竹取物語

意外と原典を重視した作りになっている。
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カルヴァドス @cornelius0321

①市川崑監督作品『竹取物語』(1987年、東宝)は、かぐや姫の物語を映画化したものだ。当時まだ若手女優だった沢口靖子主演で、竹取の翁に大スター三船敏郎、その妻に若尾文子(白戸家のおばあちゃん)、帝に石坂浩二、大伴大納言に中井貴一という豪華キャストで話題になった。

2011-08-09 23:02:03
カルヴァドス @cornelius0321

①市川崑監督作品『竹取物語』(1987年、東宝)は、かぐや姫の物語を映画化したものだ。当時まだ若手女優だった沢口靖子主演で、竹取の翁に大スター三船敏郎、その妻に若尾文子(白戸家のおばあちゃん)、帝に石坂浩二、大伴大納言に中井貴一という豪華キャストで話題になった。

2011-08-09 23:02:03
カルヴァドス @cornelius0321

②この映画、東宝が破格の製作費をかけ、かぐや姫が月に帰るクライマックスのシーンでは、蓮の花に見立てた宇宙船が迎えに来るという解釈をし、『ゴジラ』などで培った東宝特撮の技術を、特技監督の中野昭慶らが存分に発揮している。

2011-08-09 23:01:55
カルヴァドス @cornelius0321

③この映画を観た人の多くが、「ハリウッドの超大作と比べると…」「宇宙船が迎えに来るとか…」という感想を抱きがちである。トンデモ映画だと思う人がいるかもしれない。市川監督自身も、「SFはよう解らんのよ」みたいなことを述べている。

2011-08-09 23:01:43
カルヴァドス @cornelius0321

④しかし、この映画、特撮技術がどうとか、市川監督とSFは「合わない」とか、そんな所にばかり目が行ってしまうが、実は別の観点で見ると非常に面白い。

2011-08-09 23:01:30
カルヴァドス @cornelius0321

⑤これは、私の意見ではなく、宮崎大学教授の山田利博教授が紀要論文に書いておられることだ。http://t.co/G5BjOrQ'竹取物語 市川崑 宮崎大学'

2011-08-09 23:01:13
カルヴァドス @cornelius0321

⑥『竹取物語』は日本最古の物語文学とされる。作者不明で、原本は存在しないが、写本はいくつか存在する。

2011-08-09 23:01:03
カルヴァドス @cornelius0321

⑦こうした写本類を一応「原典」と考えるなら、1980年代当時の映画特撮技術を駆使して、荒唐無稽な娯楽大作と見られがちな市川崑の『竹取物語』が、実は原典にかなり忠実に作られていることがわかる、というのが山田教授の説だ。

2011-08-09 23:00:53
カルヴァドス @cornelius0321

⑧映画で沢口靖子のかぐや姫が昇天して宇宙船に乗りこむ場面が、「婚姻」の隠喩ではないかという点や、その宇宙船が蓮の花の形なのは、仏教的死生観の隠喩ではないかという指摘は、非常に興味深い。

2011-08-09 23:00:42
カルヴァドス @cornelius0321

⑨詳しいことは、論文を見てほしいが、山田教授は、「この映画の作者は原作をよく咀嚼していると思われる」と述べている。つまり、「市川崑という人は、映画を製作するに当たって、原作を徹底して読み込む人である」という評価をしているわけだ。

2011-08-09 23:00:32
カルヴァドス @cornelius0321

⑩山田教授のこの評価は、全くもって正当である。なぜなら、金田一シリーズも、市川監督が原作をよく理解したうえで、制作されているからである。こんなこと、私が今更ここでつぶやかなくても、金田一シリーズが好きな人なら先刻ご承知のことだ。

2011-08-09 23:00:20
カルヴァドス @cornelius0321

⑪同様に、山田教授は、市川監督の『竹取物語』を、「文学作品を加工したものとしては秀逸」と評する。

2011-08-09 23:00:08
カルヴァドス @cornelius0321

⑫私も、これを真似て、市川監督の「金田一シリーズ」を、「横溝作品を加工したものとしては秀逸」と言いたい。賛同者は多いはずである。<この話題終わり>

2011-08-09 22:59:57