マスター・オブ・パペッツ #9

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

流れるアスファルト上で数度のウケミ・バウンドを行ったのち、ニンジャスレイヤーはフックロープを手繰るように、踵で火花をあげながら、シグルーンに己を引っ張らせた。「イヤッ!イヤーッ!」マークスリーに左手でスリケン投擲!「イヤーッ!」マークスリーは斬って防御!「轢!」パンヤンドラム!19

2021-07-12 22:14:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

無慈悲なるビッグニンジャ回転大質量がニンジャスレイヤーに襲いかかる!だがニンジャスレイヤーの赤黒の眼光閃くや、彼はフックロープを手放し、パンヤンドラムにその身を躍らせた……「イヤーッ!」KRAAAAASH!ナムアミダブツ!轢殺!ならず!ニンジャスレイヤーはパンヤンドラムの表面を蹴った! 20

2021-07-12 22:16:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

燃える放物線を描き、ニンジャスレイヤーが上空を舞った。舞いながら、ニンジャスレイヤーはマークスリーにスリケンを投げ続けた。マークスリーはスリケンを切り裂きながらサイバー白馬を走らせた。ニンジャスレイヤーはカンオケ・トレーラーの背に着地し、マークスリーを見下ろす。 21

2021-07-12 22:19:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マークスリーはサイバー白馬に拍車を当て、カンオケ・トレーラーに並走する。ニンジャスレイヤーはコトブキを一瞥する。コトブキは頷き、シグルーンを車線変更した。離脱だ。その後方ではパンヤンドラムがなおも追いすがる。「轢轢轢……!」だが、その横に並んだのはレッドハッグ! 22

2021-07-12 22:23:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「轢……」「イヤーッ!」レッドハッグは反重力バイク上で黒いカタナを逆手に構え、凄まじき速度の刺突を繰り出した。黒いカタナはパンヤンドラムの装甲を貫き、損傷せしめ、黒い放電を生じた。「グワーッ!?」パンヤンドラムが跳ね上がった。変身が解けた。レッドハッグはその首を、刎ねた。 23

2021-07-12 22:26:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サヨ、ナラ!」レッドハッグはパンヤンドラム爆発四散の照り返しを受けながら反重力バイク上で直立、後方を見た。「賞金はいただき」彼女の耳のインカムでタキが喚いている。彼女は頷く。「ああ、そこは任せな……」吐く息が白い。「厄介そうな奴が近づいて来てるが、仕事だ。通しゃしない」 24

2021-07-12 22:30:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

レッドハッグは待ち構えるように減速した。追いついたKATANA治安部隊が左右に割れ、何者かに道を譲った。明らかに治安部隊とは所属を異にする存在が、弓矢じみて飛び出してきた。レッドハッグは見た。凍りついた路面に滑るように着地した存在が、彼女の眼前でドリフト停止した。そしてアイサツした。25

2021-07-12 22:37:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そのKOLのニンジャは仮面じみたハイテック・フルメンポを装着し、切れ込みの奥で冷たい目を光らせ、吹雪めいた鈍色の髪をなびかせていた。装甲装束の表面は白く烟り、既にその一体は真冬めいて冷えていた。コリ・ジツ使いである。「ドーモ。レイテツです」KOLのニンジャは冷たく光るカタナを抜いた。26

2021-07-12 22:41:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。レッドハッグです」レッドハッグはアイサツを返した。『レイテツだと?』タキが通信で狼狽えた。『そんな奴まで投入して来やがって……』「こっちじゃ有名な奴かい」『カタナの特殊エージェントだ。治安部隊出身らしいが、ドサ仕事連中と一緒に見るんじゃねえ。いいか、絶対止めろよ!』 27

2021-07-12 22:45:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どけ」レイテツが言った。「寒いね。クーラー止めてくれ」レッドハッグが答えた。レイテツはカタナを光らせる。その得物はコリ・ジツを強化する媒体のようだ。「後悔する事になるぞ」「何がだい。凶悪犯罪者を仕留めて社会に貢献した事を?」「フン……」足元が氷る。二者の地面が霜で結ばれた。 28

2021-07-12 22:50:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『オイ、頼むぞ。そいつに加勢されたら相当面倒な事になっちまう……!』「アタシの面倒は最高潮だね」『まあ、うまい事どうにかしてくれや!』「ビール飲み放題で手を打つ」レッドハッグは目を細め、わずかに姿勢を落とした。レイテツもその身にコリの力を漲らせた。互いを厄介な敵と認識した……。29

2021-07-12 22:57:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウ!道路の左が開けた。下段に見えるのは、ライトアップされた線路!「ハイヤーッ!」マークスリーはサイバー白馬を走らせ、前方の軽自動車のルーフに駆け上がり……そこから自身は高く飛んだ!「イヤーッ!」回転着地したのはカンオケ・トレーラーの背!ニンジャスレイヤーと向かい合う! 31

2021-07-12 23:00:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『マークスリー=サン。そのままハイウェイを進行せよ。検問所偽装のKOL部隊が展開している』バトラーが指示する。マークスリーはニンジャスレイヤーを見据えた。それから高架下の線路を示した。プアアアーン……。警笛が聞こえ、ネオサイタマ環状線の列車の明かりの連なりが見えた。 32

2021-07-12 23:05:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『マークスリー=サン』バトラーが訝しんだ。だがマークスリーはニンジャスレイヤーと目を合わせ、促すように頷いた。彼らは同時に横を……線路の方向を向いた。『マークスリー!』「「イヤーッ!」」二人のニンジャは高架から下へ、跳んだ。環状線を走りきた列車の背に、彼らはしめやかに着地した。33

2021-07-12 23:07:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『マー……』マークスリーは形のよい耳の穴に指を入れ、骨伝導インカムを取り出した。そしてそれを握りつぶした。「環状線はKOLの領域外です。なにより、列車の市民を巻き込む作戦展開を行う事はできない」「そのようだな」「街の音」マークスリーは耳に手を添え、呟いた。「心地よいものですね」 34

2021-07-12 23:12:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして手を離した。ギュン、と音が鳴り、無からメンポが生じた。彼は瞬きし、ふた振りの宝刀を手にした。「トリスタン。イゾルデ。僕と共に来てくれるのか」彼は二刀を重ね合わせた。いかなる機構によってか、畏れ多き二刀は結び合い、溶け崩れ、合わさって、一振りのカタナに変わった。 35

2021-07-12 23:19:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヒュン。ヒュン。ヒュンヒュンヒュンヒュン。マークスリーは眼前でカタナを振り回しながら、呼吸を深めていった。「スウーッ……ハアーッ……」呼吸とともに彼の白磁めいた肌は輝き始めた。ニンジャスレイヤーは前傾し、応じるように呼吸を始めた。「スウーッ……フウーッ……」 36

2021-07-12 23:24:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マークスリーの内なる光が呼吸によって光そのものめいて高まった瞬間、彼はカタナの回転を止めた。動きを制された刃に、彼の全神経、全筋肉を通して、英国式チャドーのカラテが流れ込んでゆく。謎めいたカタナもまた、真っ白の光の塊と化した。 37

2021-07-12 23:30:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……フウーッ!」一方のニンジャスレイヤーは染み出すような赤黒の炎を背中から滾らせ、呼吸とともに強まる双眸の火を、夜闇に滲ませていた。「スウーッ……ハアーッ……!」二者の集中が極点に達したその瞬間!「「イヤーッ!」」彼らの眼光の結び合わさる地点で、光と火が衝突した! 38

2021-07-12 23:33:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BOOOM!列車の背を衝撃波が駆け抜けると、二者ともに一歩も動いていない。だが姿勢は変じていた。マークスリーはカタナを振り抜いた動きのままに上半身をねじり、次なる斬撃の力を育てた。ニンジャスレイヤーは両手でヌンチャクの黒い柄を握りしめ、鎖を背中に押しつけ、限界まで力を溜めていた。 39

2021-07-12 23:36:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

環状線列車がワヤマワ駅に停車し、サラリマン達が乗り込み、再びしめやかに発進したが、狩人と獣は身体にかかるGの力に少しも怯む事はなかった。生活するサラリマン達は列車上に彼らの不穏な影を見たが、本数の少ない深夜の列車、乗り逃さず発車前に車内に乗り込む事のほうが重要だった。 40

2021-07-12 23:39:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タン……タン……タン。タン。発車した列車がギアを切り替え、速度が乗った瞬間!「「イヤーッ!」」ニンジャスレイヤーとマークスリーは再びカタナとヌンチャクを繰り出した!光と火が衝突!再びの拮抗!だが!「「イヤーッ!」」間髪入れず彼らは返す攻撃を繰り出した!「「イヤーッ!」」更に! 41

2021-07-12 23:42:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」更に!両者、各々の地点から一歩も動かず!「「イヤーッ!」」光と火!「「イヤーッ!」」光と火!「スウウウウーッ……!」マークスリーが輝く!ニンジャスレイヤーの傷口からは血が溢れ、脚を伝って足元に溢れる!赤黒の眼光が明滅する!列車はモロギ駅に向かって減速! 42

2021-07-12 23:44:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ピンポロパンポロ……電子音が鳴り、再び列車が発進すると、ニンジャスレイヤーの体軸がわずかにブレた。マークスリーは無慈悲な斬撃を見舞う!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを打ち振る!「イヤーッ!」その時すでにマークスリーはさらなる斬撃に移行している!「イヤーッ!」 43

2021-07-12 23:46:47