佐藤正美Tweet_20110716_31

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佐藤正美 @satou_masami

エンジニアの務める仕事は事業の概念化ではない、事業を正確に形式化する事だ。事業がモデルに写像されている事実性と 事業を概念図に表現するという創造性とが混同状態にある。現実的事態の形式化では独創性の這入り込む余地はない。私は独創性を軽蔑しない。先ず「事実を観よ」と言いたいのだ。

2011-07-16 18:05:11
佐藤正美 @satou_masami

概念設計は粗末だが論理設計は見事だというシステム設計など 元来 考えられない。しかし、概念図を前提にすれば、今日のように事業が複雑になると、SE たちは、ますます、事業の全体像を簡単に描こう、単純な概念で事業を描こう、というパラドックスに陥る。いつまで概念図に恋々としているのか。

2011-07-16 18:05:55
佐藤正美 @satou_masami

「抽象データ型モデル」は輸入されたが、このモデルの前提たる実証主義思想を育てるには、わが国では、古い土壌が多すぎたのである。新しい技術を植え込む土壌がなくても、われわれは新しい思想に酔うことはできる。そこで、構造的プログラミングと「抽象データ型モデル」の奇怪な混和物が産まれた。

2011-07-16 18:07:13
佐藤正美 @satou_masami

「抽象データ型モデル」では、事業分析においてロジックを納(い)れる納れないという筋合いの論ではなく、事業という活物を眼前にして、コンピュータのなかに いかにして「1対1」に写像するかという悩みに対する対応だったのである。写像上、ロジックを使った翻訳可能性を実現する技術である。

2011-07-17 14:37:51
佐藤正美 @satou_masami

事業の意味をエンジニアは じぶんの翻訳を納れないで そのまま表現したい、少なくとも実際の現実の意味を そのまま写したい。そのためには、事業の様々な事態は、単に形式を変えた──単に形式化した──形に配置されなければならない(それらに適確な「座標」を与えなくてはならない)。

2011-07-17 14:38:58
佐藤正美 @satou_masami

SE ごとに異なった「解釈」の鏡を持って事業を写してはモデルにならない。モデルとは SE めいめいの鏡に写るように事業を解釈しないという事である。では 事業を一つに写す鏡は どうなのか、その鏡は合意された単一の切口を与える仕掛けでなければならない。それがロジックに依る形式である。

2011-07-17 14:41:27
佐藤正美 @satou_masami

企業の長い文化の中で使われてきた言葉には、それぞれの企業の工夫してきた「意味」が込められていて、この「意味」が企業の事業様式や取引の見かたを表している。その「意味」が「情報」として伝えられる。そういう題材そのものの持っている「意味」の構造をモデルとして示せばいいのである。

2011-07-18 12:14:51
佐藤正美 @satou_masami

事業過程を対象にしたモデルを作るためには、現実的事態の抽象化とかいう概念よりもユーザ言語の形式化という概念のほうが、事業の「意味」を把握しやすい。そういう題材そのものが持っている「意味」の上に、われわれエンジニアは一体いかなる「意味」を抽象化に依って付加し得るのか。

2011-07-18 12:15:30
佐藤正美 @satou_masami

ただ一つの単語でもいい。その単語がユーザの間で合意された「意味」を持つためには、単語が事業(の文脈)の中で公共化し歴史化されなければならない。新しく導入された言葉は、長い間、事業の中で活き続けて「意味」を定立する。ひとつの単語は事業的書き割りのうちに確固として位置している。

2011-07-18 12:16:27
佐藤正美 @satou_masami

ユーザの使う言語が事業の「意味」を伝えているのであれば、われわれエンジニアがこれに外(そと)から「意味」を持ち込んで、ユーザが共有している「意味」の系を乱すことになる。ひとつの新しい生態系を作ることなどは、われわれエンジニアのちからを超えていることを私は言いたいのだ。

2011-07-18 12:17:13
佐藤正美 @satou_masami

業務を直接に観察することも多数の分析パターンも信じられない、ただ(ユーザ言語を対象にして)ロジックを使うという抽象的世界だけが仕事の中心となるような分析、そういう殆ど概念設計とは云えないようなやりかたを信じて、事業を分析することは概念設計を好む SE に納得できるはずはない。

2011-07-19 16:07:37
佐藤正美 @satou_masami

SE たちは、事業分析の難しさを感じたが、観察と聴取とを信じ、言語分析には慣れていなかった現状調査の伝統がウォータフォール的管理に填め込まれてきたので、言語・意味・図式(ロジックに依るグラフ)の ちから によっても事業の分析は可能だということさえ明らかに覚らなかったのである。

2011-07-19 16:08:10
佐藤正美 @satou_masami

それほど観察・聴取に対する素朴な信仰は強かった。設計以前に、「事業の意味」を分析することが SE には難しかった。「事業の意味」を(言語に対してロジックを使って)分析する無飾な帰納的手法は、トップダウン的(演繹的?)な概念図を信じている SE たちには認めがたいやりかたであった。

2011-07-19 16:08:42
佐藤正美 @satou_masami

私はコッド関係モデルに興味を失ったのではない。コッド正規形の constraints を「意味」として私は認めがたいのだ。「言語」「意味」は私の好んだテーマであったが、事業分析に足るだけ「意味」を TM の形式化のうちに表し得たか、いまだに確信できない。

2011-07-20 15:16:00
佐藤正美 @satou_masami

ロジックは概念設計で はやらないが、私は「概念の定立」「文の構成」ではロジックを重視している。事業が巨大化・複雑化するにつれて、それを表す「概念」がますます複合してきて、高級な「概念」は豊富に語られるが、素朴な証明に堪えられないのが今日の概念設計のパラドックスである。

2011-07-20 15:16:28
佐藤正美 @satou_masami

われわれには新しい技術がある、と。確かに、新しい技術だらけである。しかし、新しい概念(所説)は ありゃしない。新しい技術で進歩したような気がしているだけだ。そういう進歩に雷同するほど私は呑気じゃないけれど、新説を立てることのできない私は しかたないから苦々しく黙っている。

2011-07-20 15:16:51
佐藤正美 @satou_masami

ウィトゲンシュタイン氏とゲーデル氏とのあいだで苦しんだ私はカルナップ氏を参看し、ウィトゲンシュタイン氏のとタルスキー氏とのあいで悩んだ私はデイヴィッドソン氏を照考した。拙著「赤本」の理論篇を「良いとこ取りしたにすぎない」と非難した人がいたが、そう単純な文献引用(接木)じゃない。

2011-07-20 15:17:25
佐藤正美 @satou_masami

先ずロジックを使って、これだけを信用する。それぞれのユーザがどんな思いを抱いていようが、一切 信用しない事にする。ただ「伝達されている意味」だけを記述する。すなわち、「事業の『意味』」のグラフが得られる。ユーザが このグラフを黙殺して事業を営む事は先ずないということは事実である。

2011-07-23 15:52:52
佐藤正美 @satou_masami

事業は何とか工夫すれば収益を獲得できるようには元来できていない──社内の手続きは工夫すれば統制可能だが、マーケットは統制不能だからである。環境変化に対応して事業を変える。つまり、変えなければならない手続きだけを変えるのである。環境変化をはたして SE は感知して実感しているか。

2011-07-23 16:04:15
佐藤正美 @satou_masami

「あなたの描いた ERD の完全性を証明して下さい」と私が言ったら、彼は「事業はそもそも不完全です」と応えた。私は形式的構造を論点にしているだ、事業を云々しているのではない。事業が不完全なのが確かなら、その確かな点から始めて下さい。事業を知り尽くした顔を作るのは止めて下さい。

2011-07-23 16:05:30
佐藤正美 @satou_masami

SE が口にする「事業は不完全である」という言葉さえ、SE の職責を隠すように働いていると考えたことはないか。事業が不完全なように SE の思考も不完全なのか。「経験不足」の克服と称して、様々な分析パターンを手筈しているにすぎないのか。まるでパターンが法則だとでも言いたげに。

2011-07-24 01:14:36
佐藤正美 @satou_masami

モデルを確乎たる状態にするのは、SE の体験の多様性ではない。モデルの構造のなかに一貫して守られているロジックの主調低音である。したがって、口八丁の詐術はない。モデルの構造はロジックの表象なのだ。この点を唯一の前提として、エンジニアは事業の分析に参与するのである。

2011-07-24 01:15:42
佐藤正美 @satou_masami

エンジニアは──勿論、コンサルタントも──、じぶんの成功事例を葬らなければならない。つねに、事実を観るだけである。したがって、頼るべきツールは、ロジックのみである。そこで、エンジニアは、空手(くうしゅ)で、ユーザの言語を、その「意味の構造」をロジックのなかに叩き込む。

2011-07-24 01:16:11
佐藤正美 @satou_masami

エンジニアの職責は、傍流で終わる宿命を持っている。傍流という言葉が嫌なら、catalyst と云っていい。テクノロジーが front-end に出て来ても、エンジニアは、事業を営むという観点では、常に catalyst である。だが、私は それを「ご用聞き」とは毛頭思っていない。

2011-07-24 01:17:03
佐藤正美 @satou_masami

かつて「(設計の)属人性」という事が色々と論じられた。しかし「『SE 教育』の充実」という常識話に過ぎなかった。あるいは、論点になったのは、「属人性」じゃなかったのかも。「論になっていない論」だったかもしれない。論にならないのでは始末がないので、結論が先取りされたにすぎなかった。

2011-07-25 15:35:12