すいこばなし【北方謙三水滸伝・楊令伝小噺集】2021/9/1-30

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

董平…悩ましい問題だ… 宋清…もうやるしかないぞ。 鮑旭…退路を確保しましょう。 馬麟…もしもの時は、開封府を襲撃するぞ。 楽和…義兄さんも頼りにならないしな… 燕青…どこの質屋に売ったんだ？ 楽大娘子…豪遊して三日で使い切った。 呂牛…とんでもない宝が舞い込んできたものだ。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

安道全「林冲は泣いたことはないのか？」 林冲「ないな」 安「本当か？」 林「叔父上との稽古の時に泣くことを禁止されたからな」 白勝「道理でそんな強えわけだ」 林「お前はいつ泣いた？」 安「私が泣くわけないだろう」 白「…おい」 安「なんだ白勝」 白「忘れたのか、お前」 安「！」 林「？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

安「泣いてないぞ、断じて」 林「しかし狼狽えているではないか」 白「…」 林「そんなに恥ずかしいことで泣いたのか？」 安「腑分けをした時に、つい…」 林「いつもウキウキしているではないか」 安「うっかり手を切ってしまった時に」 林「喜んで血止めをするではないか」 安「…どうでもいい！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林「ならばなぜ嘘をつくのだ」 安「それは」 白「そのへんにしてやれ、林冲」 林「なぜだ」 白「お前が今俺たちを罵れるのも、俺たちのおかげだからだよ」 林「…違いない」 安「…」 白「安道全？」 安「…冗談じゃない」 林「何が冗談じゃないんだ？」 白「お前、また思い出して！」 安「違う！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲…なぜ泣いている、安道全。 安道全…黙れ！張藍殿に言いつけるぞ。 白勝…しょうがねえバカだな、二人とも。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

穆弘「祭事用の眼帯がない！」 穆春「もうつけてるぞ、兄者」 弘「いかん」 春「そのパターンが多すぎるのではないか？」 弘「仕方がない」 春「なんの祭事なのだ？」 弘「張礼様の…」 春「張礼様のか…」 弘「お前も来い、春」 春「ついに俺も行くのか…」 弘「お前も眼帯を」 春「それはいらん」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

張横「…」 張順「…」 李俊「…」 童威「…」 童猛「…」 弘「…」 春(すごい面々だ) 横「これより、張礼の三回忌を…」 李(穆弘) 穆(なんだ式典中に) 李(眼帯が表裏だぞ) 穆「バカな！」 春(兄者！) 横「…静粛に」 順「…」 弘(なんともないではないか) 李(騙されやがって) 弘「混江竜！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

横「静粛に」 弘「…」 李(バカめ) 童(やめろ、李俊殿) 順「混江竜、生簀の鯉を捧げよ」 李(容易い) 童(大丈夫か？) 李(！) 横「…」 李(くそっ) 順「…」 李「いかん！」 弘「…下手くそめ」 李(捕まえたぞ、鯉め) 順「とどめをさせ」 李「!?」 春「反撃されてらw」 李「黙れ、小僧」 弘「あ？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

穆弘…没遮攔の目に火がついた。 穆春…隅っこで震えてた。 李俊…やべえ！ 童威…言わんこっちゃねえ！ 童猛…ズラかるぞ！ 張横…うどんとワンタンを用意した。 張順…官憲に二人の裏取引を垂れ込んだ。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

童貫「死ぬ調練を行う」 鄷美「死の調練!?」 畢勝「我らに重大な落ち度が!?」 童「違う。死ぬ調練だ」 鄷「…」 畢「…」 童「行くぞ」 鄷「恐れながら、元帥」 畢「どのような調練ですか？」 童「死にに行くのだ、鄷美、畢勝」 鄷「…死の調練との違いはなんですか？」 童「死ねば分かる」 畢「…」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

童「この賽をふれ」 畢「病死、溺死、病死…」 鄷「戦死はないのですか？」 童「ない」 畢「それは犬死にではないですか！」 童「死ねばそれまでの命だ、畢勝」 鄷「…ならば」 畢「…元帥が、範を示していただけませぬか」 童「よかろう…」 鄷「では賽を」 童「！」 畢「なんだ！」 童「転落死か…」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

鄷「あの崖の薬草を取りに行ってください」 畢「縄はありません」 童「不要」 鄷「死ぬ調練！」 畢「開始！」 童「…」 畢(淡々と降りていく) 童「…この薬草だな」 鄷(元帥にはぬるかったか？) 童「よし」 畢(足場が…？) 童「！」 鄷「元帥が！」 童(元帥、やるだろう) 畢「元帥！」 童「なんの！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

童貫…運良く生えていた蔓草に捕まって急死に一生。 鄷美…溺死。銀の鎧を纏って遠泳をして急死に一生。 畢勝…餓死。10日間水も飲めず急死に一生。途中からお経を唱え始めた。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

楊志「曹正のせいで肥ってしまったな」 楊令「全くです、父上」 志「痩せなければ二竜山の指揮官でいられなくなるかもしれん」 令「そしたらまた父上が落ち込みますね」 済仁美「ならば二人ともソーセージをおやつで食べるのをやめなさい」 志「あと一本だけ！」 令「父上ズルい！」 済「お預けです」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

志「令。共に走ろう」 令「白嵐も一緒に！」 白嵐「…」 志「お前まで肥ったのか」 白「！」 令「走るぞ！白嵐！」 白「！」 令「嫌がるな！」 白「！」 志「ならば令は私が独り占めしてやる」 白「！」 志「なんだ、やるのか白嵐」 白「！」 志「面白い。剣をとれ」 白「！！」 志「今日は負けぬ！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

志「…勝ったと思うなよ、白嵐」 白「！！」 令「すごく暑苦しい立合いでした」 済「身体を洗ってらっしゃい」 志「まだ走ってないが」 済「とても汗臭いです、旦那様」 志「！！」 済「肥って汗臭い旦那様なんて、嫌です」 志「すぐに身体を洗うぞ、令！」 令「はい！父上！」 白「！！」 済「全く」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

楊志…肥満したせいで身体も吹毛剣のキレも最悪。 楊令…肥満したせいで近隣の女の子の評価も最悪。 済仁美…自分にひどいことした役人を思い出すから最悪。 白嵐…飼い主に肉を売られそうな予感がして最悪。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

班光「どうしたものか…」 花飛麟「何を悩んでいる、班光？」 班「私の出番がめっきり減ってしまったのです」 花「出番？」 班「史進殿と破廉恥に興じたばかりに…」 花「…今更」 班「酷いですぞ、花飛麟殿！」 花「自分の所業を振り返るのだな」 班「私が何をしたというのですか」 花「無自覚とは」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

史進「班光の破廉恥臭気を嗅ぎつけてやってきたぞ！」 葉敬「ハンハラ警報発令！」 班「なぜ来るのですか！」 史「花飛麟への破廉恥は俺が許さん」 班「ご自身の破廉恥を棚に上げて何を言っているのですか！」 史「お前の破廉恥はさらに上の棚だ、班光！」 花「どっちが上でもいいです」 葉「最低だ」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

班光…どうやら破廉恥街道を行き着くところまで行ってもまだ行き足りないようだ。 史進…班光とどっちが破廉恥なのだろうか。 葉敬…史進へのリスペクトがだいぶ冷めてきた。 花飛麟…遊撃隊から離れた宿舎にしてもらう手続きがなぜかいつまでも終わらない。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲「なんだこの乗り物は？」 李雲「李応の衝車を参考に作ってみた。車という乗り物だ」 索超「乗れるのか？」 李「運転もできる」 林「運転させろ、李雲」 李「もちろんだ、林冲」 百里風「…」 林「ヤキモチを焼くな、百里」 李「鍵だ」 林「これで動くのだな」 李「動かし方は…」 林「発進！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李「…すごい速度で行ってしまった」 索「これだから林冲殿は…」 林「どうやって止まればよいのだ？」 百「！」 索「乗せてくれるのか、百里？」 百「…」 索「ギアまで用意しているのか」 李「フルスロットルだ、索超」 索「行ってくる！」 林「止まらん！」 宋江「あれは？」 李逵「危ねえ！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林「李逵！」 逵「俺は死なねえ！」 宋「李逵！」 索「林冲殿！」 百「！！」 林「!?」 宋「おう、百里風の蹴りが炸裂した」 雲「宋江殿！大丈夫か！」 宋「私よりも、林冲の心配をしてやれ」 逵「林冲なら大丈夫だ」 林「…」 逵「な？」 林「突然と出てきた空気の入った袋は？」 雲「エアバックだ」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲…ちょっと首を痛めた。 李雲…運転するのも許可が必要だと裴宣に指摘された。 索超…しかしすごい乗り物だ。 百里風…車を木っ端微塵にしてやりたかった。 宋江…何回李逵に守られたかな？ 李逵…百八回目くらいじゃねえか？

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

麻哩泚「…」 蕭珪材「何を隠している、麻哩泚」 麻「殿！」 蕭「懐に何を隠している」 麻「…怒らないでくださいますか？」 蕭「場合による」 麻「街で捨てられていて、忍びなく…」 蕭「よもや拾い食いではなかろうな」 麻「こちらを」 蕭「なんだ」 猫「…」 蕭「…」 猫「…」 蕭「…」 麻「殿？」