフロウではなかった。それは独白だった。「俺の目的は親父の組織を継ぐ事……親父の目にかなう事……それが第一に」

2021-04-01 18:42:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「千葉くん」MCガーランドが呟いた。MC千葉は磔のTAKIくんを見上げた。「TAKIは最後まで仲間を庇ってた。クソダサいオタクだと俺は嘲笑った。ブチのめして……だけどTAKIは、他のやつの心配ばかりしてやがった……それで俺は……俺は、止まるわけにはいかなかった……俺は」「何故だ」マスラダが問う。

2021-04-01 18:45:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前にはシマナガシがあり、シックスゲイツがある。仲間がいてプロップスがある。なんでそいつらを破滅に引っ張ろうとする」「俺は……俺は……!」MC千葉は言葉を失う。マスラダは黙って待った。やがてTAKIの磔台を示した。「もう、いいか?」MC千葉は止めなかった。30人超のクルーも止めなかった。

2021-04-01 18:47:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」マスラダはカラテ・パンチで磔台の根本を破壊した。倒れてきた十字架からTAKIくんを解放し、そこにあった寿司を咀嚼させた。「しっかりしろTAKIくん。おれだ。帰ったぞ」「オレ……オレは……夢を見ているのか。それとも、ここがヴァルハラ」「おれはマスラダ」TAKIくんは涙をこぼした。

2021-04-01 18:50:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「千葉くん」MCガーランドがMC千葉のもとに歩み寄った。「俺らの負けだ」「……」「奴の勝ちだ。こッからまた、始めようぜ」「……クッ……」MC千葉は歯を食いしばり、かすかに頷いた。MCガーランドはMR.モモジに目配せした。モモジはマスラダの手を取り、上に挙げさせた。「皆!勝者はコイツだ!」

2021-04-01 18:53:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワオオーッ!」「ワオオーッ!」固唾を呑んで見守っていたオーディエンスが湧いた!「認めんぞ!坊っちゃん、アンタねえ、わかってんだろうなあ!」荒木が泡を吹いて舞台袖から走って来た。「キッチリと恐怖見せつけて、組長の目にかなうんだよォ!」「やめだ!」MC千葉は叫んだ。「くだらん!」

2021-04-01 18:57:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「な……!?」荒木はあっけにとられ、長い前髪をいじって我に返り、そして掴みかかろうとした。「アンタは組長の息子のワンオブゼムだってのに、調子乗るんじゃねえんだよォ!俺はアンタのお目付け役で、アンタがゴミになっちまったら俺の人生真っ暗なんだよォ!TAKIを殺さねェと!」チャカを構える!

2021-04-01 18:59:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」その瞬間、マスラダの手が動いていた。彼の背中に渦巻く赤黒のソウルがそうさせたのだ。手の速度が赤黒い風を生み出し、それは星型の飛翔物となって、荒木の手に突き刺さったのだ!「グワーッ!」取り落とすチャカ!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」クルーが荒木をチャメす!

2021-04-01 19:00:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こんな……嘘だ……俺の出世……暗黒闇支配なのにーッ!」ボコボコにされた荒木はステージから投げ落とされ、興奮した観衆の上を、さらにボコボコにされながらクラウドサーフじみて押し流されていった。「ワオオーッ!」「ワオーッ!」湧きかえる観衆!「ゴーウランガー!」ジャンプするザカリー達!

2021-04-01 19:03:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「マスラダ……それは一体」TAKIくんが弱々しく彼に尋ねた。マスラダは少し考え、そして首を振った。「知らないし、ラップに関係ない」「フ……そうだな。お前……」TAKIは微笑んだ。「強くなったな」ペウー!ペウペウー!DJがファンファーレを鳴らし、観客が応えた。

2021-04-01 19:05:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

Mr.モモジが呼びかけた。「つうわけでな、色々あったけどな、若い時は苦労を色々したほうがいいッちうワケよ。ほれ、お前ら、ほれ。ラップのバトルが終わったらノーサイドよ」彼はMC千葉とマスラダの手を取り、とりあえず握手させた。様々な困難が彼らを待つだろう。老元寛は甘くない。だが……今は。

2021-04-01 19:07:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ペウー!ペウペウー!「マスラダ、まずはウイニングラップせえ!それから、この場の全員でサイファー・タイムだでな!」ペウー!ペウペウー!「「ワオオオーッ!」」歓声止まぬなか、マスラダはマイクを持ち、咳払いした。そして……始めた。「YO、おれはマスラダ」

2021-04-01 19:09:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ストレイト・アウタ・ネオサイタマ】 サイファーの光景にスタッフロールが重なりつつ、ここに終わる。

2021-04-01 19:10:54
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