モパイ・マスト・ダイ 後編
(((ニンジャスレイヤー=サン、急いで脱出して! 既にソウカイヤが動き始めているわ!)))ノイズ混じりのナンシー・リーの声が、骨伝導インカムへと伝わってくる。 22
2021-05-07 22:45:00ニンジャスレイヤーは再びトレンチコート姿に戻っていた。地上へと続く非常階段に向かおうとして、立ち止まった。気配に気づき、後ろを振り返る。「アイエエエエエ……?」先程店の奥に連れて行かれていたLAN直結サラリマンが、混乱に乗じ、ケジメ室から逃げ出してきていたのだ。 23
2021-05-07 22:48:00「みんな、オリちゃったの?ウフフ……根性がないなあ……」サラリマンは赤絨毯を這いずり、非常ボンボリの灯りに照らされながら、床に散らばる血まみれの点棒を拾い集めていた。「ウフフフ……。 百万点……これでローンが……家族で、オキナワ旅行も……」正気の沙汰ではない。 24
2021-05-07 22:51:00フジキド・ケンジはツカツカと歩み寄り、彼の胸ぐらを掴んで起き上がらせた。「目を覚ませ」「アイエッ!?」サラリマンは恐怖に震えた。フジキドは激しい怒りを堪えるように、歯を食いしばり、血のように赤く輝く目で、彼を睨みつけた。「……点棒は、ジゴクまでは持ってゆけぬぞ」 25
2021-05-07 22:54:00「アッ……ハイ!」恐怖に打たれたサラリマンは、直ちに正気を取り戻した。そして足元に転がっているニンジャの生首と、自分の手足を染める血に気づいた。「……アイエエエエエエエエ!?」彼は絶叫し、警報が鳴り響く違法マージョンホールを無我夢中で走り抜け、地上へと続く階段を駆け上った。 26
2021-05-07 22:57:00ファオンファオンファオンファオン。悪夢の終わりを告げるように、重金属酸性雨とパトカー音がサラリマンを出迎えた。彼は息を切らし、冷たいアスファルト上に転がった。周囲には、カジノから逃げ出してきた他のサラリマンたちが、浜に打ち上げられたマグロめいて倒れ、口をパクパクと動かしていた。27
2021-05-07 23:00:03KA-DOOOOM!ほぼ同時に、地下で凄まじい爆発が起こった。証拠隠滅のために、ヤクザ組織がカジノを遠隔爆破したのであろう。直結サラリマンは恐怖に震えながら体を起こした。そして周囲を見渡し、自分を助けてくれたあのトレンチコートの男を探した。だが、赤い目の雀士はもうどこかに消えていた。 28
2021-05-07 23:05:00◇いかがだっただろうか。PLUSの【デッドリー・ヴィジョンズ】シリーズでは、ニンジャスレイヤーが麻雀の他にもゴルフ、指圧、ペットボトルキャップチャレンジなどの数々の強敵に立ち向かう。もっと読みたい人は、今すぐPLUSを体験しよう!◇ note.com/hashtag/%E3%83…
2021-05-07 23:15:00