第一話『蛻の殻』

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葬式 @A__ICR

ガタンと音を立てた椅子を横目に、イチイは椅子ごと倒れ込んだ春香をひょいと抱え上げた。

2021-08-07 22:07:54
葬式 @A__ICR

「アハ 怖かったかい?寝てるだけだよぅ」

2021-08-07 22:08:42
葬式 @A__ICR

「これはねぇ、副作用。別にみんなはこうはならないさ」 「ハルカくんは体質が合わなかったんだろうねぇ……」

2021-08-07 22:09:23
葬式 @A__ICR

ま、いいや。吐き捨てるようにそう呟いて、その腕の中のぬくもりを雑に床へ転がした。 そのまま戮の前に屈んでは、白衣から取り出した新しい注射器を手際良く扱っていく。

2021-08-07 22:10:08
葬式 @A__ICR

「副作用とかミズハこわぁい!本当に大丈夫?」 「人によるなぁ。そもそもそれを確認するためにキミたちを使っているというか……」 「ぇ〜……」 返答の軽いイチイを戮は訝しげに見つめる。

2021-08-07 22:10:55
葬式 @A__ICR

しかしまぁ、別段、いつもと変わった感じはしない。戮の腕の、針を刺した部分が微量な熱を持つ。

2021-08-07 22:11:33
葬式 @A__ICR

なんとなくその手を握ったりしながら、彼はコルシュとG子の様子を伺っていた。

2021-08-07 22:12:06
葬式 @A__ICR

コルシュの細い腕に針が刺さり、中へ赤い液体が流れ込んでいく。 本人はそれを大人しく眺め、

2021-08-07 22:12:45
葬式 @A__ICR

「んぅ~ いてて いてて」

2021-08-07 22:12:57
葬式 @A__ICR

突然ひょこ、と立ち上がった。

2021-08-07 22:13:08
葬式 @A__ICR

「……?あれ、痛かった?」 「ぅ~ おなか いてて」

2021-08-07 22:13:48
葬式 @A__ICR

注射器を片手にイチイは首を傾げた。 ……戮の記憶が確かならば、ご飯を食べている時もそう、コルシュはここ最近ずっと腹痛を訴えている。

2021-08-07 22:14:34
葬式 @A__ICR

コルシュはとてて、とテーブルから離れて、部屋の隅で蹲る。 そんな様子を見せられては不安にもなる、と、戮も焦ってそちらへ近付き──

2021-08-07 22:15:23
葬式 @A__ICR

その瞬間、何やら、音が聞こえた。

2021-08-07 22:15:34
葬式 @A__ICR

何かがちぎれるような、破れるような、そんな鈍い音。

2021-08-07 22:16:40
葬式 @A__ICR

「ねぇ、どうしたのしゅーこ」

2021-08-07 22:17:03
葬式 @A__ICR

ぶち ぶち ぶち、

2021-08-07 22:17:51
葬式 @A__ICR

「……しゅーこ?」

2021-08-07 22:18:17
葬式 @A__ICR

「ぁ゛、ぃて て、 ぇ゛あ゛、 」

2021-08-07 22:18:56
葬式 @A__ICR

蹲っていたコルシュの体が少し浮いて、ごろん、と仰向けに転がった。 pic.twitter.com/YVIDALwy5U

2021-08-07 22:19:58
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