- iaiawarawara
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稲藁 文緒
@iaiawarawara
私がまだ三十にもならない若造だった頃、私には専属の占い師が居た。占い師は私の過去、そして未来をぴたりと言い当て、私は彼の言うままに就職し、妻を娶り、宝くじを買っては当てて順風満帆の暮らしをしていた。だがある日、私は彼の言い付けを破り、見てはいけないと言う彼の素顔を見てしまった。
2011-08-16 21:25:04
稲藁 文緒
@iaiawarawara
それっきり彼は私の前には現れなくなり、私は没落した。今では公園をねぐらとするホームレスの一員だ。しかし今になって彼が何故素顔を見られるのを拒んだかよく分かった。公衆便所の薄汚れた鏡には私を導いた占い師が映っているからだ。
2011-08-16 21:26:36
稲藁 文緒
@iaiawarawara
「なあなあ、風呂掃除止めてくれよ。俺に嘗めさせてくれよ」袖にすがりつく赤嘗めに一喝し、今日から2日間は隠れているようにきつく釘を刺す。もうすぐ彼女が家に来て、泊まって行くのだ。掃除は入念にしなければいけない。勿論明日もだ。俺は気合を入れて浴槽をごしごしと擦った。
2011-08-17 20:46:57