- sakatayuusuke
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@yurar_a 何の装飾もされないそのリプが恐怖心を仰ぐ。「…振り返っちゃダメ、振り返っちゃダメ」太鼓の音に混じり、足音が聞こえた。「…っ!」振り返ってしまった。あれほど思っていたのに。目の前には片足の無いおじさんがこちらへと向かって歩いている。足が震える。そのことを呟く。
2011-08-04 02:31:45@yurar_a 『だから言っただろ、走れ、逃げろ!』逃げたい気持ちは山々だ。『足がすくんで動かないです』『無理やりにでも動かせ』言われたとおり必死に足を動かす。気がつけば太鼓の音は耳のすぐ横で鳴っている。「…走らなきゃ」切実にそう思った。今出せる力で前へと向かって走る。
2011-08-04 02:33:58@yurar_a 途中砂利に躓いて転んでも、恐怖心で足がすくんで動かなくなっても。「っはぁ…はぁ…」気がつけば目の前にはトンネル。もう太鼓の音は聞こえない。『トンネルがある。どうすれば』この場所を通る以外に道は無い。『走り抜けろ。携帯でもなんでもいい。なるべく光を頼りに』
2011-08-04 02:37:34@yurar_a 言われたとおりにトンネルを通る。「電池…」なるべく自重はしていたつもりだが、もう残り一つだ。ライトを使えば減ることくらい分かってるが…「あ、出口…!」残り少し、あと少し。足を全力で動かす。「出た…!」駅が見える。『トンネル抜けた』『何が見える?』『…奥に駅が』
2011-08-04 02:41:13@yurar_a ゆっくりと駅に近づく。『誰も居ない』「どうしたんですか?」「えっ?!」背後からの声。振り返りたくない。けれど首が動く。今度は優しそうな中年の男が立っていた。「こんな遅い時間にどうしたんだい?」気がつけば陽はもうすこしで全部隠れるところだった。「家に帰れなくて」
2011-08-04 02:48:41@yurar_a 『優しそうなおっさんがいる。遅いから家まで送ってくれるって』『のるな!!!』『絶対にのっちゃだめだよ!』リプが届いたときには遅かった。今思えば何の気の迷いか。私は車の中にいる。『一言も話してくれない』『ツイッターしてるからじゃない?』『何で乗ったんだよ…』
2011-08-04 02:51:00@yurar_a きっと、本当に、気の迷いだったんだ。「降ろして下さい」「…」『本当に私無理かも。馬鹿だわ…』『諦めないで!』諦めないでっつったってね…目の前に見えるのは山。「あー…そうだね…」『今山に向かってるっぽい。諦める』
2011-08-04 02:58:36@yurar_a 行方不明で終わるのかな、フォロワーさんだけが多分知ってることになるのかなー。「あー…」隣からはブツブツと訳のわからない言葉が聞こえてくる。「悪霊たいさーん」ヤケクソに叫ぶ。「悪霊退散!悪霊退散っ!」ああ、眠いや…急激に襲ってきた眠気。
2011-08-04 03:00:41@yurar_a 「もういいや寝よう。」『寝ます、おやすみなさいー』携帯の電源を落とし、目を閉じる。すーっと吸い込まれて…次に目を開けると電車の中だった。「なんだ夢…」「次はーきさらぎ、きさらぎ…」さて、次はどうなるんだろうか。 END
2011-08-04 03:02:24