すいこばなし【北方謙三水滸伝・楊令伝小噺集】2021/5/1-5/31

【すいこばなし 注意書き】 ・北方謙三先生の水滸伝,楊令伝の何でもありな二次創作です。 ・水滸伝の原典ネタは日常茶飯事、スマホにPCなど電子機器も飛び交うし、あの人が梁山泊で元気に生きていたりする、異世界からお届けします。 ・原作未読の方でも楽しめるように、ネタバレを極力避けていますが、薄々感づいてしまう個所が垣間見えますので、その点はご注意ください。 ・原作に興味を持たれるきっかけになったらこれ以上の喜びはありません。 続きを読む
0
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李逵「兄貴」 武松「…」 李「俺のいつも使ってる鍋を知らねえか?」 武「…知らん」 李「あれがねえと飯が作れねえよ…」 武「…」 李「…なんだあの鉄屑は」 武「!」 李「俺の鍋!」 武「…」 李「一体何があったらこんなにひしゃげちまうんだよ…」 武「…すまん」 李「そりゃこの拳のせいだよな」

2021-05-01 18:22:23
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李「話によっては大兄貴に言いつけないで済むぜ」 武「…たまには俺も鍋くらい洗おうと思ってな」 李「いくら下手くそに洗ってたとしても、鍋を潰しちまうのは一体どういう事だよ?」 武「…潰す前に握りつぶしてしまってな」 李「…?」 武「強く握りすぎた」 李「指の跡までついてやがるのかよ…」

2021-05-01 18:22:24
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

武「それをなんとかして元通りにしようと思ったら…」 李「元通りどころか、ひしゃげちまったか」 武「…その通りだ」 李「湯隆に作ってもらった最高の鍋だったんだがよ」 武「…」 李「あの鍋じゃないと飯は作れねえ」 武「なに!」 李「どうしたもんか」 武「…俺の拳でよければ」 李「よくねえ!」

2021-05-01 18:22:24
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

武松…拳を干し肉にすれば梁山泊まで持つのではないか? 李逵…そんなこと言ってたら、いつか不味い不味い言いながら食うことになるぜ、兄貴?

2021-05-01 18:22:27
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

関勝「こどもの日が近いな、郝瑾」 郝瑾「私は子どもではありません!」 関「いくつになった?」 郝「十三です」 関「子どもではないか」 郝「どこかの将軍よりは子どもではありません!」 関「どこの将軍のことだ?」 郝「それは…」 関「呼延灼か?」 郝「?」 関「高俅は子どもではないな。屑だ」

2021-05-02 09:57:21
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

郝(自覚がないとは) 関「俺は三十六だから大人だな」 郝「齢を重ねることなど誰にでもできます!」 関「言うではないか、郝瑾」 郝「心の齢をきちんと重ねて、年相応な大人になってください、関勝殿」 関「俺のどこが年相応でないというのか?」 郝「それは…」 関「俺の心の齢を確かめてみろ、郝瑾」

2021-05-02 09:57:21
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

関「郝瑾が俺を幼いとい言うのだ」 郝思文「はあ…」 郝嬌「関勝殿!」 関「おう、郝嬌様」 嬌「遊びに来たの?」 関「違う。俺の心の齢を確かめに来た」 嬌「碁はできる?」 関「遊びに来たのではない!」 嬌「私に勝てるの?」 関「言うまでもない、郝嬌様」 嬌「まあ」 瑾(すっかり嬌のペースだ)

2021-05-02 09:57:21
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

関勝…思わぬ劣勢に碁盤をひっくり返してしまった。 郝思文…戦局眼があるな、嬌は。 郝瑾…堅実な手を打つタイプ。 郝嬌…ひらめきで打つタイプ。

2021-05-02 09:57:24
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

鄧飛「鎖鎌を使ってみませんか、公孫勝殿?」 公孫勝「…」 鄧「分銅を振り回してみてください」 公「…」 劉唐(ワクワクしている気を感じる) 鄧「あそこの楊林をがんじがらめにしてみましょう」 楊林「」 劉(磔にされているとは…) 公「!」 鄧「惜しい!」 楊「」 劉(楊林の顔すれすれに分銅が…)

2021-05-03 12:32:45
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

鄧「続いて鎌の使い方ですがね」 公「…」 鄧「鎖で相手を引き寄せて…」 楊「」 鄧「一気に首を、落とす!」 楊「」 劉(とんだ実験台だな楊林) 公「…」 劉(唸ってるな。公孫勝殿の鎖鎌) 公「!」 楊「」 劉(もはや抵抗を諦めている) 公「!!」 鄧「そこまで!」 劉(本当に首を落とすところだった…)

2021-05-03 12:32:45
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

鄧「さすが筋がいいですね、公孫勝殿」 公「…」 鄧「致死軍も鎖鎌を標準装備しませんか?」 公「…考えておく」 劉(マジかよ) 鄧「試したい時にはいつでも楊林を貸し出しますので」 楊「」 劉「勘弁してやれ、鄧飛」 鄧「劉唐はやらねえのかよ?」 劉「いいのか?」 鄧「楊林」 楊「」 劉「よし…」

2021-05-03 12:32:46
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

鄧飛…鎖鎌の調練相手に楊林はもってこいですぜ。 公孫勝…鎖鎌を使って以来、よく色々振り回すようになった。 劉唐…なんだかんだで鎖鎌の試しに夢中になった。 楊林…鄧飛の稽古相手に慣れすぎて、素人相手の鎖鎌なら意外と避けられるとか。

2021-05-03 12:32:48
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉用「今日は私の日?」 晁蓋「五月の四日で呉用の日だ」 呉「私の日ということならば」 晁「なんだ」 呉「この溜まりに溜まった書類を片付けていただけますね?」 晁「いや、そうはならんだろう」 呉「私の日ですよ?」 晁「だからといってお前の言うことを聞く日にはならん!」 呉「いや、なります」

2021-05-04 15:59:59
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

晁「…結局やる羽目になった」 呉「これからは溜めないように」 晁「早く調練に行こう」 呉「お気をつけて」 晁「今日はお前も来い、呉用」 呉「私も?」 晁「阮小五と指揮を競ってみろ」 呉「私には仕事が…」 晁「たまにはこういう事で頭を使え、呉用!」 呉「やれやれ…」 晁「軍師は身体も使え!」

2021-05-04 15:59:59
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉「穆弘の軍の軍師か」 穆弘「よろしく頼む、呉用殿」 呉「李俊の軍ならば、おそらく…」 穆「分かっているな」 阮小五「呉用殿ならば…」 李俊「吠え面かかせてやろうぜ、阮小五」 穆「勝った!」 李「早すぎるだろう!」 呉「尺の都合だ、李俊」 阮「奇襲は読まれていたか」 呉「まだまだ甘いぞ」

2021-05-04 16:00:00
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉用…忙しいとはいえ、まだ心にゆとりを持っていた頃。 晁蓋…軍師と内政の呉用で二人欲しいな。 穆弘…呉用殿の人を見る目は頼りになる。 李俊…水軍で俺と組め、阮小五! 阮小五…満更でもないですな!

2021-05-04 16:00:03
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李俊「参った…」 狄成「すまねえ、大兄貴」 童威「狄成の天秤棒が片目に直撃したのか?」 狄「そうなんだよ…」 童猛「お前の顔は原型留めてねえぞ?」 童「それで眼帯してるのか」 李「やむなしだ」 狄「今のは童威の兄貴か?」 李「どっちでもいい」 童「同じこと考えてるからな」 童「気にすんな」

2021-05-04 22:24:50
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李「片目が見えんのは不便だな」 童「いい眼帯じゃねえか」 童「穆弘のお下がりかよ?」 李「そんなわけねえだろう」 狄「俺が作ったんだ」 童「悪くねえぞ」 童「穆弘に自慢してこいよ」 穆弘「李俊!」 狄「噂をすれば」 穆「…!」 李「なんだ穆弘」 穆「…お前も博打で片目を」 李「一緒にするな」

2021-05-04 22:24:50
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

穆「よく見せてみろ」 李「見るな…」 穆「お前のためにあつらえた様な眼帯だ…」 狄「俺が作ったんだぜ!没遮攔!」 穆「…」 童「外すなよ…」 童「いつ見ても慣れねえぜ」 穆「…」 童「穆弘?」 穆「交換しろ、李俊」 李「いらん」 穆「ならば俺は眼帯を賭けて、片目を賭けるぞ!」 李「正気か?」

2021-05-04 22:24:51
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李俊…危うく勝つところを情けで負けてあげた。 童威…本気でもう片目抉るつもりだったのか? 童猛…やりかねねえ気だったぜ。 狄成…やんちゃ坊主。顔面は大惨事に。 穆弘…マジで目を抉る五秒前まで来てた。

2021-05-04 22:24:54
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲「ちくわになってしまった」 張藍「まあ」 索超「どういうことだ、林冲殿」 林「昨日の夜食でちくわを食べすぎたせいか」 索「そんなばかな…」 張「そんなにちくわばかり食べていたら、林冲様がちくわになりますよって言ったせいかもしれません」 林「聞き捨てならんぞ、張藍!」 索「本当に?」

2021-05-05 05:53:38
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林「調練に行けぬではないか!」 索「もっと他に心配することが…」 張「元に戻る方法を模索しましょう」 索「前代未聞ですよ」 林「百里!」 百里風「…」 索「どこへ行く林冲殿」 林「考えるのが面倒になった」 百「…」 林「乗せろ百里!」 百「…」 林「俺だ!百里!」 索「ちくわに言われてもな」

2021-05-05 05:53:39
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

兵「林冲殿がちくわになっちまった?」 兵「張藍様の妖術らしい」 林「いいから駆けろ!」 郁保四「…ちくわに言われてもな」 馬麟「…」 扈三娘「どうしたのですか?」 馬「俺の鉄笛もちくわに…」 郁「それは」 馬「…」 扈「本当に?」 馬「…」 郁「吹いてみてください」 馬「〜」 林「戻った!」

2021-05-05 05:53:39
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲…何事もなかったかのように調練に励んだ。 張藍…次ははんぺんにしてやろうと画策中。 百里風…ちくわは別に食べない。馬だし。 索超…林冲がちくわになったと言う度に怪訝な目で見られたのが嫌だ。 馬麟…俺の鉄笛はどこへ? 扈三娘…ちくわは好物。 郁保四…練り物は得意じゃない。

2021-05-05 05:53:42
すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲「ちくわぶになってしまった」 張藍「まあ」 索超「どう違うのだ林冲殿」 林「これだから西生まれの男は」 索「なんだと」 林「ちょっと噛んでみろ」 索「おう」 林「…」 索「!」 林「かみごたえが違うだろう」 索「驚いた…」 張「林冲様?」 林「なんだ」 張「食べられてませんか?」 林「!」

2021-05-05 10:34:17
1 ・・ 6 次へ