スカブラ

「仕事をしない」という仕事をする人がいた
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カルヴァドス @cornelius0321

①「働きアリ」についてのツイートをちらほら見かける。おそらく稲垣栄洋氏の『働きアリの2割はサボっている』(家の光協会)に刺激を受けてのつぶやきだろう。http://t.co/bR3fvVA新聞広告にもこの本の広告が出ているので話題になっているんだろう。

2011-08-02 02:06:19
カルヴァドス @cornelius0321

②人間にもこんなアリのような人がいる。「スカブラ」だ。

2011-08-02 02:06:11
カルヴァドス @cornelius0321

③平泉の中尊寺金色堂が「世界文化遺産」に認定され、小笠原諸島が「世界自然遺産」に認定されたというのが、最近、日本を明るくするニュースとして大きく報じられたが、同じユネスコの遺産事業の一つに「世界記憶遺産」というのがある。

2011-08-02 02:06:03
カルヴァドス @cornelius0321

④この「世界記憶遺産」にも、最近、日本の絵が認定された。九州の炭鉱労働者の生活を描いた山本作兵衛氏の絵だ。http://t.co/CZO7eLQ

2011-08-02 02:05:53
カルヴァドス @cornelius0321

⑤炭鉱労働というと、命の危険と隣り合わせの苛酷な重労働だ。石炭鉱山ではないけれど、去年のチリ落盤事故で私たちは、鉱山労働がいかに大変なものであるかを知っている。

2011-08-02 02:05:46
カルヴァドス @cornelius0321

⑥山本氏の絵は、こうした苛酷な炭鉱労働の現実を、ときにユーモアを交えた視点で鮮やかに描き出している。ベラスケスやルーベンスが描くような写実的な絵ではないが、庶民の暮らしぶりが伝わる絵である。

2011-08-02 02:05:36
カルヴァドス @cornelius0321

⑦「スカブラ」も、そんな炭鉱労働者の一人である。他の炭鉱労働者が汗まみれになって必死に働いているというのに、この「スカブラ」は何をするかというと、「何もしない」。正確にいえば、重労働は何もせず、代わりに、歌を歌ったり、下ネタや与太話をして仲間を笑わせることしかしない。

2011-08-02 02:05:26
カルヴァドス @cornelius0321

⑧他の者たちが重労働している中で、一人だけ、こうした「スカブラ」を入れておけば、労働者たちの作業能率がアップし、士気を高めるのに役立つことを、炭鉱労働者たちは、長年の経験から知っていたのである。

2011-08-02 02:05:16
カルヴァドス @cornelius0321

⑨この「スカブラ」で私が連想するのが、黒澤明最後の時代劇作品となった『乱』に出てくる道化師の狂阿弥(ピーター)だ。戦に勝つことだけがすべての戦乱の世の中に、狂阿弥のような道化師は本来無用の長物だ。にもかかわらず、武将の手元に道化が侍っていたなら、何か意味があるはずだ。

2011-08-02 02:05:05
カルヴァドス @cornelius0321

⑩道化は武士階級が作る権力秩序の「外」にいるものである。もっとはっきり言えば、「芸能」自体が「秩序外」の存在なのだ。そしてこの「秩序外」の者が、自由な立場から「秩序内」の者に対して発言することで、人間の社会というものがある意味健全な状態を保てたといえる。

2011-08-02 02:04:55
カルヴァドス @cornelius0321

⑪つまり、「秩序内」+「秩序外」=「健全」だ。

2011-08-02 02:04:46
カルヴァドス @cornelius0321

⑫ところが、炭鉱労働では、エネルギー資源の座が石油に奪われて経営が悪化すると、「スカブラ」は重労働をしていないからということで会社からお払い箱になった。その結果どうなったかというと、労働者の作業能率や士気が低下したそうである。

2011-08-02 02:04:37
カルヴァドス @cornelius0321

⑬業績重視しか頭にない経営者が、結局組織自体をダメにしたという笑えない話である。「遊び」や「余裕」の部分も含めた制度設計が組織の生命維持に役に立つということかもしれない。<この話題終わり>

2011-08-02 02:04:28