ダルイゼン総評――怠惰と空虚によって逆説的に同情論を誘う“生”（ヒーリングっど♥プリキュア 42話）#precure #ヒープリ

猫 @nekolovercat

そろそろダルイゼン総評をしておきましょうか 「救うべきか始末すべきか」は多くの人が触れているので、ここでは扱いません ヒーリングっど♥プリキュアという作品内構造での彼の存在性質についてですね 42，44話リアタイ時に触れたことの繰り返しも含まれるが―― #precure #ヒープリ

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ダルイゼンの“生”は名前の通り「怠惰」そのものだった 自身で生き様を見出し、あるいは運命を切り拓く気概無く、周囲に流されて無気力に生きるまま惨めな末路に行き着いた キングビョーゲンへの忠義に生きたシンドイーネ、反対に謀叛を試みたグアイワル、野望を追求したバテテモーダらと対照的

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ダルイゼンのこうした“生”への無気力な向き合い方は、44話での（生存競争的価値観を押し付ける）ネオキングビョーゲンへの花寺のどかの応答と驚くほど照応関係を持つ “より良き生の希求”としての「生きることは戦い」を訴えた花寺のどかと、そういった前向きな希求を一切なさなかったダルイゼン――

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「救うべきか始末すべきか」には触れないと初めに書いたが―― 「ダルイゼンは生きたかったのに可哀想」の同情論が、歴代の他敵幹部では見られない勢いで巻き起こったのもまた事実です これは非常に興味深い 無論（キャラデザの山岡直子さんも自覚した）ルッキズムによるところが大きいにしても極端です

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「生きたい」 これは種を増やす上での一部生物学的特性や、何らかの理由で希死念慮を持たない限り、自明のはずです あなただって生きたい、私も生きたい 主君に吸収されることを望んだシンドイーネはともかく、グアイワルもバテテモーダも生きたかったはず なぜダルイゼンだけ特に取り沙汰されるのか

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ある武術家の 「技が出来ない人に限って精神精神と言うようになる。相撲、ボクシング、レスリングだって精神がないわけではない。技の中に精神がこもっているからことさら精神精神と言う必要が無いのだ」 の言が、ダルイゼンとビョーゲンズ他幹部の“生”事情を上手く表しているように思われます

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忠義心篤いシンドイーネ、野望を持ったグアイワルとバテテモーダに対し、ダルイゼンはひたすら“虚無”だった 何らかの矜持も気概も信念も持ち合わせることが無かった ビョーゲンズ他幹部が自らの目的で“生”を表現し得ていたのに対し、ダルイゼンはそうした発露を持ち合わせなかった

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ダルイゼンが唯一“生”を表現し得たのは、41~42話での花寺のどかに対する匿い要求（語弊を恐れず言うなら「命乞い」）だけです ここに、先に引いた武術家の言で唾棄されている精神至上主義との共通項を見出す あまりに空虚ゆえに剥き出しになった“生”に感傷的になってしまった視聴者が多いのでないか

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また、ビョーゲンズ幹部全員が不本意な最期を遂げたことに関しては、最終45話のビョーゲンズ――人類の諷喩関係提示での、（プリキュアや我々人類への）警句存在として理解されねばならないでしょう かっこよく満足に散らせてしまっては、そうした警句的意義が薄れてしまうわけ 無論ダルイゼンに関しても

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