※web小説既読組向け:佐島勤『魔法科高校の劣等生』の面白さについて

昨日のまとめがあまりに半端だったため、泥縄式に補足としてまとめました。 「小説家になろう」内掲載の無料ネット小説「魔法科高校の劣等生~初年度の部~」を最後まで(少なくとも第四章まで)読んでいる人向けを前提で書いています。 未読かつネタばれを嫌う方は閲覧をご遠慮頂くことをお勧めします。 ※昨日のまとめ「佐島勤『魔法科高校の劣等生(2)』感想(主にweb版既読者むけ) 続きを読む
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相楽 @sagara1
昼にアップした『魔法科高校の劣等生』感想http://t.co/2BZRVEv  はかなり中途半端だった。既読者向けで「イレギュラー」ということに触れるなら、登場人物たちが作中でイレギュラーというだけでなく、この作品全体が大変イレギュラーであることをまず書くべきで。
相楽 @sagara1
昼の書き方だと。自分でいうのもなんだけど……そこで提示した構造だけで終わっていいなら、キャラクター設定的に(九校戦で登場する)一条将輝&吉祥寺真紅郎あたりが主人公な感じでいい気もした。アレはもっとずっと厄介な小説なわけで。
相楽 @sagara1
極論すると、学園を舞台にした少年少女のライトノベルとしてはエンドマークの後から話が始まっている感がある。主要人物は高校生にして登場時点で既に相当成熟していて。それは例えば二巻の紛争の少年期にありがちな恨みつらみに主要人物が惑わされるどころかほぼ一顧だにしない姿勢によく現れている。
相楽 @sagara1
多くのグダグダした<青少年の悩みや鬱屈>をさっぱり斬り捨てるエリカがいて。立場的にも人格としても一層大人の深草真由美がいて。秘された立場上、背負ったものに見合った重みを既に体現した十文字克人がいる。
相楽 @sagara1
で、司馬深雪は成熟でも深みでも格でも、真由美にも、克人にすら対抗し得る。むしろ、資質としてはただ魔力だけでなくそれらの面においても上回る存在として在る(なので正直、書籍版二巻になってますます幼い風情になったイラストにはとても違和感がある)。
相楽 @sagara1
(千葉エリカはあれでいいし、七草真由美も演技の無邪気と素の賢さが出ていていい。ただ、深雪さんは時にその二人よりも時に成熟度や深みとして、ビジュアル的にも圧倒して欲しくて。その深雪さんが神の如くひたすら兄を崇拝して、他者が兄の偉大さを認めないことに苛立つ構造が面白いわけだから)
相楽 @sagara1
司馬深雪は自分が何者であるかも、何が出来得て何が出来ないかも、周りが自分(と兄を)どう見ているかも恐ろしいくらいに良く分かり、認識している。勿論、司馬達也が兄であり自分が妹であることの意味も。で……その上でのあの崇拝。
相楽 @sagara1
恐ろしいことにweb小説版の「第三章・横浜騒乱編」、そして何より「第四章・追憶編」では達也がその深雪の崇拝に値するとんでもない規格外であることが、これ以上なく明瞭かつ鮮烈に描かれる。振るう力も払う犠牲も実に聖的であると共に悪魔的。
相楽 @sagara1
そこら辺の「凄いよ!達也さん」は正しく中二だか厨二だかの権化なのだけど、問題はそれが深雪さんが背負って立つ世界の成熟と深みの土台の上にあり、その超人ぶりへの批判や揶揄は「だから私は最初からお兄様はあまりにも偉大だと言っているでしょう?」と正面から切り返される構造をしている事。
相楽 @sagara1
物凄く大雑把に言うと、深雪さんはギリギリで世界のレギュレーションの中のイレギュラーの極致を体現しているが為に世界を背負った一方の主役で、達也は<その深雪が自分など問題にならない超越的な存在として保障する>真のイレギュラーとしてもう一方の主役を務めている。
相楽 @sagara1
で、なんでこだわりをもって『魔法科高校の劣等生』という作品を深く読み込もうとする人間が揃って「深雪さん!深雪さん!」と達也より深雪に参る人間が続出するかというと、実に粗すぎるまとめだけれども……
相楽 @sagara1
作者の佐島勤さんが「(極論すれば)深雪に背負わせるための」世界の(他のキャラクター達全てを含めた)設定に異様な情熱と労力と技巧を投じに投じていて、それは当然にそのまま深雪の魅力を支える仕組みになっているからではないかと。
相楽 @sagara1
深雪さんには深く雪のように静謐な認識と、それを溶かしあふれ出る、兄に対するもはや信仰ともいうべき狂的な崇拝がある。深雪さんは作中世界においてこの上無く深く正気で、その上でとんでもなく深く狂っている。その両面性が司馬深雪というキャラクターの掛け替えない魅力。
相楽 @sagara1
それを更に「司馬達也万歳!」に進めるためには、司馬深雪の魅力にノックアウトされた上で、いわば「深雪さんの眼を通じて達也を眺めるところまで行く」ことが必要で。ただし、それは一種、あまりにも狂気に近い。そこまでのめりこめば楽しいだろうけど、素人にはお勧めできない気もする。
相楽 @sagara1
最後に一つ付け加えると。司馬兄妹を中心に妙に大人びて落ち着きつつも同時に深く狂った作品世界において、兄妹と深く関わる同年代の女性陣の中で頭一つ抜けて「正気」を保ち続けているのが北山雫というキャラクターと思える。雫にはそれだからこその大きな魅力がある。

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