(おかんまとめ33)朝の三分小説～おかん～(戸隠の現在編)

カメックスシ @agodenderu

おかん534 おかんはかつてすごした戸隠の里での思い出を振り返っていた。 「やっぱりここの景色は綺麗だな、でもこんなに電柱が多かったかな」 よく見るとそこら中の電柱に忍者が群がり、電柱から出る汁をすすっている。 「旨いのかそれ」 「甘いぞ」 戸隠の里は甘い汁を出す電柱に支配されていた。

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おかん535 おかんは師匠の店に行ってみたが客はいなかった。 「おかん久しぶりだな」 「師匠あの電柱はなんです」 「よくわからんが最近甘い汁を出す電柱が生えてきてな、いつの間にか増えてやがる。電柱に客をみんな持ってかれた」 「じゃあ伐採してやる」 「待て、家の隣のやつは残しておいてくれ」

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おかん536 「みんな電柱に夢中になりすぎなんじゃないの」 「それなりに甘いからな。お前も飲んでみればわかるさ」 「そんなにかな。師匠がそこまで言うなら少し舐めてみるよ」 おかんは甘い汁を少し手に取り味見した。 「うーん、まあまあかな」 と言ってもう一度味見した。 自分の甘さが美味しい。

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おかん537 「やっぱりこの電柱を野放しにしてたらなんとなくまずい気がする」 「既に里の忍者達が電柱を奪い合って内乱を始めてるぞ」 ここでおかんはある結論に行き着いた。 「これはもしかして戸隠の里を弱体化させるための陰謀では。そうなるとこれはボンボ・ウボンの仕業に違いない」 根拠はない。

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おかん538 「許さんぞボンボ・ウボンめぇぇッ」 おかんは勝手な思い込みで漆黒のオーラを出して漆黒おかんになった。 「おかんよ、その姿は」 「これは漆黒おかん、そしてこれが更に強いホワイトおかんだ」 おかんは無職の心になって白い翼を生やした。 「じゃあ二つを同時にやったらどうなるんだぜ」

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おかん539 漆黒のオーラを纏ったままホワイトおかんになるのはかなり難易度の高い問題であったが、忍者ハーブ入りのコーヒーを飲んで集中力高める事で解決した。 おかんのオーラは漆黒から金色に変わっていき血行も良くなった。 「これが新しい力、プレミアムおかんってところかな。早速使いに行こう」

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おかん540 新形態のプレミアムおかんは力を試す為に甘い汁を出す電柱を破壊してみようと考えた。 「おっとそうはさせねーぜ」 と妨害に来たのは甘い汁を出す電柱を保護している忍者達であった。 「邪魔すんなどけ」 「電柱は俺達の希望なんだ」 おかんは里中の忍者を敵に回してしまったようだ。

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おかん541 甘い汁を吸って堕落しきった忍者達などプレミアムおかんの敵ではなかった。 「ハハハザコすぎでーす」 「プレミアムおかんがこんなに強いなんて、戸隠はもうおしまいだ」 「じゃあ滅べ」 おかんが忍者マスターを消し飛ばそうとした時 「やめなさい」 立ちはだかったのは電柱だった。

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おかん542 「電柱がしゃべった」 「私達は実は電柱ではありません。架線杉と言って、電柱に擬態して人間から電気を貰って養分にする杉です」 「杉だったのか」 「はい。甘い汁を出すのは人間達への感謝の気持ちです」 「だが結局は電気泥棒だろ。私が成敗してやる」 おかんは力を試したかったのだ。

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おかん543 本気を出した架線杉の力におかんは敗北した。戸隠の平和は守られたのだ。 さて、自分の力も把握した所でそろそろムーンライトさだみつをボンボ・ウボンから奪還しなければならない。おかんは長野市街へ向かう事に決めた。 「えっ、もうバスの最終ないの？」 「戸隠の現在編」完